《負け組だった男のチートなスキル》第三十九話 宴
里に帰ってくると、里の住人たちが総出で待ってくれていた。そしてコウスケの姿が見えるなり拍手をして迎えれてくれた。あまりに大げさなその出迎えに多の恥ずかしさをじるが、村長のナリオスに背中を押され、その人々の前に出た。
「コウスケさん、有難うございます!」
「コウスケさん、謝します」
「コウスケさん、馳走します」
といったじにしばらくもみくちゃにされたコウスケ。その後ナリオスの靜止がかかり、ようやく解放されたのだった。
「ではコウスケ様、里の皆が腕を振るって用意した馳走を用意しておりますので」
「ありがとうございます!」
膨らむ妄想。どれほどの馳走が用意されているのか。期待が相當高まった。それと同時に腹の蟲も鳴き始めた。
「こちらです」
「おぉお!」
案された場所は、村長の家でなかった。この里の集會所と思われる場所だ。それだけあってかなり広い部屋である。
ちなみに里の皆はそれぞれ自分の家に戻って行ってしまい、ここにはいない。し寂しいと思うコウスケだった。
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「これを頂いてもいいんですか?」
「ええ、どうぞ召し上がってください」
「ありがとうございます! いただきます」
すぐさま席について、目の前に広がる馳走の山へ手をばした。とりどりの果から、油でり輝く。とてもカラフルな飲みまで、至れり盡くせりだった。異世界に來て一番の馳走かもしれない。
とはいえ、ナリオスが長耳族は料理をあまり食べないといっていたので、本當にコウスケのためだけに作られた料理たちなのだろう。そう思うと一層嬉しくじる。
「っ!」
思わず顔をあげるコウスケ。何故ならいつもより味が濃くじるのだ。ナリオスの料理と比べてもかなり味が濃い。
ナリオスはニコニコとほほ笑んでこちらを見ているので、言い出しづらいのも事実である。
だがあることに気がついた。痛みだ。
恐らく戦闘中に口の中を切っていたのだろう。そのため塩の効いた料理を食べるたびに傷に染みていたのだ。
「強化か!」
思わずぶコウスケ。痛みが『強化』によって倍増するのは認知していることだ。
ナリオスが首を傾げて見ているが、今は世紀の大発見が大事なので気にしないでおく。
コウスケの言葉の通り、『強化』が鍵だった。
それは『強化』によって倍増する覚には、味覚も含まれていたということ。味覚が倍増しているが故、味の濃さをじたのだ。
そして偶然、『強化』を解除してなかったことで分かった発見だ。
「ということは……」
何か考えがあるような口ぶりでコウスケは呟いた。
「『超覚』」
『強化』の悪い言い方をすれば、下位互換である『超覚』を発させた。
そしてその狀態で食べに手を付けた。
「……革命だ」
その食べは尋常じゃないほど味しかった。いつもナリオスの食事が薄いと言いたいわけではない。だがそれでも、地球の頃の食事よりは薄くなってしまうのがご時世というものなのだ。だが、その環境によって薄くなってしまっていた味さえも、『超覚』さえ使えばどうとでもなるということを知ってしまった。もう『超覚』は食事用スキルとして使っていくことになる。
そんな考察を続けて熱心に食事を続けるコウスケを、ナリオスは微笑んでその一連の様子を眺めていた。やはり一緒には食わないらしい。いくら革命をしたとはいえ、流石にこれ全部一人で食えといわれると荷が重い。
「食べないんですか?」
「頂いても宜しいのですか?」
「もちろんです」
「では、しばかり」
「里の皆も呼んではどうでしょうか?」
「良いのですか?」
先ほどからナリオスはわざわざ確認してくる。どれだけ大食いだと思われているのだろうか。今までそういった素振りはしたつもりはないのだが……いや、あった。ナリオスの用意する食事は通常より多めだったのだ。それをコウスケは全て平らげていたのだ。というのも殘すのは失禮だと思ったゆえの行だ。決して、食に負けたからではない。決して。
その後、ナリオスはどこかへ行った。恐らく里の皆を呼びに行ったのだろう。
コウスケ構わず食事を続ける。もちろん長耳族がを好まないと知っているため、その系統の料理を食べている。呼ばれして、著いたときに食べられる料理がなかったといった狀況にさせるわけにもいかないからだ。といえば聞こえはいいが、果実は食後がいいからというだけの話だったりする。
「お呼びいただき謝いたします!」
その聲と共に、次々と里の住人たちがこの建の中へってきた。皆、手には自分用なのか果や野菜を持っていた。さすがに人數を考えての処置なのだろう。いくら料理が多いとはいえこの人數では直ぐになくなることは目に見えて分かることだ。
「では、いただきましょう」
ナリオスの言葉で里の皆も食事を始めた。気に踴るものや、コウスケへ質問を飛ばすもの、談笑し合いながら食事をするもの。様々な人たちがこの場にはいた。
久々の人々の暖かな雰囲気にのまれコウスケも食が進む。更に『超覚』のコンボも加わり進んでいった。
「わー、味しそう」
そんな騒ぎの中、小さな子どもがコウスケの前に現れ、料理に手を付けようとした。
「こら! やめなさい」
それも見つけた母親らしき人が手を叩いて止めさせる。そこまでする必要があるのかと疑問に思うが、こういう小さな時から教育していっているのだと、勝手に納得することにした。他人の文化に口出す権利はない。
そんなこともありながら宴は続いていく。酒の類もあったのだが、コウスケは斷っておいた。さすがに未年で飲もうという気にはなれない。いくら異世界だとしてもだ。という良い子アピールを天國の両親にしておき、食事を進める。とはいえ、もうお腹も膨れてきて結構限界である。
「コウスケ様、もういいのですか?」
「はい、味しかったです」
「それは良かったです」
ナリオスにそう告げ、コウスケはしばらく椅子にもたれ掛かって休んだ。疲れもあるのか瞼が重い。
「コウスケ様はお疲れのようだ。休ませてあげましょう」
ナリオスが皆にそう告げ、宴も次第に幕を閉じつつあった。その余韻というのも心地よいもので、眠気を助長していく。
「ふあぁあ」
欠を一つして、コウスケは立ち上がる。さすがにここで眠るわけにはいかない。
「肩をお貸しします」
ナリオスがすかさず現れコウスケに肩を貸した。これでは森と逆の立場だ。
しかも酔っていないのに介護されるというのは、し変なじがするが、今日の所は素直に甘えておくことにしよう。
そうしてコウスケはナリオスの家に到著した後、すぐさま部屋のベットに寢転がった。
「おやすみなさい、コウスケ様」
「有難うございます」
そうしてコウスケは深い眠りについた。
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