ゴキッ！

突然なった鈍い音に誰もが理解できなかった。

だが、次の瞬間、男は自分の腕を折られたことを悟る。

「いてぇ、いてぇええ！」

「うるせえな」

ゾッとするほど冷たい聲が聞こえた。男が振り向くと、そこには弘一郎が立っていた。

「ギャーギャーわめいてんじゃねえよ。その程度で」

「何でお前がここにいる？お前は出て行ったはずだろう！」

そう、男の言う通りアイテムボックスをもらったあと弘一郎は出て行った。

と、誰もが思っていた。

アイテムボックスをもらったあと、弘一郎は嫌な予がした。信じられないかもしれないが、弘一郎の勘は、外れたことがない。そしてじるのは大概が『嫌な予』だ。故に彼は、一度城へ戻った。そこで王を襲おうとする男を見つけたのだ。

「ちょっと荷を忘れてしまったんだよ」

「何だと⁉︎ん？ククッ今みんなを読んだらお前はどうなるだろうな？」

「なら、読んでみるがいい」

「そうやって見かしたような態度が気に食わねえんだよ‼︎みんな、襲われた！助けてくれ！」

すぐにみんなはやってきた。

「何だ何だ？一どうした」

「弘一郎？どうしているんだ？」

「みんな！聞いてくれ！こいつが王様に襲いかかっていたんだ！なんとか戦ったが勝てなかった！」

その言葉を聞いて、みんなはシラけた雰囲気になった。

「弘一郎がそんなことをするわけがないだろう？」

「王様、本當はどういったことなのでしょうか？」

クラスメイトが聞く。

それに対して王は、

「私が襲われたのは事実です。しかし、襲ったのはその男、賢治とかいう輩です」

「賢治、どうしてこんなことしたんだ？」

弘一郎は聞く。

しかし賢治は、

「うるせえ！襲われた方が悪いんだ！」

そう言って逆ギレした賢治に子は軽蔑した目をおくっている。

「騎士団！この人を牢へれてください」

『はっ！』

そうして賢治は騎士団に連れて行かれた。

そして、みんなも部屋から出て行き、部屋には弘一郎と乃、そして王が殘った。

「改めて、ありがとうございます。助けていただき本當に謝しております」

「気にするな。やりたかったからやっただけだ」

王はお禮を言って、その後談笑していると、

「むー」

背後から拗ねたような聲がして、弘一郎が振り向くと、頬を膨らませた乃がいた。

「私を無視しないで！」

「ごめんごめん。無視する気は無かったんだよ」

「ところで、私を助けてくれた時に使った技はどういったものなんですか？」

「あれは、拳圧を飛ばしただけだよ。あえて名付けるなら、木村流『飛拳』だね。本來、木村流は技名がないんだよ。技が多すぎるんだ。たまに、自分でつける時もあるけどね」

それから、晝食をいただき、

「今度こそさようなら」

「はい、お元気で」

弘一郎達は本當に城を去った。