《超迷宮奇譚伝 『このアイテムは裝備できません!』》真相???

―――町―――

扉を開けると、來客を知らせるベルが店に鳴り響き、

「いらっしゃいませ」

店員の明るく元気な挨拶で迎えてくる。

僕は馴染みの店員さんに「今日、來てますか?」と尋ねると、普通に案してくれた。

その場所には子連れのがいる。姉妹にしては歳が離れすぎていて、親子にしては母親が若過ぎる。

そんなが1週間の半分をブラブラと町を遊び歩いている。しかも、金銭的に不自由してるどころか裕福そうな振る舞いだ。

さらに言えば、踴り子風の出の高い服を著た

「そりゃ目立たないわけがないな」

本人は意図的にやっているのか、どうかは知らないが……

訳ありのとして、彼――――ドラ子・オブ・スピリットファイアはちょっとした知られる顔となっている。

最も、彼の名前であるドラ子・オブ・スピリットファイアは偽名であり……いや、それ以前に彼は人間ではない。

はドラゴン。

學園の存在するダンジョン最深部にて探索者を待ちける正真正銘のラスボス。

……と、その娘(名前はまだ知らない)

そんな彼が人間の町で何をしているかと言うと……

「むむむ、季節限定スイーツと新作スイーツが私の中でせめぎ合っていますよ。まさか、イチゴタルトの上にこんなを乗せるなんて!季節限定スイーツおそろべし!そして、一方の新作スイーツはあんこ!あんこ!あんこ!あんこ盡くしでありながら、まさかの和洋折衷!あんこの中にあんなものがっているなんて……誰が予想できるのだろうか?いや、誰も予想できない。人間の発想力は無限かっ!無限なのか!あぁ、迷いますね!ここがスイーツの最前線です! さて……どちらを食べて、どちらをお持ち帰りにすのか!」

「両方食べるのは決定済みなのか!」

「はひぃ!」

僕が突っ込みをれるまで、僕の存在に気がついていなかったらしく、ドラゴンは変な聲を出した。

「驚かせないでくださいよ!サクラさん!心臓が止まる所でしたよ!」

「うん、それは人類に取っての夢だけな」

「ひどっ! けど、悲しい事に事実なんですよね」

「まぁ、ラスボスだしな」

「けど、夢はいつか覚めるんですよ! この世界の真実に人類が気づいた日には!」

「ん? んん!? やめろ。無駄に風呂敷をひろげるな!」

そんな僕の様子を「あはっはっはは」とドラゴンは笑い。

「そろそろ、來る頃だと思ってましたよ」

真面目な表に変わった。

「教えてほしい事があるんだ。あの日、ゲンゴロウさんとタナカくんは……2人のに何が起こったのか」

「その件については、私も謝らなければなりません」

「謝る? お前が? 何を?」

「サクラさんのご友人と學園の関係者を……事件を防げませんでした」

「いや、それは……」

「私のテリトリーであるダンジョンの出來事、それもサクラさんが襲われた直後の事件です。もっと注意深く思考しておけば、あるいは防げたかもしれません。でも、防げなかった。今回の件は深く謝罪させていただきます」

そう、実際に深々と頭を下げるドラゴン。

その様子から、なんとなくだが……

ゲンゴロウさんは、既にこの世にいないのだとわかった。

「まず結論から聞かせてくれ。2人を襲ったのは誰だ?あの幽霊か?」

しかし、ドラゴンは首を橫に振り……

「2人を襲ったというのは勘違いです。事実、襲われたのは1人だけでした」

「1人だけ? じゃ、ゲンゴロウさんかタナカくんは襲われていないって事?」

「そんな馬鹿な……」と笑い飛ばそうとしたけれども、ドラゴンの表は珍しく真剣だった。

そして――――

「ゲンゴロウさんという方……彼を襲った人こそ、タナカくんという人です」

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