「久しいなサクラ」とオント。

僕は「あぁ」と笑った。

「キララは兎も角、よくクリムを捕まえる事ができたな。　あの子はどこに？」

「ひどっ！」と抗議の聲がキララから聞こえてきたがシリアスなシーンにそぐわないのでスルーしておいた。

それはオントも同じだった。

「ここにいるさ」とオントは部下から剣をけ取り、見せてくる。

「この鞘は魔剣封じの鞘。あの娘の天敵を言ってもいい」

「対策は萬端という事か」

「……クリムいるのか？」と尋ねる。

ガタガタと剣が揺れ出した。そう思うと―———

「ごめん、お父さん。捕まってちゃった……」

剣からクリムの聲が聞こえてきた。

「人質か。貴族のくせに優雅じゃないね」

「あぁ、學生時代に搦め手が得意な奴がいてね。……いや、お前の事なんだが？」

「アハ……冗談抜かせよ」

「流石だな。人にそんな気をぶつけておいて、自分は笑うのかよ」

ジリ―———　互いの間合いが一歩分だけんでいく。

そのタイミング。

「サクラさん、私が全員を蹴散らして、ついでにクリムとキララを救出します」

僕を庇うようにドラゴンが前にでる。

その瞬間、なにか悪寒は走り抜けた。

（なんだ？　この覚……）

オント達からじる何か……

例えば、張。　それは數の伏兵が大軍を破る瞬間ににつけるソレに似ていて―――

手が震えた。

それは僕自が原因ではなく、正確には腕に刻まれた紋章が僕の意志を無視して震え始めていた。

（これは『龍の足枷』が共鳴をしている？）

「下がれ！　ドラゴン！　コイツら何か企んでいる」

「もう遅い」とオントがび。「カイムやれ！」と命令を発した。

既に駆け出しているドラゴンの前に誰かが飛びだす。

あれは、確か……名前は知らない。まだ若い。

コウガでは、僕に似たきを見せ、クリムとドラゴンに空高く打ち上げられたあの年。

カイムとは、この年の名前なのだろう。

そして、カイムは、こうんだ。

「龍の足枷・・・・」

カイムの後ろに現れたのは見間違う事のない鉄球。

そして鎖と柄。

なぜ？　その思考すら許されない剎那の時間。

鎖は唸りを上げてドラゴンに飛んでいく。　そのまま、彼を縛り上げた。

「くっ……なんでこれを、お前たちが！」

ドラゴンから苦痛じりの怒聲が飛んだ。

しかし、カイムは「……」と無言で睨み返すだけ。

彼の代わりだろうか？　オントは飄々と言った。

「いやいや、むしろ不思議なんだが……元々、龍を捕獲するための人間の道を、なんで最初から持っていないなんて決めつけたんだよ」

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

『龍の足枷』

シュット學園が管理するダンジョン。

その最深部でラスボスであるドラゴンを倒した者に與えられる財寶の中の１つ。

それは現存する人類の武で最強の存在であり、所有者である僕がいまだに扱いきれていない武でもある。

しかし、しかしだ。

起源をひも解いていけば、『龍の足枷』とは人間が作っただ。

元々は名前の通り、龍の足枷として作られた巨大な球。

事実としてドラゴンは人間に捕えられていた過去がある。

今、僕の手にある『龍の足枷』は長年、ドラゴンの魔力、霊気、聖気etcetc

様々な力を吸収した武として完を迎えただ。

以上の事を考えてみれば―———

「確かに、確かに、その技が現存していてもおかしくない……か？」

ギリッと強く噛みしめた歯がなった。

僅かにがから伝わり地面に落ちた。

「その表、見たかったぞ。まぁ學園時代に散々見た表ではあるがな」

オントは続ける。

「ドラゴンを―――ラスボスを捕獲する技。それは純粋な力だ」

「力だって？」

「おかしいか？　國々のパワーバランスが覆す事が可能なほどの力とは思わいか？出來る隠匿するには十分すぎる機だ。だが、その技をけ継ぐ者が殘っていた」

オントの言葉にカイムが前に出る。

「僕の名前はイット・カイム。龍を捕獲する一族の末裔だ」

それは僕は―――俺は————

「黙れよ」

一蹴する。