《負け組だった男のチートなスキル》第三話 勇者の資格
見慣れない場所に突然転移された助はしは驚いたものの、目に見えて驚くことはしなかった。それは他の皆を同じだった。
どうやら神の言っていたとおり、他の皆も神とある程度事を聞いていたようで、あちらこちらでそのような単語が聞こえてきていた。
「おい、お前も、神と話したのか?」
「ああ、淡々としたじだったよな、それに、スキル? をくれたみたいだし」
「そうだな、神の風格があったな、それに太っ腹だし」
何故か助があった神とは別人のようなじがする。
そういえば助とは一番長く話したと言っていたので、きっとそう言う事なのだろう。
彼らの態度に嫌気がさしたか、助のステータスを馬鹿にしたかったのか、それともスキルに興味を惹かれたのか。
答えは神のみぞ知るである。
「お待ちしておりました、悪しき魔人族から我々を救ってくださる異世界の方々」
すると一人の老人が聲を掛けてくる。位の高い人なのだろう。豪華な服裝を著て杖を持っており、ひげが長い。
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「俺たちの事か?」
大將が真っ先に聲を発し疑問をぶつける。この中でも、発言力があるところさすがだと思わざるを得ない。
「そうです、今からあなた方が勇者にふさわしいか、『鑑定』を使って、確かめさせていただきます」
「いいぜ、ふさわしいに決まっているしな」
その言葉を聞いて、この場にいる全員がゴクリとを鳴らす。大將は自信満々のようだが。
とはいえ助だけは他のみんなが抱いているであろう期待とは全く違うを抱いていた。
もちろんそのは、不安や絶と言った負ののみである。
神にネタバレをされてしまい、これから起きる哀れみの視線に耐えられるかどうかに対しての気持ちである。
「では、あなた様から鑑定させていただきます……これは! すばらしいステータスの持ち主です!
間違いなく、勇者の素質があります、それにスキルを二つお持ちだとは、しかも『鑑定』スキルをすでに持っているのですね」
「たぶん、ここにいる全員が持っていると思うぞ?」
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「それは本當ですか? それはそれは、期待が高まります」
大將が得意げに會話をする。
そして大將が勇者として認められたのを聞き、安堵している者や張している者が出てきた。
そして次々と鑑定されて勇者に認められていく。
今のところ勇者の素質が無いものはいない。
老人もすっかり興してしまったようで、目を輝かせ次々と鑑定をしては、勇者に認定していた。他の人もこれなら大丈夫だと、余裕を持った顔で並んでいる。
ただ一人助を除いて。
そして最後に助の番が回ってきた。
「お、助じゃねえか、まさか勇者落ちしねえよな?」
大將がニヤニヤしながらそう言った。その言葉を聞きすでに終えた人々のほとんどがケラケラと笑う。だが殘念ながら今回は彼らの思う壺になってしまうのだと考えると、非常に腹立たしい。
「最後はお主か、うむ……見た目がもうすでにギリギリじゃのう」
さっそく助にダメージが加算される。
太っているのは神のお墨付き。それに加え顔の方も丸くなって、良い顔だとは言えないだろう。
案の定それを聞いた大將は笑し地面を叩く。
他の數人も笑いが止まらない様子だった。
だが、玲那や他に助が話せる人たちだけは、心配そうな顔で助を見つめていた。
「では、見せてもらうぞ……なんと……」
老人の言葉に大將達は期待したような目で老人を見つめる。
「なんて、壊滅的なステータスなんじゃ、変わったスキルを持っているが、戦闘には役立たない、當然勇者として認めるわけにはいかぬ」
その言葉を聞いた大將達は今度こそ笑した。中には床で苦しそうに笑いこけている者もいた。
さらに先ほどまで笑っていなかった者たちもつられて笑い出していた。
玲那たちを除いて。
助は、結果は知っていたので馬鹿にされる準備はしていた。
それよりもスキルについて言われたので、一瞬驚いたが『隠蔽』の事だと思い出しホッとする。だがしかし、今とんでもなく恥ずかしい。
「はっはっは、まさか、本當に落ちるなんてな…っぷ」
笑っている人たちは、笑いすぎて目から涙がこぼれていた。
玲那達はいっそう不安そうな顔で助を見る。これからどうなるのか気になるのだろう。
「まず、勇者様方は、王に合っていただきます、あなたは、どこにでも行ってもらって結構です」
老人は冷たく助に言い放ち、勇者に認められた人たちとともに奧の扉の向こうに行ってしまった。
「どこにでも行っていいって……ここに來たばかりなんだけど……」
あまりの理不盡さに呆然と立ちつくす。なんだか悲しくなってきた。
そんな悲壯漂わせるコウスケの後ろの方から聲が掛けられた。
「あ、あの、すいません! 勝手に呼び出して、勝手に用無しだからって、切り捨てて……」
謝っているつもりなのだろうが、その言葉に助の神に再び、ダメージを與える。用無しは言い過ぎだ。
「い、いや、俺の力が無いだけだよ……あはは……」
「そ、それでもです、私の名前は、クリアと申します、この國の召喚魔法師です」
「俺はコウスケだけど……」
「コウスケ様ですね、よろしくお願いします」
キラキラとした、金髪の髪に真っ白な、青の瞳のに突然手を握られた助は思わずたじろいだ。向こうの世界でも見たことがないようなだと素直にする。
「う、うわっ」
「すいません、ひどいことをしたのに、許してもらえるわけないですよね……」
目に見えて分かるようにショボンと落ち込むクリア。
悪いことをしてしまったが半端ではない。
「い、いや、突然だったから驚いただけだよ、別に怒ってないし……」
「なんて、お優しい方なのでしょう、その心の広さにいたしました」
「いやそこまでじゃないよ、それで、なんで俺に話しかけたの?」
褒められて恥ずかしくなった助は、話題を変えるべく、質問をする。
「それは先ほどの方々は確かに力も容姿も優れているかもしれません、ですがなんでしょう、こちらを見た時のあの、見下したような視線が私は怖かったのです、ですがコウスケさまは、そんなこともなく、ただ一點を見て勇ましく立っておりました」
それはこれから起きる悲劇を知っていたからなんです。と言えるわけもない。
しかも力も容姿も劣っているから、あいつらを見下すなんて出來るわけがない。
「そうだったんだ、それで俺はこれからどこにいけばいいんだろう」
「ここから、あの扉を開くと外に出れます、すると城下町に出ますので、そこでいろいろと裝備を整えるといいでしょう」
「あのー、それって金が必要じゃ……」
「あ、コウスケ様は、來たばかりでした、私が差し上げます!」
そう言ってクリアは懐から小さな包みを出そうする。だがその手を助は慌てて止めた。
「い、いや、良いって、自分で稼ぐから。それで、お金を稼ぐ方法とか教えてくれるとありがたいんだけど」
「報だけでいいだなんて……やはり、の広いお方です!」
「も、もう、褒めなくていいから……教えてくれないかな?」
「は、はい! もっとも簡単に稼ぐ方法でしたら、魔を倒せば、お金が手にります」
「魔ね……」
「あ!、今は、武も持っていませんでしたね、では、薬草などを拾って道屋で売るというのはどうでしょう?」
「それなら、できそうだな」
ようやくやることが見つかった助はクリアにお禮を言い外に出るべく扉に向かう。
「では、またどこかで」
「いろいろとありがとう」
そう言葉をわし扉から外に出た。
「おぉ」
助は目の前に広がる景に思わず聲を上げる。そこには中世の西洋のような、建造が至る所に建っており、まるで映畫の世界にったみたいだ。
あながちそれは間違いではないので、笑えない例えでもあるが。
助がまず行うことは、薬草を見つけてそれを売ること。そのために、まず町の外へと向かった。
何故か助がすれ違う人々はみんな容姿が整っており、太っている自分がとても恥ずかしくなってくる。しかし我慢して突き進んでいく。
「や、やっと、外に出れた……」
久々に長い距離を歩いた……正確には小走りしたので、すっかり息が切れていた。力の無さに自分のことながらけない。
ステータスの報通りだと、自的に納得しそして落ち込んだ。
ともあれ外に出れたのだから、さっそく薬草探しを始める助。
だがあることに気が付いた。
「って、薬草がどれかも分からないんだが……」
殘念ながら助は『鑑定』スキルを持っていない。つまり今の知識だけでは薬草か雑草かの區別すらつかないことに気付いた。
そして神様にしだけ愚癡を心の中で呟いた。
「また、戻るのかよ……」
後ろに広がる男の町を見てため息をつく。
とはいえ戻らないわけにも行かない。
だが城下町に向かおうとするときに、目の前に奴が現れた。
もちろん奴というのは大將の事ではない。
彼なら今頃王様に謁見して、天狗になっているころだろう。
では、奴とは何か。
「魔かよ……」
助は、丸腰で魔とファーストコンタクトしてしまったのだ。
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