《超迷宮奇譚伝 『このアイテムは裝備できません!』》優しさの方向

「う~ん……」

僕はドラゴンの証言を文書に直した紙と睨めっこをしていた。

「どうかしましたか?」とドラゴンに聞かれたので素直に答えた。

「これ、どこまで実話なの?」

「失禮ですよ! 全部、実際の出來事ですよ!」

軽く怒鳴られた。信じがたい事だが、どうやら実話らしい。

「どうして、私の武勇伝を疑うのですか!私がんばったのに!酷過ぎますよ!」

「酷過ぎますよ……と言われてもなぁ……」

人類には『ギフト』という未知の戦闘技があるって言われても……

反応に困るのは普通だと思う。

ついでに、凄いセクハラをさせたと言われても、凄い反応に困る。

「しかし、サクラさん」

「ん?」

「サクラさんって、意外と文書だとポエムみたなじになるのですね。ほら、序盤なんて、凄いですよ」

「……そこは、あまり指摘するなよ」

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

「それに、あの幽霊の正が人間って拠がどこにもないんだけど?」

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「あぁ、それはですね。サクラさんを連れ帰って、服をがせて、ベットに寢かせた後に、戦いを振り返っている最中に私の分析能力に引っかかる覚があったので、後から調べてみたのですよ」

「なるほど、なるほど……便利だな。分析能力」

服をがせて、ベットに寢かせた部分を強調している理由を掘り下げる事は避けよう。

「それで、彼は人間だったわけか」

「そうですね。それは斷言できます」

「う~ん……」と僕は聲を上げた。 自信満々のドラゴンを疑うわけではない。

しかし、これは不可解な出來事だ。

みたい特殊能力を持ったに襲われるという不可解な出來事。

あのをすり抜ける、幽霊のような能力があるなら、誰にも気づかれずにダンジョンにり込む事は可能だろう。

そして、あのは、何らかの目的があって、あの階層にいる。

あのに襲られたのは僕が最初ではなく、同級生のタナカくんが最初だろう。

「う~ん……」

他にも襲られた前例はないのか?

前例がないのなら、僕とタナカくんに共通點があるから襲われた?

今ある報だけなら……わからない。

たぶん、単純に21層を狩場のメインをして使っていたのが共通點であり、そこに襲われた理由があるのだと思う。

ただ、それだけの話でだろうか?

僕は彼を思い出す。

これは僕の印象だけれども、彼の人格には不安定さが見て取れた。

どこまで信じれるかわからなけど、それでも単純に彼の発言を信じるなら……

『ねぇ?もしかして――――あなたが私のお父さんかな?かな?』

は父親を捜しにダンジョンへやってきた?

それでダンジョンに忍び込んで、探索者に話しかけていた。

そういう事なのか? しかし、僕やタナカくんを見て、自の父親と區別がつかないというのは……

神が壊れかけている……そういう事なのだろうか?

いや…… そりゃ、そうだろう。

は僕を襲ってきた。 つまり彼の目的は父親を殺す事……

「やっぱり、サクラさんは優しいですね」

「えっ?」

不意に話しかけられ、僕は本気で驚いた。

どうやら、考え込んでしまっていたようだ。

「優しいだって? この僕が?」

「だって、解決案を考えていたんでしょ?そんな真剣な表で」

「確かに、解決案を考えてはいたけど……それが優しいって事になるのかなぁ?」

僕が考えていたのは、むしろ彼を排除する方法だ。

幽霊的に表現するなら、仏させる方法。 ドラゴンの言葉を信じるなら、幽霊ではなく人間なのだろうけれども……

なぜ、そんな事を考えているのか?

それは、やっぱり僕の本質は探索者であって、どんな出來事よりもダンジョン攻略を優先させるようになっているからだ。 一見、僕の行が『優しさ』からきているように見えても、結局は打算的行に過ぎないはずだけど…… けれども、ドラゴンは否定の言葉を続ける。

「サクラさんの言う通りなら、解決法は彼の排除する事のみに集中して考えてるはずですよ。言うならば強行手段。でも、サクラさんは、彼のバックボーンに飛び込もうとしています。どこか、彼に共したうえで、解決しようとしている。それは間違いのない優しさですよ」

「……そうかな?」

全面的に自分を肯定されたためか、どこか釈然としない。

まるで母親から『あなたは心が優しい子だから』と泣いてる自分をあやされているかのようなじ。

むしろ、それは……そういう人間であれと教育されているかのようにすらじる。

しかし、それは、不思議と悪い気持ではなかった。

だから、自然と僕の目的は、幽霊の父親捜しに向けられる事になった。

それが、幽霊を排除する方法を知るためなのか?

それとも幽霊へ捧げる生贄にするためなのか?

それとも……

まだ結末はわからない。

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