《超迷宮奇譚伝 『このアイテムは裝備できません!』》モラトリアムの終了

「龍の足枷ドラゴンシール」

このまま、真っ直ぐに突き出した拳のきと連して、『龍の足枷』が推進力を得て飛んでいけばいい。

そう考えて練習していたのだが、現実はそう甘くない。

拳の勢いとは逆に現化した『龍の足枷』は一瞬だけ空中に靜止したかと思うと、重力に沿って落下した。それも、土砂で通行止めになっている通路の遙か手前でだ。けど――――

「どうだ!」

と自信満々にドラゴンの方を向き直すと彼は首を傾げ、?マークを連発させていた。

「『どうだ!』と自信満々に言われましても、『龍の足枷』を出したようにしか見えないのですが……」

「いやいやいやいや」と僕はドラゴンの言葉を全で否定した。

「よくよく見てほしい」

「よくよく見たところで、何も変化は生じないと思うのですが?」

「1メートル進んでいるだろ?」

「……」

あっ、それに何の意味が?って視線を向けられた。

「いやいや1メートルだぞ? 1メートル先の敵にぶち込めるって有効的だろ?」

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「はい、歩いて剣で突き刺した方が早いのでは?」

「いやいや、人類最強の一撃だぞ!きを封じた相手を一撃で倒せる!」

「はい、きを封じた相手を剣で突き刺した方が早いのでは?」

「ものすごいい敵とかいるでしょ!」

いや、不なコントをしている場合じゃなかった。

「取りあえず、コイツをアノ壁にぶち込んでくる」

1メートル。

その程距離まで近づけば、どんな敵でも倒せる……はず。

「サクラさん、その前にどうやって外に出ていくつもりなんですか?」

「え?どうやって……」

通路は土砂で通行止め。

通行止めの箇所は、確か20から30か所だったよな。

土砂は『龍の足枷』で吹き飛ばすとしても、通路ごと破壊してしまう可能も0ではない。

「あれ?もしかして、僕たちはダンジョンに閉じ込めれれてないか?」

「いまさらですか!」

……あれ? 真面目な話、完全に詰んでないか?これ?

「サクラさん、無事にダンジョンから出でき、安全に魔の壁まで連れて行く手段があるのですが……どうですか?」

「どうですか?って聞かれても、そんな方法があるなら選択の余地もないだろ。なんでもやってやるよ」

「なんでも?言質は取りましたが、確認します。今、なんでもするって言いましたよね?」

ドラゴンの顔は真剣そのもの。その表から「本當に覚悟は決まっているのか?」と問いかけられる。

その勢いと迫力に思わず後ずさりしてしまうが―――― それでも僕は――――

「う、うん」と返事を返す。

「わかりました。サクラさんがそれほどの覚悟なら、私もお答えしましょう!……それでは式の日取りは、いつにしますか?」

「いつものパターンか!?……でもまぁ、構わないよ。結婚しようか」

「はああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!?!?」

それは、ドラゴンの咆哮だった。當然、僕は吹き飛ばされる。

「死ぬわ!」

ドラゴンの咆哮によって吹き飛ばされ、壁に衝突した僕は、ほぼ気絶スタン狀態だった。

気を失ったのは、僅かな時間とは言え、頭部へのダメージが心配だ。

人間狀態の咆哮だから、この程度だったわけだが、ドラゴン狀態の咆哮だったら……

いや、前に実際ドラゴン狀態の咆哮をけた事があったな。

「ごめんなさい。でも、そんなフラグありました?私が言うのは何ですが、ご自分を大切にした方がいいのではないでしょうか?」

「じゃ、なんでお前は求婚してたんだよ!」

「でも……」

「まぁ、理由がないわけでもない。たぶん、僕は今まで通りに生きれなくなる」

人類最強の武。 ダンジョン最下層攻略。

あの魔を群れを倒して、その2つを匿し続ける事はできない。

不特定多數の人達に『龍の足枷』を見られる事になる。

人目を避けて生きるか? それとも英雄として祭り上げられるか?

僕の生活は、今日をもって激変する。それは確実だ。

執行猶予モラトリアムは本日をもって終了となります。

だったら――――

「別にも僕はお前の事を嫌いでもないし、むしろ、一緒にいて楽しいと思っている。だから……その…顔を合わせるたびに結婚結婚って冗談で言ってたり、ノリで言ってるだけで本気じゃないなら、笑ってくれても……」

「い、いえ、突然のデレ期に反応できなかったと言うか、そのこちらこそ、末永く宜しくお願いします!」

こうして、僕は結婚をすることになった。

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