《転生先は現人神の神様》11 楽しい訓練と確認
騎士の訓練に混ざるため、お城の中をとことこ移。
移中に騎士団について聞いてみた。平民でも知ってる基本的な事を。
まず近衛がお城の警備をしている。
王族のお付きは近衛の中のエリート。隊長と副隊長の2人と後數人。
治安部隊が街のパトロールと門の警備。道案とかも治安部隊の人達。
1番隊から4番隊まであり、これらは待機してたり、訓練してたりしている。
人手が足りない所や、街の外のパトロールなども代で行っている。
魔法師団や魔法技師隊もある。
魔法師団は魔法攻撃や補助が主で、魔法技師隊は魔道の整備や開発が主。
後は街を囲んでいる第2城壁の上で周囲の警戒をしている部隊がある。
ちなみに第1城壁はお城を囲んでいる。
近衛と騎士達は仲が悪いのがよくある気がするが、この國は仲がいいようだ。
まあ、そもそも役割が違うからな。
「ここが訓練場になります」
そんなことを話しながら歩いていたら到著したようだ。
広いな……と言うか人多すぎる。萬は超えてるな。
それでもある程度余裕あるんだから広さも大概だな……。
イメージとしては部活か。軽く見たじ部隊ごとにある程度固まって訓練しているようだ。剣や槍での模擬戦、魔法での模擬戦、走り込みだったり筋トレしてるグループもあるな。
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「訓練場は騎士達の流の場でもありますから」
筋トレやりたかったら筋トレのグループに混ざり、模擬戦したかったら並んで順番にできたり、相手がいるなら開いてる場所で勝手に模擬戦したりと結構自由にやってるようだ。魔法技師隊が魔道の実験を行ったりもしている。
「だいぶ自由なのね?」
「ええまあ、真面目にやっておかないと死ぬのは自分ですからね……」
「ああうん、そうね……」
「いざという時後悔しないように、自分のばしたいところ、鍛えたいところを鍛えられるようにこういうやり方になりました」
「真面目にやるなら良いやり方ね」
「ちなみに新人はあちらです」
言われた方を見ると、明らかに鎧に著慣れてない若い連中がいた。
他に訓練している連中と明らかに雰囲気が違う。
「新人はしばらく基礎トレーニングになります。力作りや剣と槍などの基本を抑えてから自由訓練に移ることになります。心構えなども、ですね」
ふむ、1、2、3番部隊はもちろん、近衛もちらほら混じってるし、治安部隊も結構いる。魔法師団と騎士で模擬戦してるところもあるし、仲が良いのはこの訓練も関係ありそうだな。新人はボロボロにされてるが。
「力作りと騎士の心構えは私に必要ないわね。筋トレも不要だし。《格闘》を覚えられればいいわ」
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「私のメインは剣なのである程度になりますが」
「模擬戦頼めるかしら? このがどのぐらいくのか試したいのよね」
「いきなりですか?」
「《理無効》あるから大丈夫よ。習うより慣れろよ。やってみましょう?」
ささっと移を開始する。開いてるところを使わせてもらいましょう。
移したことにより訓練してた騎士達が私達に気づき、興味深そうな視線を向けてくるが、いつものようにスルーする。
誰もいない所に移して、ヘルムート隊長と離れ、向かい合う。
それで何をしようとしているのか察したのか、周りがざわざわしている。
「た、隊長。その方はもしや?」
うん? 私を知っている? ……1番隊か。となると、昨日の防衛戦か。
數時間ほどこの人の記憶を遡ると……當たりか。
防衛戦で見てるのと、帰りの船でも一緒だったようだ。
「ん? ああ、そうだ」
そう答えながら、ヘルムート隊長が2本所持している剣のうち1本を抜く。
うん、やっぱり刃がないな。ということで。さあ、隊長と模擬戦だ。
「いつでもいいわよ」
「ではまず準備運と言うことで、《強化》無しで」
そういえば私《強化》持ってないな……。試してないや。
「ええ」
「行きます!」
一呼吸置いてヘルムート隊長が走りだす。《強化》も使っていないため、ばっちり見えている。距離を詰めた隊長は剣を振り下ろす。
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193センチの隊長が振り下ろすもんだから、完全に真上から落ちてくる狀態になる。丁度私の頭が隊長の鳩尾當たりだから力れやすいだろうね。
それを當然頭でける……なんてことはせず、剣を素手でぶん毆る。
隊長が目を見開くが、すぐに苦笑に変わる。
ええ、《理無効》だからできる蕓當です。
攻撃されては防ぎ、捌き、隙を見て攻撃をする。
それを繰り返しながら自分のについての報を集めていく。
人間に転生したのならともかく、神だ。當然は人間とは違う。
そうなると、への力のれ合や、腕の力や足腰のチェック。
更に反応速度のチェックなども必要になる。
人間との基本スペックの違いがどんなもんなのか、ある程度知っておきたい。
わけだったのだが……。うん、違いすぎて話にならないな。
見て、判斷して、かす。と言う流れが人間の基本作だが……。
その速度にかなりの差がありそうだ。そこに《思考加速》をれたら余計に。
と言うか《思考加速》はあくまで『思考』加速だ。つまり『』には影響がないわけなんだが……。
実際模擬戦で試してみると、《思考加速》で加速された『思考』に、が追いついてしまう。
これ、傍から見ると私が何してるのか分からないんじゃ?
これで移したらそれこそ転移と変わらない気がする。
所謂『時間停止』に近いことが出來てしまっているわけだ。
では、そろそろ《強化》使ってもらおうかな。
ヘルムート隊長はエリートである。隊長やってるんだから當然だが。
普通の近衛よりヘルムート隊長の方が強い。
パワーバランスは……
総隊長>近衛隊長>隊長、近衛副隊長>副隊長>近衛>騎士
こうらしい。
冒険者で言うとAランクほどの実力だそうだ。
基準となる強さを知っておくのは重要である。
相手の強さを見たりするのに比較対象が無いんじゃ困る。
「俺、Aランクなんだぜ!」って言われても、Aランクってどんなもんよ? じゃ問題だ。だが、隊長と戦う事で、Aランクの的な強さが分かる。
「俺、Aランクなんだぜ!」と言われた時、隊長ぐらいか。と、なるためだ。
「隊長、《強化》使っていいよ」
「分かりました」
一度距離を取り、ヘルムート隊長が《強化》を使う。
自分のに魔力を流し、を強化するスキルだ。
これで力やスピード、更に強度が數倍へと跳ね上がる。
魔と戦うならほぼ必須のスキルだ。
《強化》は魔力で強化するスキルなので《月の魔眼》でばっちり分かる。
《魔力作》の素人は魔力が駄々れで、常に溢れている。
この狀態はだばだばれているだけなのでなんの意味もない。ただの無駄。
ある程度慣れると、れている魔力をに収める。これで垂れ流さなくなる。
《強化》を使い、に魔力を通し循環させることでを強化する。
この際、流す魔力の量が多ければ多いほどが強化されるが、如何に綺麗に循環させるかと言うのと、如何に魔力の無駄を無くすかがポイントになる。
隅々まで綺麗に循環させることによってしっかり強化し、の外にらさず循環させることによって魔力消費を抑える事ができる。
つまり、の隅々まで綺麗に魔力を通せるかと言うのと、《強化》時に魔力のれをどれだけ抑えるかで技量が分かる。
使用魔力が多ければ多いほどの隅々まで回すのは楽だが、れを抑えるのが難しくなる。
一切らさず循環させることができるのなら、魔力知で《強化》の使用がバレることは無いだろう。
これはあくまで理論上で、Sランクでも無理だと言われているが。
これをルナが聞くのは模擬戦後になる。
ヘルムート隊長が《強化》を使い、突っ込んできた。
ふむ、強化前とは段違いだな。《強化》とはここまで変わるのか。
これ人間やめてるんじゃない? いや、私にははっきり見えてるけどさ?
人間だった時の記憶と照らし合わせる限り、人間やめてる速度だよね。
見失ってるレベルな気がする。
それに平然とついていける私もあれだが、既に私は人間じゃないので問題ない。
全ての攻撃をぶん毆って止める。
「まだまだ余裕そうですね」
ヘルムート隊長が苦笑しながら言ってくるので、距離を取りつつ言葉を返す。
「ええ、まだ問題ないわね」
「では、全力で行かせてもらいます!」
隊長のに宿っていた魔力が更に濃度を増す。
そして、蹴った地面を軽くヘコませながら突っ込んできた。
やってて分かったんだけど、歩幅が小さいから移が面倒。
逆に小さいからはかしやすく、スピードも出るんだけど、あまり走り回ったりするのは神としてどうかな? って思うので、私はその場から大きな移はせず、カウンタースタイルに変更する。後、蹴り飛ばすのもどうかと思った。
よって、その場でほとんどかず防ぎ、捌き、カウンターをお見舞いする。
うん、悪くない。悪くないが、やっぱゴリ押しだな。技がまだ無いんだからしょうがないんだけど。
《強化》で人間やめてる力とスピードしてるけど、ばっちり見えてるから問題は無い。ただ、まだに慣れてないのかちょっと違和がある気がする。
そういえばスキルに《制》ってのがあったはず。
あれを取れればこの違和が無くなるのかな?
さて、検証はやめて戦闘に集中しよう。
ヘルムート隊長の足運びやのきをガン見し、真似できる所は真似をする。
剣をぶん毆って止めるだけでなく、逸らしてみたりしながらをかす。
そんなこんなで2人は白熱。
もはや誰も訓練せずに2人の模擬戦を見ている。
ヘルムート隊長は近衛をれた騎士団の中でトップ3にる強さだ。
その1番隊隊長の恐らく全力であろう攻撃を、全て捌き反撃するまでする。
更には刃が無いとはいえ、金屬剣を正面からぶん毆るということまでしている。
それを痛がるどころかこの模擬戦の間でほとんど表に変化がない。
開いた口が塞がらないとはこの事だ。
ふむ、やはりこの方はお強い。と言うかもはや理不盡だ。
こっちは《強化》を全力でやっているというのに、向こうは使ってない?
言っていた通り、【武闘】の、近接戦闘の心得は無さそうだ。
足運びはもちろん、のきや視線が完全に素人だ。
にも関わらず、勝てる気がしない。こちらの攻撃は全て防がれる。
それも最初から來ることが分かっていたかのように。
未來はわからないと言っていた、なら思考を読まれている?
左から斬る。……これは違うようだ。思考を読んでのきではない……。
ならば《思考加速》だろうか? これは試す方法がない。
もしくは純粋に基本スペックの差か……。相手は神様だしあり得るな。
……そうだな、見た目はパット見ただのだが、明らかに他の者とは違う。
そう、國王様に近いが微妙にそれとは違う雰囲気を持っている。
しかもあの時の防衛戦を考えると、この雰囲気はかなり抑えている?
後はあの紫の瞳。非常にしいのだが、しばらく見てると不意に不安になる。
あれは何なのだろうか……。この方なら聞いたら教えてくれそうだな。
……まあ、今は集中するとしよう。神様との手合わせなんて早々無いだろう。
本當は教える側のはずなのだが、それは後でいいだろう。
を借りるつもりで行こうか。
目も慣れ、もだいぶかしやすくなってきた。
スキルでも上がったんだろうか? 後で確認しよう。
しかしなんだ、腕だけで戦ってると、蹴りたくなるな。
足技は良いが、問題はスカートと言うことだ。
あ、でも見えないか? 左右や後ろは腰ので隠れるか。
ちょいちょい足も使おうかな。《制》に効きそうだし。
足も使い始めて數時間。
ヘルムート隊長なかなか力あるなぁ。ぶっ続けなんだけど……。
橫薙ぎを素手で弾き、蹴りをれるが、隊長の腕で防がれる。
足を戻しながら來た攻撃を素手で弾き飛ばし、毆りこむ。
とは言え、流石に隊長のきが悪くなってきている。
力……と言うよりは魔力切れか。そろそろ終わりにするか。
「終わりにしようか、隊長」
「む、分かりました」
隊長が深呼吸して落ち著かせている。
ふむ、試してみようか。隊長に上級の《回復魔法》を使ってみる。
「”リラクゼーション”」
隊長のを虹のが包み込み、に溶けるように消えた。
「こ、これは……」
「初めて使ったけど、どう?」
「の疲れが取れました……!」
「ふむ、疲労回復の魔法らしいのよね」
「これは素晴らしいですね……!」
ヘルムート隊長が珍しくはしゃいでますね。
「魔力は回復してないから大人しくしてなさい」
「……はい」
外野は《回復魔法》を使った時點で驚きを隠せない。
魔法師団の連中が特にヤバイ。
そんな中。
「ふむ、ヘルムート。そちらの方がルナフェリア様だね?」
おや、ヘルムート隊長を呼び捨てとなると……。
「おや、総隊長。そうです。こちらがルナフェリア様です」
ふむ、騎士団総隊長か。
「そういえばまだ會ったことなかったわね。お見知り置きを、総隊長」
うんうん頷いてるな。
「お前達! この方はこれから訓練に混ざる事もある! 畏まる必要は無いが、失禮のないように!」
畏まらなくていいんだよね? ってこちらに視線を向けてきた。
問題ないので頷いておく。
「ふむ、今度數人纏めて相手してもらえ、いい経験になるだろ」
「……そうね。いい練習になりそうだし、構わないわよ」
「うんうん。ボコボコにしてやってくれ」
超にっこりしとる。ならば。
「即死さえしなければ直してあげる」
にんまりして返そう。
総隊長以外の顔が引きつった。
「是非とも私もお相手願いたいものだ。……書類仕事がなぁ」
とぼやきながら帰っていった。
が、頑張れ、総隊長。
【書籍化】生贄になった俺が、なぜか邪神を滅ぼしてしまった件【コミカライズ】
【書籍化決定】【コミカライズ決定】 雙葉社 モンスター文庫より 2021年6月30日 1巻発売 2021年12月27日 2巻発売 2022年6月30日 3巻発売予定←New モンスターコミックスより 2022年4月15日 1巻発売←New 漫畫アプリ がうがうモンスターより 12月29日配信開始 幼馴染が邪神の生贄に選ばれたことを知ったエルトは自分が身代わりになるため邪神の元へと向かう そこで邪神と対面をしたのだが、生まれ持った『ストック』のスキルが発動し邪神の攻撃を切り抜ける カウンター攻撃で邪神を滅ぼしたエルト。邪神が貯め込んでいたお寶と【神剣ボルムンク】を手に入れ街に帰ろうとするが、來る時に使った魔法陣は一方通行 仕方なく邪神の住み家から脫出して町へと帰ろうとするが、そこは故郷からかなりはなれた場所だった 彼は無事に町に戻って幼馴染に會う事ができるのか? ※ハイファンタジー2位・総合4位達成!(2/13 20時ランキング時) ※ハイファンタジー1位・総合2位達成!(2/14 20時ランキング時)
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