《超迷宮奇譚伝 『このアイテムは裝備できません!』》因縁の毆り合い

「お前ら————いや、オム・オント。彼達を解放しろ」

「いいぜ。もちろん、俺に勝ったらだけどな」

「お前らは下がっていろ」とオントは部下を下がらせる。

「しかし……」と渋る者もいたが、オントの睨みに負けて下がった。

「対した統率力だ」

僕は、素直に賛辭を贈る。けど―――

「けど、それを利用して————力づくで彼達を、の子を屈服させようってのが気にらない」

しかし、オントは俺の言葉を笑った。

「サクラ……お前、狂ってるぜ」

「なに?」

「ここまで異常な集団でありながら、お前にとってはキャッハウフフのハーレム旅行に過ぎなかったんだろ? だが、その狂気……學園時代は皆がお前の狂気に酔いしれていた事を思い出ぜ。最もお前は、それに気づきさえしなかったのだろうがな」

「ソイツは……」と僕は言いよどみ、「嫌な言い方だ」としか言えなかった。

彼は再び笑う。

「今まで言わなかったが、俺は學生時代、本當はお前の事が大嫌いで———大好きだったぞ」

「そうか……殘念だけど僕―――俺は逆だ。お前の事が心底、大好きで―———大嫌いだった」

互いに大きく前に出る―———いや、気づけば俺もオントも駆け出していた。

「笑わせやがる! 行くぞ! トーア・サクラ!」

「いいね。かかって來い! オム・オント!」

先にオントの鉄拳が俺の頬を叩いた。

だが、それで俺は止まらない。

「邪魔だ!」

さらに踏み出し、オントの拳を顔面で押し返しながら—————

逆に拳を叩き込む。

オントのが沈んでいくのが見えた。

まるでゆっくりとスローモーションのように―———だが、オントのは急加速した。

そして、視界から消える。

(飛んだ? 橫か!)

一瞬の判斷に救われた。

死角からの打撃を腕でける。しかし、その腕にオントが自の腕を絡ませて來る。

関節技!?

強引に腕を払って回避する。その最中、何発かの打撃が被弾する。

相変わらず石のようにい拳だった。

當然、俺も打撃を返す。

打戦

オントの拳が見える。他に見えるものは俺が放つ拳だけだった。

拳と拳

不意にその拳が変化する。俺の拳ではない。オントの拳だ。

オントの腕が俺の首に巻き付いていく。

(首相撲? このタイミングで?)

不用意だ。このまま、首相撲に持ち込むなら、頭突き、肘、膝……いくらでも叩き込める。

事実、俺はそのつもりだった。しかし————

衝撃

頭突き、肘、膝、それらの間合いに備えて狙いを定めていた俺には十分過ぎるほどの不意打ちの打撃だ。

オントが狙っていたのは、首相撲じゃなかった。

相手の首に片腕だけを回して、シンプル毆る。ただ、それだけの行為。

(にげ……離せない! ロックが強すぎる!)

しかし、その腕力からは絶対に離さない。

絶対に逃がさないという強い意志が伝わってくる。

(コイツはヤバい……首が、頭が固定されてパンチの衝撃が……ダメージが殺せない)

視界がぼやけてくる。 オントの打撃もくにゃくにゃとねじ曲がって見えてくる。

(だったら!)

他に方法はない。

脳のダメージで視界のブレが酷い。

こうなってしまうと打撃戦で、もう避ける技はない。

だったら、寢技に持ち込むか? ――――いや、無理だ。

オントの片腕は―———その固定力には抗えない。

(だから!?)

俺も、オントの首に片腕を回す。

互いに同じ、勢。 それでただ―――

拳を振り回すのみ

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