《超迷宮奇譚伝 『このアイテムは裝備できません!』》黒く蠢く巨大な壁

まず、見えたのはシュット學園だ。

予想よりも地震の被害はないみたいだ。

いや、むしろ、地震による変化が見られていない。

避難している人もいなければ、窓ガラスが割れたり、建が壊れたり……そういう変化は見えなかった。

「なぁ?これって今の映像なのか?」

「えぇ、リアルタイム中継です」

りあるたいむ?ちゅうけい?

僕は、その言葉の意味はわからなかったが、文脈的に肯定されたのだと判斷した。

……だとすると……

「ドラゴン、外ではどのくらい揺れたんだ?」

「……全く」

僕はドラゴンの返答の意味を理解するのに、僅かな時間が必要だった。

「全く?全く揺れてなかったのか?信じられない!」

「えぇ、そもそも、あの揺れは地震とは違うものでしたから」

「地震とは違う?じゃ、あの揺れの正は?」

しかし、ドラゴンは「……」と返事をしなかった。

「どうしたんだ?」

「……りません」

「え?」

「わかりません。私にもわからない事くらいあります!」

そう言われると、何も言えなくなる。

確かにその通りだ。

人間を遙かに凌駕する膨大な魔力と高い知能。そして壽命を持つとされるドラゴン。

その片鱗をじさせないと思いながらも、僕はいつの間にか、ドラゴンなら何でも知っていると思いこんでいたのだ。

言われてみたら、當たり前のことだろう。

ドラゴンだって知らない事くらいある。

しかし、そうなると……別の疑問が浮かんでくる。

ドラゴンは、なぜこの映像を僕に見せようとしたのか?

「見せたかったのは、ここの部分ですよ」

ドラゴンは映像の畫面に指先をれさすと畫面の一部が大きくなっていった。

「ここです!」

ドラゴンが指差した所を凝視する。

「……? 何もないみたいだけど?」

「いいえ、もっとよく見てください」

「ん?」

ドラゴンが言うように、じーと見ていると……

異変に気付いた。

「なんだ?これ?黒い塊?」

畫面から判斷は難しいが、シュット學園からかなり離れた位置なのだろう。

かなり見えにくい。しかし、確かに黒い塊のようなものが見える。

むしろ、蠢いている。

「これは一?」

「魔です」

「魔!?こんな巨大な個が存在していたのか?それもダンジョンの外で!?!?」

しかし、ドラゴンは首を橫に振って否定した。

「違います。さらによく見てください!」

「さらに!?これ以上、どうやって見ろと」

「主にで!」

!」

言われたまま、で見てみる。

すると……

「こ、これ!」

「気づきましたか?そう、これは魔の個ではなく、魔の集団です」

もう一度、映像を見る。

黒い塊。 それは複數の魔たちが重なっていた。

、どのくらいの數になるのだろうか? 100や200の數字ではすまない。

「こいつらは何処から現れたんだ?……いや、そんな事よりも、このままだと!」

「シュット學園に直撃します」

「―――ッ!?」

僕は絶句するしかなかった。

「どうやら、この周辺のダンジョンから魔たちが同時にダンジョンの外へ―――そのまま合流して、こちらへ目指しているみたいですね」

「そんな事があり得るのか!?」

「だから、私にもわからない事があると言ったじゃないですか!」

いつの間にか、僕とドラゴンの2人は絶していた。

「くそぉ、どうする……ってあれ?」

「どうしましたか?サクラさん?」

「いや、もしかして、お前の調が悪いのと関係しているのか?」

「!?」

ドラゴンは分かりやすい反応を見せた。……やっぱりか。

どうやら、外で大量の魔がシュット學園を襲おうとしている現象を同じ現象がドラゴンを襲っているみたいだ。

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