「ミドリさんの弱點とかないの？」

僕がそう聞くとサヲリさんはし悩み「そうだな。小さいものが好きだったな。小とか」と答えた。

「……いや、そうじゃなくて、日常生活での弱點じゃなくて、実戦で使えそうな弱點は？」

「ない」と即答だった。

「普通にお姉たまの勝率は100％だ。負けて當然の戦いだが、騎士と決闘は良い経験になる。命を取られるわけあるまいし、思いっきりぶつかって來い」

ミドリさんの登場で、口調というか、キャラクターがブレブレになっていたサヲリさんだったが、ここにきて鬼教モードが安定してきた。

よし！　負けても良い戦いなんて久しぶりだ。　全力でぶつかって散りに行くか！

パンパンと頬を２回叩き、気合をれ直す。

向かうはミドリさんが待っている校庭。

そこが決闘の地。　そこに足を踏みれた。

校庭は見學の人が大量に集まっていた。

うん、ある意味ではいつも通りの景。

目を凝らせば、同室の親友、背の高い戦友、王族の年、赤い、貴族のがいる。

……ラスボスも當たり前の顔をしているな。甘ったるそうなお菓子を大量に膝に乗せ、楽しんでやがるな。

そして、校庭の中心にはミドリさんが待ち構えていた。

武はオーソドックスに剣を選択した。

使い慣れてる短剣や鈍を選択しなかったのは、本場の騎士相手に剣で挑みたいという気持ちがあったから。

いつも通りの決闘の準備。　互いの武から殺傷能力を削ぐ魔法を――――

「私も舐められたものだね」

「え？」

線が走った。そうとしか思えない剣筋。

何を切った？　ゴトリと鈍い音がした。

音の方を見れば、謎のが落ちていた。　それが何か理解するまで數瞬の思考停止。

それは――――僕の剣だった。

僕が持っていた剣をミドリさんが真っ二つに切斷したのだ。

斬鉄。

「そんな鈍刀で私に挑もうと言うのか？」

ミドリさんの表は本気。　むしろ、怒っている？

もしかして……學園の決闘方式とは違う？

真剣と真剣で切り合うガチモノの決闘を行うつもりなのか？

それを肯定するかのようにミドリさんは剣を構え直し―――

橫薙ぎの一振り。

「くっ！」と僕はバックステップで避ける。

そのまま、一気に距離を稼いで間合いは大きく取る。

「學生とは言え、さすが現役の探索者。魔と対峙するための技は、騎士の技とは別だな。一瞬、一瞬の瞬発力が凄い。しかし――――」

次の瞬間、十分に広がった間合いは０になっていた。

僕の目前にはミドリさんの顔があった。

一瞬で追いつかれた？　馬鹿な！

僕は、もう一度、背後に飛ぶ。しかし、ミドリさんは同じ速度でついてくる。

１度、2度、3度……

「いい加減にしろ！」

僕はぶと同時に前蹴りを使い、追走してくるミドリさんを蹴り剝がした。

再び距離が開く。

ミドリさんの移。確かに僕ら探索者の技とは違っている。

人と対するための技。極端なまでに隙を作らない事を徹底したき。

作のおこり、初作、予備作。そう呼ばれるものを消すきだ。

要するにきの全てがノーモーション。

だから、気がつけば目前にいる。

わかっていても対応しきれない。　後手後手と防戦一方に追い込まれていく。

次々に振るわれるミドリさんの剣戟を折れた剣で捌くが……ジリ貧。

一方的にスタミナが奪われ、きが鈍くなってく覚が生まれてきた。

（や、やられる！）

だが、ミドリさんは急に攻撃を止めた。

なぜ？　ミドリさんの顔を窺う。

ゾッとした。　まるで蟲けらを――――取るに足らないを――――つまらないを見るような目を向けられていたからだ。

「こんなものか？」と彼は呟く。

「この程度とは師事したサヲリの力量を疑う。やはり、連れ戻しにきて正解だった……」

「え？連れ戻しに？」

「その通りだよ。様子を見に來たなんて噓だよ。本當は、この學校がラン家に相応しいか、見極めるためにきたのさ。そして、結果はでた」

「……けんな」

「ん？何か言ったかい？」

「ふざけんなって言ったんだよ！僕の力量で、學園を見極める？サヲリさんを見極める？ふざけんなよ。それでなにか？サヲリさんを止めさせるって言うのか？」

彼は―――ミドリさんは無言だった。けど、鼻で笑っていた。

「だったら、僕の――――俺の妙技を見せつけてやるぜ！」

「ほう、似ている。擬似的な人格を作って、自分をい立たせている。まるでサヲリちゃんとソックリじゃないか！」

「もう、お前は黙っていろ！」

僕は彼が振るった剣を避けると同時に彼の懐へ飛び込んだ。