《超迷宮奇譚伝 『このアイテムは裝備できません!』》迷宮化現象

 

「いってらっしゃい」

僕たちの出発を村人たちと観客が盛大に見送ってくれる。

キララだけはりきっているが、ちょっとゲンナリとする。

うそか、本當か、危険な道アイテムが奧に存在しているという話だが……

祠自、そんなに深いものではない。

ただの村人が部からが見えたって理由で最深部まで歩いていったんだ。

簡単にたどり著くだろう。

この時はまだ―――そう思っていた。

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

「あれ? お父さん、この先に分かれ道があるよ」

暗い祠の中、炎で照らす役目に立候補したため先行していたクリムが言う。

「ん? ちょっと待ってろ」

足を速めてクリムと合流する。

確かに分かれ道だ。

「おかしいですね。村長さんの話では例の鎧まで一本道だったはずでは?」とドラゴン。

「もしかしたら、3年前の地震の後、鎧に近づいてになった村人以外、祠にってないのでないでしょうか? そのため、隠れていた通路が何年も発見されていないままだったのでは?」とキララ。

「いや、そもそも、村人が化したって村長の話……誰が見てたんだよ」と僕。

「あっ!そう言えばそうですね。流石、サクラさん」

「確かに……言うことは、村長の話は……私、騙されてた!?」

「うん、キララだけ騙されていた」

「うむ……話を戻すけど――――

ここ、魔モンスターがいないか?」

僕の言葉に全員が沈黙した。

姿は見えないが、小柄な影が遠巻きにコチラを窺っている気配。これは――――

「ゴブリンでしょうね」とドラゴン。

「……じゃ引き返すぞ」

しかし、キララは納得しなかったらしく――――

「どうしてだ? ゴブリン程度なら、私1人でも問題ないくらいで、何より私より皆の方が強いわけだろ?」

「いや、そうじゃない。祠の部にゴブリンが―――魔モンスターが存在していて、部は一本道だったはずのが、どうも複雑化している。これは――――

迷宮ダンジョン化現象だ」

―――迷宮化現象―――

詳細は不明だが、窟や廃城、あるいは墓場など、特定の場所に魔モンスターが住み著くことで、既存のダンジョンのように変化してしまう現象だ。

「実は初めてみる。……ドラゴン何かわかるか?」

元ダンジョンのラスボスであるドラゴンなら、何かわかるかもしれない。

そう思っていたが……

「さぁ?」と返された。

「いくら、知りの私でも、ダンジョンがどうやって生まれるのか、どうやって作るのかわかりませんよ」

そう話しながら、チラチラとキララの方を見ながらアイコンタクトを送ってくる。

どうやらドラゴンの正を知らないキララがいるので喋れない事があるらしい。

「わかった。それじゃ、僕の引き返すって判斷に意見はあるか?」

「ありません。正しい判斷じゃないですか。萬が一、私たちが帰還できなければ、迷宮化の報伝達が遅れます。村人たちが迷宮化に気づくとしたら、外に魔があふれ出し來る狀態になってからでしょう。

そうなると、観地と行っても辺境の地。探索者たちが到著するまで、周辺の村々はいくつ滅ぶことになるのか想像もしたくないですね」

「説明ありがとう。というわけだキララも納得してくるか?」

「すまない。私の考えは淺はかで困っただろう」

「いやいや、キララは探索者じゃないわけだし、それに――――」

「それに?」

「自分では當たり前になっていることに疑問を持ってくれる人がいると、再認識と言うか……いや、再発見かな? まぁ兎に角……便利なのさ」

「……便利って割と酷い言い方だね」

「そうかな?」と僕。

「そうだよ」とキララ。

2人で笑っていると、なぜだかドラゴンとクリムの視線が痛かった。

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