馬車と言う牢獄が開いた。

「久しいなトーア・サクラ」

凜とした聲が響く。外には2人の騎士しかいなかった。

ラン・サヲリ

ラン・ミドリ

両名共に見知った顔だ。

「……2人だけの迎えと言うのは々、不用心な気がしますね」

キョロキョロと様子を窺う。　ココに護送されるのは2回目だが、最初の扱いとはずいぶんと違っていた。

監視役が隠れているということもなさそうだった。

「減らず口を……人を心配させておいて」

「そうよ！　サヲリちゃんは、ずっと貴方を心配していて、夜な夜な————」

ミドリさんは何かを言いかけたが、サヲリさんの打撃によって防がれた。

「まぁ、未來の旦那さまが帰ってきてルンルン気分なのはわかるけど、騎士として―———」

再び打撃音。

「この子たら照れちゃって、今晩は赤飯でも―――」

「お姉たまは黙ってください！」

散々、サヲリさんの打撃をけながらも茶々をれ続けるミドリさんのタフネスに驚かされたが、

マジで正座させられ説教をけた事で、ようやく落ち著きを取り戻した。

「2人共、相変わらずですね」

僕は2人に先導させられ『シュット城』の中へっていく。

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

薄暗いジメジメとした空間。

僕の目の前には老人が1人座っている。

「お久しぶりですね。ジッガ・ヤン法務大臣」

「うむ、今は出世してね。　立場は宰相だよ」

「なるほど」と僕は返した。

正直、宰相という立場が、どういったものなのか知らないから誤魔化したのだ。

「貴方が、僕を水面下で援助してくれていたのですか？」

ヤン宰相は「援助？　あぁ援助。　そう援助ね」と言う。

前回から思っていたが、どうやら言葉を繰り返すの癖になっているみたいだ。

「そりゃ、援助だってする。かつて、前王の目前にお前を送ったのは、この私だよ」

「そうでしたね」

「勘違いして貰っては困るが……」

不意にヤン宰相の口調が厳しいものに変わった。

「お前が前王を殺害したとなれば、お前を無害だと進言した私も同罪なのさ。お前を守る事で自分を守る」

「それは……すいませんでした」

頭を垂れた僕にヤン宰相は笑った。

「ハッハッハ……君はそこで謝るのか。やはりユニークだ」

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

それから先は當り障りのない會話だった。

「シュット國を出した時、船に配置した監視役から、どうやって逃げたのか？」

そこから始まり―――

「コウガにあるダンジョン。そこのラスボスであるケロべロスはどんな魔だったか？」

「呪われたアイテム『呪怨の卵』が本當に使用されていたのか？」

「イスカルの政に大きく関與する法律を作ったのは本當か？」

「新造ダンジョンでみた鎧とは、どのようなだったのか？」

結局、旅を最初から説明するような質問をけ続け、それに答えるだけで長い時間が必要だった。

「なるほど……」とヤン宰相。

そして————

「新造ダンジョンでみたと言う『呪われた鎧』　それに君を閉じた世界に封じ込めた『呪怨の卵』　この２つを直接見た君の印象は？　どうじ、どう思った？」

そう聞かれて、初めて気がついた。

「……似ていた」

自然と口にしたその言葉にヤン宰相は、さらに————

「似ていた？　２つは似ていたのかね？」

「えぇ、あれは……確かに同質な何かを包しいたような……」

「なるほど……では最後の質問じゃ」とヤン宰相は言葉を一度切った。

張している？　この老人が張を隠せないほどの質問とは？

そう思った直後、ヤン宰相は言葉を発した。

「次期王妃、トクラター・アリス————

彼が本當に前王暗殺に関與していると思うか？」