《超迷宮奇譚伝 『このアイテムは裝備できません!』》數日前 (回想) その2

「まず、あの子は人工的に作られた人間なのです」

「人工的って? 人間を!」

僕は絶句した。サンボル先生の回答は、それほどまでに衝撃的だった。

確かに、人間を人工的に作る事は不可能ではない。

には、『どう長するのか?どういったになるのか?』はあらかじめ決まられている。

當たり前だ。

トンビは鷹を産まないように、人間は他の生を出産する事はない。人間が産むのは人間だ。

そういった長の地図、あるいは生の設計図と言われている細胞がに存在している。

人間の目では不可視の大きさであるソレは、たんぱく質で作られていて、當然ながら――――

取り出し、極めて同質の生を作る事に功している。

つまり、もう――――

人工的に人は作れるのだ。

本來の使い方は、魔の生態調査。

去勢して、大人しくなった魔を人工的に生産し、その生活を観察する。

それらは、國家事業をして、どこの國だって行っている事だ。

しかし、それでも……

人が人を作ると言う非道徳的行いから生じる忌諱

それは自分で自分を作れると言う本能レベルで刷り込まれている嫌悪

非道徳観をそのままに、人間を人工的に作る行為は、どの國だって認めていない。

……そのはずだった。

「しかし、世界には抜け道がある」

サンボル先生の聲には靜かでありながら、反論を許さない響きがあった。

「もう、サクラくんは察しているでしょうが……彼は私とのつながりはありません。なぜなら、彼は限りなく私と同質の存在なのですから……」

「でも……」と僕は混しながらも、疑問を口にした。

「どう見ても先生とクリムは、別人じゃないですか?別だって!」

そうだ。クリムはだが……サンボル先生は男だ。

クリムが裝をしているかと、サンボル先生が男裝をしているとか……絶対にないとは言い切れないが……可能としては極めて低いはず。それも0に等しいと思う。

そんな疑問にサンボル先生は簡潔に答えを出した。

「人種改良だ」

「―――—ッ!?」

「彼は、ダンジョン完全攻略を目的に作られた人間なんだよ。だから、彼と私の違いは意図的に作られている。実験とデータ観測のために……ね」

そんな事が許されるのか?

いや、違う。許すとか、許さないとか、違うんだ。

は―――ロウ・クリムというは既に存在していて、彼の存在に許すとか、許さないとか……

頭がグルグル回って、正常な判斷力が失われていく。

僕は、どうすればいいのだろうか?

そんな事を考えて――――

「ロウ・クリムと言うのは、元は私が用していた剣の名前だったのです」

しかし、サンボル先生の話は終わりではなかった。

話はクリムの本である剣に移る。 それは、さらに吐き気がする話だった。

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