《超迷宮奇譚伝 『このアイテムは裝備できません!』》とんでもない豚狩り

雄たけびを上げる僕らに気づいたのだろう。ビックピッグはギロリと兇悪な視線を向ける。

はっきり言ってビックピックは強い。だが、上質なを前にした僕らに恐怖はない。

それに攻略法なら把握している。

後衛のケンシが前に出る。 前衛の僕が後ろに下がる。

ビックピックの攻撃はパワフル&シンプル。 その巨を武當たり。

だから、攻撃は読みやすい!

加速したビックピックをケンシを橫に飛んで避けた。

そのまま、駆けていく。その巨ゆえ小回りが利かないのだ。

徐々に減速して停止。を回して、ゆっくりケンシと対峙していく。

後ろ足で1回、2回と地面と蹴って、再びケンシに突っ込もうとする。

しかし、そうはさせない。

「そこだ!ヒャッハー」

ケンシの後ろで待機してたのは、このためだ。

ビックピッグの當たりが止まる位置。

そこで僕がビックピッグの背中に飛び乗った。

そのまま、短剣を勢いをつけて突き刺す。だが―――

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ぷる~ん

凄まじいの弾力。突き刺したつもりの短剣が跳ね返される。

跡を見れば、背中に僅かな傷がついてるだけ。

「凄い質。これは本だ!……ってうわわぁ!」

への想も束の間。浮遊が襲い掛かってきた。

まるでロデオ。 ビックピックは激しい上下運で僕を振り下ろそうとしてくる。

(コイツ!予想より生きが良い!)

想定外のパワー。このままじゃ……

破裂音。

ケンシの火炎魔法がビックピッグの顔面にヒットしたのだ。

ビックピッグのきが急停止する。

「よし!これなら!」

再び、短剣を構え直す。

角度をつけて…… 皮を切るように……

突き立てる!

今度は確かな手ごたえがあり、短剣がって行く。

しかし、ダメージをけたビックピッグが今まで以上に――――

激しく暴れ始める。

左右上下前後。 地面はどこか? 天井はどこか?

痛みが走り、初めて地面に叩きつかれた事に気づく。

を起こすと目の前に巨が見える。

まるで蔑むように「ぶひぃぃ」と笑っているように見える。けど―――

勘違いしている。笑いたいのは僕の方だ!

「やれ!ケンシ!」

「あいよ!」

魔力を練る時間は十分に稼げたはず。

ケンシの周りには黃い閃が走り続けている。

ビックピッグの背中に殘っている僕の短剣。それに向けて、魔力で現化させたイナズマを――――

ケンシは放った。

――― 31層 ―――

「こいつはたまげた。グレートってやつだな」

僕らを出迎えたオントは、本気で絶賛していた(言葉使いはアレだけど)。

でも、僕らは……

「しょ、正直、張り過ぎた」と僕。

「あぁ、その場で解して、不要な部位は捨ててくればよかった」とケンシ。

僕らは仕留めたビックピッグを持ち上げたまま、ダンジョンの1層分を突破。

通常の豚でも100キロくらいの重さだ。ビックピッグはその10倍はある。

ケンシの支援魔法があったにしても、とんでもない重労働になった。

豚だけに…… とんでも……

極度の疲労狀態から思考能力も低下しているのだろう。

口に出すと空気を凍らせかねないフレーズが頭に浮かぶ。

しかし、1000キロクラスか。 1トンだな。

豚だけに…… 1トン……

あぁ、僕とケンシは、その場で寢転び休息を取る。

オントはビックピッグの抜きの準備を始めた。

31層は、魔が現れない安全地帯セーフティゾーンだ。

10層の人工的な安全地帯セーフティゾーンではなく、元から魔を寄せ付けないナニカがあるらしい。 最も、100%安全とは言い切れない。

本來は下の階層に存在しているはずの魔が別の階層に出現する場合があるのだから……

この階層を通り抜けて上の階層に向かう魔もいるわけだ。

涼しげな水の音。の熱を冷ましてくれる。

この階層、最大の特徴である回復の泉が近くにあるのだろう。

ちぇ、オントも飲み水として汲んでくれれば、僕らもけるのに……

そんな事を考えているとオントが聲をかけてきた。

「おい!豚のはどうする?ソーセージでも作るか?」

「ソーセージ?あぁ、ブラッドソーセージか。と混ぜる穀は?」

「問題ない。穀系は、たっぷり用意はしている」

「よし!やるか!腸を出せ!」

「待て待て、抜きしたの下処理が終わってない」

僕とオントがの解を行っていると、ケンシも作業を開始していた。

先ほど捕まえたウッドスネーク。そう言えば、何でヘビ系の魔を大量に集める事になった?

事前にオントが持ち込んでいた荷。そこからケンシは瓶を取り出して――――

「おい!」と僕はケンシの頭は叩く。

叩かれたケンシは頭を押さえて「何するんだ!」と怒り出した。けど――――

「ウッドスネークを酒に漬けるつもりだろ!」

「あっ……バレた?」

「お前、それは灑落にならないぞ……」

「大丈夫、大丈夫、個人的に売るだけだから!」

それなら……大丈夫?なのかな?

そんなこんなで準備は済んだ。何の?

歓迎會の準備だよ。

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