《超迷宮奇譚伝 『このアイテムは裝備できません!』》彼の名は?

教皇の間が見えてきた。

階段の果てにある高所。『聖域』の最上階。

その建に踏み込む直前、僕らは足を止めた。

「いよいよ、ラストバトルだね!」とクリム。

し、が欠けているようだ。

僕は「油斷しちゃだめだ」と彼を嗜める。

「たぶん、あそこには12使徒を従わせる教皇がいて、彼は12個の『聖』を全て持っている。どんな武かわからないから警戒していくんだ」

わかったのか?

それとも、わかってないのか?

クリムは「はい!」と元気よく返事を返した。

「念のために僕の短剣に変裝して、鞘にってもらっていいか?」

「うん、前にお城でアリスさんを騙したアレと同じだね」

「人聞きが悪い!」

あれは作戦であって、騙したと言うか。そうしないと僕が危なかったわけで……

そんな僕の言い訳など聞かず、クリムは短剣に変すると鞘にった。

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

――――教皇の間————

そこに人がいた。

の男だ。

そして、手にはの付いたナイフ。

足元にあるだまりの中、初老の男がうつ伏せに倒れている。

これが推理小説の世界ならば、思わず「貴方が犯人だ!」と言わざる得ない。

男は赤子のような無邪気な表でナイフのを舐めたかと思うと、刃の腹を頬ずりし始めた。

當然ながら、彼の頬には鮮がこびり付き、化粧のようになっている。

赤子のような表かと思ったら、次は老獪な研究者のようにナイフを凝視している。

(なんだ、コイツは?一、何者なんだ?)

そんな僕の揺が伝わったらしい。

彼は、僕とクリムの存在に気づき、「あぁ、お客さんかい?」と笑顔をみせた。

「すまないね。ここの主は席をはずしているんだい。ちょっと、天國までね。だから、もう帰ってこないよ」

そう言うと、足元の男を指差した。

「そ、そのが教皇?」

「ん? あぁ、そう呼ばれていたかな? 愉快な男でね。初対面で生涯の友にれると思った。もう生涯は終わっちゃったけど」

「……」

ヤバい。

俺の脳で危険を知らせる警報がガンガンに鳴り響いている。

「君が殺したのかい?」

「僕が殺したって? おいおい、冗談だろ? そんなまさか……逆に僕以外に誰が殺したって言うんだい?」

話しが噛み合わない。

微妙に、何か言語回路に異常が生じているかのような不自然さ。

正直、逃げ出したい。

しかし、その前にこれだけは聞いておかなければならない。

「君は僕らの敵? それとも、味方……いや、赤の他人?」

僕の質問に男はし考えるようなじだった。

そして、こう答えた。

「いやだなぁ。僕には赤の他人なんて概念は存在しないよ。皆が僕の兄弟で家族だ」

やはり、言葉が通じているようで通じてない。

コイツは、僕1人じゃ手に負えない。

喋っているだけで頭がおかしくなりそうだ。

「あぁ、そうか。君たちはあれなんだろ? えっとシュット國から送られてきた……先兵だったけ? 君たちは『教會』を滅ぼして何するの?」

「何って言われても、僕らは『教會』の方が攻撃を仕掛けようとしてると……」

「それって専守防衛かい? でも、君たちの方が早く攻撃を仕掛けているよね?」

「それは『教會』が戦爭を準備をしてると……」

「疑わしきは罰せろ? まぁ事実、疑いは正解だったわけなんですけどね」

「……」

會話が立している?

と言うよりも、會話の度が上がっている。

なぜだか、そんな印象をけた。

「まぁ、ネタバレすると、僕は神様」

「……え?」

それは、意味不明の極みだった。

「神様って、それはどういう意味で?」

「あぁ、君は疑っているね。その疑いも正解だよ。僕は神様じゃない」

「つまり……冗談だった」

「いや、違うよ。本気さ。僕は神様だけど、正確には神様じゃない。矛盾してないよね? それとも矛盾してるかい?」

「わからない。君は何が言いたいんだい?」

「そうだね。君にわかるように言おう。 僕は、僕の正は―———

『聖

――――だよ。

彼は笑顔で答えた。

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