《超迷宮奇譚伝 『このアイテムは裝備できません!』》上層への避難

僕はんでいた。

「うわあああぁ!? なんだ?じ、地震?」

大地が揺れる。

いや、ダンジョンだから、大地って表現するのは間違いじゃないか?

だとしたら、この場合はなんだ?

大地じゃなくて……いや、そんな事はどうでもいいじゃないか!

あぁ、僕はパニックになっている。冷靜な判斷ができない。

が左右上下に激しく揺さぶられてる。

ついさっき、ビックピッグの背中に飛び乗った時と同じような覚が……

覚が…… 覚が……

……ない!? 覚がない!?

激しく揺れているのはダンジョンと僕の視線だけ。に揺れをじない。

これは……一

「何やってんだ?サクラ? 早く避難するぞ」

「え?」

そう言ったのはケンシだった。よく見れば彼のは浮いていた。

浮遊魔法だ。たぶん、ケンシの魔法。

浮いているの彼だけではない。

他のクラスメイト達も、そして僕自も浮かんでいた。

これで激しい揺れを気にせず、避難プランを落ち著いて考えられる。

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どうやら、パニック狀態に陥っていたのは僕だけのようだ。

確認のために、周囲を見渡すと先生が見えた。

「どうしますか?」とサンボル先生とキク先生が相談していた。

「揺れがおさまり次第、地上へ帰還しましょうか?」とキク先生。

「いいえ、ここでは地上の狀況まで確認できません。おそらく、ダンジョンへ潛っている全員が安全地帯の10層を最初に目指すでしょう」とサンボル先生。

「なら、我々も10層へ向かい、他の生徒たちと合流。報収集を優先に?」

「そのプランでお願いします」

地震は長く続いた。 このまま大地の揺れが止まらないのでは?

そう考えてしまう時間だった。しかし、終わらない地震はない。

「……揺れが止まった?」

僕は他のクラスメイト達と顔を合わせる。

そのまま、3秒ほど経過した。

「それではみなさん!我々は10層の安全地帯へ移します!」

サンボル先生の聲が合図になって、僕らの浮遊魔法が解かれる。

その直後には「うわぁ」と驚きの聲をらしてしまった。

長時間、宙に浮いていたため、地面に足をついた瞬間にバランスを崩しそうになったからだ。

そんな僕の様子を見て、ケンシは「遊んでないで行くぞ」と笑いながら言った。

「……あいよ」と僕は答えた。

素早く安全地帯の31層から撤退して、30層を走る。

10層へ向かって集団で移する流れになった。

クラスメイト全員でダンジョンを移するのは、ダンジョンに潛った最初の日以來だ。

集団で行する方が安全と考えがちだが、魔から目立ってしょうがない。

臆病な魔は、集団を見れば逃げ出してしまうし、集団を襲うのは獰猛で気の荒い魔ばかり。

危険な種類の魔を呼び込んでしまうのだ。

しかし、不思議な事に、僕ら集団を襲う魔は現れなかった。

不自然過ぎるほどに……

強行軍で走り続けていくと、徐々に疲労が溜まってくる。

まだ1層分の通過に関わらず、の重さが如実にじている。

僕は「はぁ…はぁ…」とれた呼吸を整える。

「なぁ、ケンシ。し奇妙じゃないか?」

「あん?なんだよ?」

ケンシは苛立った口調で返事をした。

「こんなにも、ダンジョンを進んでいるのに1匹も魔と遭遇していない」

「……」

彼も異変に気付いていたのだろう。今度の返事は無言を返しただけだった。

探索者のカンというやつだろうか? 漠然とした不安だけが徐々に膨れてくる。

それも僕とケンシだけではなく、いつ間にか集団にも染していた。

奇妙な。それを切り裂いたのは……

「きゃあああああぁぁぁ!」

悲鳴だった。

そいつは巨大な魔

同時に皆が足を止める。悲鳴は集団の後ろ。

集団後方に魔の姿が見えた。魔の襲撃だ。

僕とケンシにとっては今日2回目の遭遇。

レアな魔で、本來は出會う確率が限りなく低いはずのビックピッグの登場!

「ヤバい!」

僕は、反的に駆け出してた。

ビックピッグ相手に集団戦闘は不利だ。

その助走をつけた突進は、いとも簡単に集した集団を蹴散らす。

急いで集団は散らばり、散兵で戦わなければいけない。

しかし――――

目の前に立つビックピックは、明らかに様子がおかしかった。

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