《天才年、異世界へ》閑話 〜乃side〜

 気付いたら、見知らぬ場所にいた。辺りを見まわすと、クラスメイトと弘一郎の姿が見えた。

(弘一郎君!)

その姿を見ただけで乃の心は落ち著いた。彼は、過去の経験から基本的に他者を信用していないが、弘一郎に限っては全幅の信頼を置いている。

 そんなこんなで、みんなが起き始めると、と屈強な男が出てきた。何かを話しているが、弘一郎に夢中な乃には屆かない。

(ふふふ、弘一郎君と一緒だ。弘一郎君さえいれば他には何もいらないからね)

 気付いた時には、解散となっていて、メイドの人に部屋に案された。

(同じ屋の下で弘一郎君も寢てるんだ。)

そんなことを考えながら、彼は眠った。

 翌日、朝食後にまた広間に行くことになった。そしてまた、話を聞き流しているととんでもない言葉が聞こえた。

弘一郎の「旅に出る」という発言だ。

その時、乃は自分が捨てられる錯覚を抱き、自らのみを言った。

「私も連れて行ってください‼︎」

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