《超迷宮奇譚伝 『このアイテムは裝備できません!』》格闘技戦は終わり、次の舞臺へ

遙か高みから振り落された肘は、まるで鈍で叩かれたような衝撃があるだろう。

加速した肘の先端には切れ味が加わる。

切り包丁に変化して、僕を切り裂こうとする。

だが、しかし―———

これの対策はあるから教わっている。

テンの肘が接する瞬間―———

僕は首を捻り、そのダメージを最小限まで抑える。

いや、捻るのは首だけではない。 を回転―———橫回転だ。

バックハンドブローのような軌道。だけど放つのは裏拳ではない。

放つのは肘。遠心力を得た僕の肘はテンの額を切り裂いた。

互いの鮮が舞う。

奇しくも傷は同じ場所。

まるで、聖痕。

それを見た瞬間、計算も、打算も、作戦も、武も、技も、消滅した。

互いに、互いの傷が許せない。

頭と頭を―――傷と傷をぶつけ合う。

それでも、まだ許す気持ちになれず、互いに頭を押し付け合う。

接近戦インファイト

拮抗狀態が崩れ、どちらかが勢を崩し、後ろに下がれば隙が生まれる。

だから、全力で相手を押し合う。しかし、人間の全力は長く持たない。

そして―———

(崩れた!)

バランスを崩して後ろへ下がっていくテン。

そこに向けて打撃を放つ。

そこに合理は―———技はいらない。

1つ1つの打撃が悉く、テンにダメージを植え付けていく。

ここが勝機。これが勝機。

だが、そのまま負けるテンではなかった。

(またクリンチか?)

打撃と打撃の合間、僅かな呼吸のれを隙と見たのだろう。

テンを俺に向けて、両手をばす。

しかし、二度目のクリンチはない。

その手を弾いて―———いや、摑まれた!

そう思ったのも束の間。僕がじたの浮遊

「組技! 投げだと!」

そんな引き出しがあったのか? それとも―———今、思いついたのか?

崩されたと思った瞬間に両足が地から離れている。

そのまま、地面に叩き付けられた。

「がっは!?」

がバラバラになるような衝撃。

から覚が消失して指の一本もかせない。

地面を這いつくばるこの狀態。打撃をければ死に直結する。

だが、けないのはテンも同じようだった。

けにけた僕の打。

そのダメージはの奧深くまで浸しているのだろう。

彼もまた、片膝を地面に著き、けずにいた。

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

ダメージから回復したのは、ほぼ同時。

立ち上がれる程度の回復だ。

膝は笑い。 はふらつく。 視界はブレて、腕は上がらない。

これが、もし格闘技なら試合は立しないだろう。

だが、これは格闘技ではない。

「現在まで人間が進化させた拳闘。相手を痛めつける行為のはずが、ある種のしさすら有して、蕓的ですらある。堪能させて貰った」

「そりゃ……どうも」とだけ返事を返す。

狀態で多弁なテンと違って、僕は言葉を発する事すら、重労働なのだ。

だから―――

「格闘技は終わりか」

テンの全から魔力の気配は生じる。

僕はそうじていた。しかし―――

「……魔力じゃない」

彼の背後から立ち上る力は魔力とは別種のものだった。

「この力は魔力ではない。強いて言うとすれば―———

『ギフト』

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