《超迷宮奇譚伝 『このアイテムは裝備できません!』》ばんがいへん おわり
『龍の外套(ドラゴンマント)』
スケイルアーマーのようにドラゴンの鱗でできた外套(マント)。
それは何百年という月日によりドラゴンの因子を孕み、超常的な強度を持つ。
エドワードはマントの端を持ち翻した。
持ち主の意思をじ取ったのか? マントは鋭き切れ味を有してアリスに襲い掛かった。
避けたアリスの顔から初めて余裕が失われた。
「俺とドラゴンから手を引け。そうすれば命までは……」
「龍の因子……それがほしかったのです」
「なにッ!」
「それに貴方の機も予測どおりでした。貴方は死んだドラゴンと、まだ一緒にいるのですね」
「――――ッ!?」
「私の機は――――最後の機はそれです。ドラゴンの頭部がほしい……そうすれば、完するのです」
「ふざけるな! 俺と彼は……もう切り離せない!」
「ドラゴンが、魔を滅ぼした理由。このダンジョンを滅ぼした機は語りましたが、貴方の機は――――どうして、ドラゴンを殺したのかはまだでしたね」
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「お前が、俺とアイツを語るな!」
持ち主のに反応して『龍の外套』が変化する。
それは、まるで槍ランス。全てを貫かぬと真っ直ぐにび、アリスのを貫く。
「やったか?」とエドワード。
しかし――――
「いいえ、やったと言いたいのは私の方です」
を貫かれたはずのアリス。しかし、爛々と目に強いが燈り揺れている。
「なっ! 引っ張られている。――――いや、『龍の外套』を吸収している……だと!」
「えぇ、私の目的は龍の因子を取り込む事。さぁ、渡しなさい。貴方が持っているドラゴンの頭部を」
「だから、何度ふざけるなと言わす。彼と俺は――――」
「なるほど」とアリスは微笑んだ。
「貴方はドラゴンの頭部を食べて、彼と1つになったわけですか?」
「――――そうだ」とエドワード。
彼は笑った。狂気をめた笑いだった。
「最後まで、魔を滅ぼし、ダンジョンを破壊した結果、彼は壊れてしまった。もう知識も認識もなくなって、最後に哀願してきたんだ。いつまでも一緒にいたい……と」
エドワードの獨告に対してアリスは淡々と――――
「まぁ、自殺でしょうね。ドラゴンが自ら首を弱化させないと切斷なんて不可能と思っていました。もっとも、『龍の外套』があれば可能だったのかもしれませんが……」
「うおぉぉぉぉぉぉ!」とエドワードは裂帛の気合を上げる。
『龍の外套』が吸収されるより早く、殘った外套を腕に巻きつける。
それはドリルのように回転して、アリスに向かう。
しかし――――
ドリルはアリスに到達することはなかった。
「無駄です。『龍の外套』の支配権を7割奪いました。後は貴方ごとドラゴンの頭部を吸収すれば、私の目的は完了です」
エドワードがに著けていた『龍の外套』が反逆を開始する。
「貴様は―――どうして――――なんのためにっ!」
それは斷末魔のび。 そのままアリスの腹部へ吸収されて――――
「私の機は貴方たちに良く似ています。 だって、好きな人がドラゴンと結ばれるなら、なるしかないでしょ?」
「なにを――――」と薄れていく意識の中、エドワードは最後に発した言葉。
アリスの返事は聞けたかどうか? 他者には、もうわからない。
「彼に振り向いてもらうなら、私もドラゴンになるしかないじゃないですか?」
誰もいなくなった空間。アリスは誰に聞かせるわけもなく微笑んだ。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
アリスの館に戻ったサクラはソファにもたれ掛かり、子ドラゴンの言葉を脳で反復させる。
「お母さんは、この國にいます。連絡は取れませんから、おそらく意識が奪われていると思います」
(何処にいるんだ? アイツ…… 必要なら……)
「必要ならこの國のダンジョン。その全てを攻略するのか?」とオントが言った。
「あぁ、本當に必要なら僕はその覚悟だ。それにダンジョン最深部には、ドラゴンの居場所を把握できるアイテムも……」
「わかった、わかった。俺も付き合うぜ」
「オント……すまない」
「いや、あのダンジョンは俺にとっても原點だ。おかげで思い出したよ。今度、何かあったらお前を守るって誓ったのを」
「なんだそりゃ? 若干、引くぞ」
「……ふん、言ってろよ」
「あら、2人ともお帰りになっていたのですね」とアリスが現れた。
「あぁ、僕たちは、暫くこの國に滯在する事にしたんだ」
「まぁ、それは素晴らしい。今日はお祝いにしますね」とアリスは退室した。
そのまま、地下に向かう。
サクラやオントはもちろん、館の使用人も知らないの地下室。
「サクラさまは暫くここに留まるみたいですね」
アリスは誰かに話す。しかし、返事はない。
「……聞こえているはずありませんか。さて、手にれた素材を保存をしないと……」
アリスは室にある巨大な箱を開く。中から冷風がれる。
どうやら、冷やして保存する箱らしい。
そこに『龍の外套』とエドワードのをれ――――
アリスは素早く背後は振り向いた。
「気のせいでしたか? 今、音が聞こえたような……」
コツコツと足音を上げて、アリスはそれに近づいた。
「もしかして、まだ意識があるのですか? ……フッ、まさかですね」
ソレは明なに何か明なに浸されて――――
部にはがいた。
――――否。
それはサクラの想い人。
ドラゴンだった。
番外編 完
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