―――機関銃―――

1000年前の舊時代の戦士が使用していた武。

本は細長い筒狀の形狀。その筒からは、丸みを帯びた形狀の鋼鉄を連続で発される。

その小さな鋼鉄は、現在の武と比べ高い殺傷力を持つ。

空冷式、水冷式、ベルト給弾式、マガジン式、反利用式、ガス圧利用式、オートマチック、セミオートマチックなど、種類も富だ。

そして、それらの全ての共通點は一撃でもければ致命傷に近しいダメージをける。

しかも、1分間で數百発の攻撃が人間の目には不可視の速度で繰り出される。

対人能だけでいうなら、現在の武……あるいは現在の戦闘法と比較しても、遙かに上だと言い切れる。

それを魔力を利用して素手で再現させている。

それが目の前の――――　ロワ・クリムが行おうとしている攻撃方法だった。

上に逃げる？下？右か？左か？

渡り廊下という空間で、機関銃を避けれるのか？　無論、答えはNOだ。

そして、それは僕に向けて発される。

音。

一瞬で、渡り廊下の左右にある窓ガラスは割れ落ちる。起きるはずの甲高い音は銃聲によって、かき消された。（実際は銃により音ではなく魔法攻撃だが）

木造作りの部分は、削り取られた木片を舞上げ、モルタル作りのコンクリート部分は弾痕を刻み付けられる。

もしも、それを生ので人間がけるとしたら、鮮で周囲を赤く染め上げ、破裂したが如く片を飛ばされ……人間に使う表現としては不適切ながら……々に破壊されてしまう。

しかし、幸いにも、僕はそうならなかった。

「あれれ？それどこから、取り出したの？ううん、ウソだぁ～　そんなのどこにも持てなかったはずだよ」

クリムの聲が聞こえてくる。

僕と彼の間には、僕のを守ってくれた遮蔽が新たに存在している。

付け加えると、彼の姿は見えず、彼の聲のみが聞こえてくる。

僕は「ハッ」と口から笑いを吐き捨てた。僕の生死に対して、どうでもいいようなじだったクリムの反応が、非現実的で面白かったのかもしれない。僕にそんな余裕があるとは、自分でも意外だった。

僕のを守ったくれた遮蔽の正は、言うまでもないかもしれないが『龍の足枷』である。

巨大な金屬の球が、僕のをカバーして魔法の弾丸を弾いてくれたのだ。

現存する人類最強の武。所有者にあらゆる恩賞を與え、あらゆる建造を破壊しうる兇。

言ってしまえばただの鈍に過ぎない武だが、使い方次第では世界を滅ぼす事すら葉ってしまう。

まぁ、使い方次第という以前に、僕では使いこなせず、そのスペックを引き出せないのだが……

本來は攻撃に使う武だが、そこは人類最強の武。その度も規格外だ。

最高峰の探索者が裝備する盾でも、その頑丈さに勝てるは存在していないだろう。

（もちろん、現狀で人類が保有する武の中で……という意味でだ）

よく見れば、『龍の足枷』の巨大さと重量によって、大きく床が沈んでいる。

最も、渡り廊下というより、かつて渡り廊下だった場所と言う方が正しくなっているのだから、例え、このまま床に大を開けてしまったとしても、許してもらえるだろう。……きっと。

「さて、これからどうするか？」

そう僕は呟いたつもりだったが、自分の聲は耳まで屆かなかった。

なぜなら、今もクリムの攻撃は継続中であり、龍の足枷によって跳ね返されている弾丸と、その銃聲によって僕の鼓は震えぱなしだからだ。

「くそぉ！炸裂音で、耳が馬鹿になっている」

音が邪魔して、説得、渉、弁解、謝罪……それらで気を引いてからの騙し討ちは不可能だ。

（どうする？　優先させるのは現狀維持で、助けを待つか？）

僕は『龍の足枷』に背中を持たれ、に休息を與えながらも、頭はフル労働を開始させる。

例え、人払いの結界を張られていたとしても、この破壊音に誰も気づかれないはずはない。

この學園に常勤している一流探索者である教師たちは、この異変に気づき、既に向かって來ているはずだ。

あと1分に満たない時間を耐えきれば、こちらの勝ちだ。

そう考え、気のゆるみが生じてしまったのだろう。

僕は異変に気付くのが、僅かに遅れてしまった。

いつの間にか、クリムが放つ魔法。その発音や破壊音が止んでいる事に――――

「アイツ、何をしている？狀況は理解して逃げだしたのか？」

そうかといっても、『龍の足枷』から顔をのぞかせて、クリムの様子を見る勇気はない。

顔を出した瞬間を狙って、クリムが狙撃の準備をしている可能も０ではないのだ。

僅かだけれども、無限にじる靜寂さ。それを破ったのは僕の聲だった。

「……なんだ？あれは？」