鮮が舞い上がる。

キララの肘がゴドーの瞼マブタ付近を切り裂いのだ。

ゴドーのきが止まった。

剎那の時間。それでもキララには十分な報酬だったのだろう。

ゴドーの首にキララの腕が巻き付いていった。

首相撲。

キララはゴドーのを左右に揺さぶる。

そのまま膝を胃ストマックに突き立てる。

続けて膝蹴りを————

１発２発３発……

ゴドーが攻撃を防ごうと自分の首をロックしているキララの腕を摑む。

だが、キララはさせない。　強烈な頭突きを叩き込んだ。

骨と骨がぶつかり合う鈍い音が響く。

ゴドーにしてみたら首相撲で頭部を固定された狀態での頭突きだ。

その威力は通常のダメージとは段違い。

そのまま、キララは首相撲でゴドーのを左右に振り―――

足払い。

展開は寢技グラントへ移行していく。

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

「寢技か……」

僕はキララの選択を不安視した。

首相撲での攻防。あきらかにゴドーはキララの首相撲を対処できていなかった。

力差、格差、重差、腕力差……

フィジカルの面ではゴドーの方が上。

キララもにしてみたら背の高い方だが、それでも長差は２０センチ近くある。

重差なら３０キロくらいか？

もしかしたら、格差と腕力差から、ゴドーがキララの首相撲を學び、短時間で対処する事もあり得ただろう。

しかし————いや、だからこそギリギリまで打撃でゴドーのメンタルとフィジカルを削るべきだったのだ。

「……正直、寢技は悪手だな」

僕は呟いた。

しかし、まだ————正確には寢技ではない。

その一歩手前だ。

試合はきを止めた。

上から覆いかぶさり、有利なポジションを取ろうとするキララ。まだ彼は立っている。

一方のゴドーは背中を地面につけた狀態で両足を彼に向けて、牽制している。

所謂、豬木アリ狀態

彼はゴドーの両足をゆっくり摑む。

邪魔な両足を橫に払い……一気にゴドーの上にのしかかった。

パスガード功

だが、腕力差。

キララのが宙に浮く。

下からゴドーが彼の太ももと腹部を摑み、押し上げたのだ。

ゴドーなら、キララの重の２倍以上の重さを持ち上げるだろう。

しかし、空中姿勢

跳ね上げられたキララはゴドーの腕を摑んでいる。

空中でをかし、落下して―――

腕十字固め

ゴドーの腕力。寢技において腕力差は如実に出てくる。

関節技には、こんな言葉がある。

『関節技はテコの原理を使っているから力はいらない

……なんていう奴は素人だ。技を極めるまで、どれだけの力が必要だと思っている？』

しかし、キララにもゴドーを大きく上回る武がある。

それは―———　速度スピード。

打撃は無論、キララは寢技ですら疾い。

速度の乗った関節技は————腕力を超える。

だが、相手はゴドーだ。

もちろん、腕力だけが武ではない。

自らの腕を摑み、極まるよりも速く腕十字固めを防。

そのまま腕十字の勢いを利用して、ゴドーがキララの上になる。

ガードポジション

キララのきが止まった。

そのまま、ゴドーの前腕がキララのへ。

ギロチンチョークだ。

ゴドーは、そのまま重をにかけていく。

「……あれは出できないな」

「でも、彼はギブアップしないでしょうね。セコンドからのタオル投でも試合止めれるでしたけ？」

「いや……ん？」

ゴドーが上から、何かは喋った。

すると、審判役が試合は止めた。……いや、キララのギブアップだ。

そのまま、彼は立ち上がるとフラフラと僕等がいる通路へ戻ってきた

「……ごめん。私……」

彼は泣いていた。

「大丈夫だ。ここから僕とドラゴンで勝てば……」

「違う！違うんだ……アイツは……」

試合中、打撃を１度も使わなかった。

キララの言葉に僕は驚いた。

しかし……確かに…思い返してみれば試合中にゴドーは１度も打撃を使用していなかった。

「悔しいなぁ。もうし、やれると思ったんだけどなぁ……」

彼は座り込み――――

「ごめん、ちょっと泣いたら復活するから……」

僕は彼になにも言えなかった。