《超迷宮奇譚伝 『このアイテムは裝備できません!』》始まりは打撃から

戦いの始まりは、毆り合いから始まる。 互いに間合いを詰め、拳を握り合う。

その打撃は風切音すら置いていき、頬を叩く。

「ぐっ!?」

「がっ!」

その聲は僕のか、それとも―———

パッパッパ……

力した狀態からの最速の打撃。必要な力りきみは、接時の一瞬のみ。

ジャブ、ジャブ、ジャブ……僕の左ジャブが的確にテンを捉える。

無論、本命は右。

テンの意識がジャブによって散漫になった瞬間―———今。

右のストレートを叩き込む。

手ごたえは……ない。

(避けられた!?)

そう認識すると同時にテンの打撃が飛んでくる。

テンの打撃は獨自の軌道を通り、回避を許さない。

衝撃。

脳が揺さぶられる―———否。

は揺さぶられるような兇悪な打撃だった。

荒々しい打撃。

生まれたばかりの人間が放つオリジナル。

拳闘の知識が白紙の人間が放つ打撃とは―———

左右から繰り出される打撃はオーバーハンド。

まるでラリアットだ。 まるで赤き稲妻のレッドサイクロン。

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しかし、腕ではなく拳を僕の顔面に狙いを定めている。

「————くっ」

距離を取るための前蹴りを放つ。

だが、テンは引かない。 蹴りが最大のパフォーマンスを発揮するよりも前へ。

無理矢理、インパクトの瞬間をずらされた。

で僕のの方が下がる。 だが、テンは前に―———

打撃 打撃 打撃 打撃 打撃 打つ 撃つ 討つ 毆る 毆る 毆る 毆毆毆毆毆るるるるるる……

僕のは打撃の暴風に曬される。 できるのは耐えるだけ。

のために上げた腕は―――頭部を守る役目を果たせない。

衝撃は防を貫通して、頭部へのダメージを蓄積させていく。

豪快で、荒々しく、豪快なテンの打撃。 それに変化が起きる。

(……打撃が洗練されている? まるで進化だ……だったら!)

僕は起きるべきソレに備えた。

來るかどうかもわからない淡い期待。しかし、それは來た。

真っ直ぐに僕の顔面に向かって來る。

ストレート

それはしく。見れるしまう。

戦いにを置く者の理想系とも言える打撃。

果たして、このまま毆り合いを続けていけば―———

この男は、どこまで人類の拳闘を進化させていくのだろうか?

きっと、誰もが見屆けたいだろう。

けど―———

僕のその我儘を斷ち切る。

カウンター一閃。

テンの打撃が到著するよりも速く、僕の打撃は彼のを叩いた。

來ると分かっていたから、その打撃に対して————準備を終えていたからこそ放てた渾の一撃。

それはを打つ音とは思えない異音を周囲に響かせた。

テンのきが停止。

僕はく。

「しゃー」と僕の口からは、怪鳥が哭いたような音が出る。

地に殘るのは片足のみ。もう一本は天に昇りゆく。

————いや、殘った軸足すらも回転の役目を終え、勢いをそのままに————

先にゆく片足を追いかけるように飛び立っていく。

その技の名はハイキック。

僕の蹴りはテンの側頭部へ吸い込まれていった。

テンを倒れゆく。 まるで木こりが切り倒した巨木のように―———

いや、止まった。 テンはダウンを拒否。

(この打撃をけて、なおも下半が効くのか!)

だからと言ってダメージが皆無のはずはない。

(このまま、叩き込む)

決著。

それを意識した、打撃を繰り出そうとする。だが、できない。

テンの両手が蛇のように僕の首に巻き付いた。

(クリンチか……いや、違う)

首相撲。 絡みついたテンの腕が僕の頭部を左右に振り————解放。

バランスを崩した僕の頭部にテンの肘が上部から振り下ろされていく。

回避―――いや、防すら間に合わない。間に合うはずもない。

度で肘は上位に當たる。

それは、鉱よりも高い度を示す。

視界の隅に映るは赤。

しく舞い上がり……そして、舞い散っていく。

テンの肘が僕の額を切り裂いたのだ。

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