《転生先は現人神の神様》18 神と霊の恩恵
商人達との取引から數ヶ月が経過した。
その間は【魔法】の検証だったり、【固有】スキルの検証だったり、騎士達と訓練したりしてた。
ギルド? 顔出してただけだな……。
まあ、ギルドはともかく。
サトウキビは數日もあれば生えてくるという驚きの長速度だった。
こういう奴なのかと思って考えるのをやめていたのだが、後日マスカットなどの果樹を植えて絶句した……。
數週間掛けて木が育った。それでも驚きだが、実に限っては數日で食べれる狀態へと育っていた。もう訳がわからない。しかも品質がどれも最高級。
どう考えても霊達の影響です。本當にありがとうございました。
いやもう、正直1日中果実食べてられる。と言うか食べきれないから絞ってジュースにして”ストレージ”に保存したり、ジャムにしてみたりである意味忙しい。
あれもこれもと植えてるうちに、庭が果樹園と化した。
庭というか空いてたスペース全てに果樹が植えられた。
家? って言うか、果樹園にある小屋? 狀態です。
まあ、別に後悔はしてないけど。だって味しいんだもん……。
1つ面白いことも分かった。
妖や霊はマナ濃度が高いと実化できるようだ。
実化すると魔眼持ちじゃなくても見ることができるし、霊達もにれるようになる。
ということで、土地にってある結界をし弄り、マナ濃度を一定に保つように改造した結果……。
土地の中なら妖や霊が好きに実化できるようになり、果実の収穫を手伝ってくれたり、一緒に食べたりできるようになった。
と言うか數的な問題で霊達がほぼ全て収穫してしまう。
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食べごろの果実を抱えてふわふわ飛んで來る子達が非常に可い。
これが數日前のお話。
まあ、今はちょっとした騒ぎになってるようだが。
どうも我が家、聖域と化しているようだ。
突然王都に聖域できちゃったもんだから大騒ぎ。
尚、當の本人達はいつも通り。面の皮が厚い。
霊達がそんな事気にするわけもないし、私も己のに忠実なので。
聖域から取れるのは非常に味しいんだそうだよ?
そうだね、味しいね。あげないよ?
我が家で取れるのは特に味しいと思うよ、うん。
最初はただ果実にパクツクだけだったけど、私の真似を初めてな?
最近じゃ霊達も炭酸水に果実れて食べたり、果実をそれぞれ絞って混ぜたりと工夫を始めた。順調に食家へと長していっている。
そして何よりこの子達には力があるだけに、果実をもっと味しくするため試行錯誤始めたからな……。
霊パワーに加えてどうやったら味しくなるか考え始めたもん。
『もっと味しいの作って神様と食べる!』って言うんだから可いもんだ。
実化すれば喋れるみたい。契約霊の場合は念話ができるようだけど。
ふむ、そろそろお菓子作りでも始めようかな。この子達の為にも。
ジャムにするのにも使ってるけど、砂糖もだいぶ余裕ができたからねぇ。
まずはアップルパイでも作ろうかね?
あ、そうだ。絞ったジュースをシャーベットにするのもいいじゃないか。
この子達に振る舞った後お城にも差しれしてやろう。
塩も砂糖も余裕あるからな、多分けてやろうじゃないか。
「うーむ……。良い事ではあるんだが、原因はなんだろうな……」
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「我々からしたら嬉しい限りですがねぇ」
「土を変えたりとかはしてないのよね?」
「ええ、してませんねぇ」
ここは王城の一角にある畑。
そこで話す2人の男と1人のがいた。
1人は農産相のマリウス・ディーボルト。
この國の農産の管理を行っている。
もう1人は畑を実際に世話している男。
そしてが、この國の第1王であるフィーネである。
この王はどうやって農業を更に良くするか考えている。
が、しょっちゅう泥だらけになっているため、侍が悲鳴を上げているらしい。
「ここ最近質がよく、育ちが早いと?」
「ええ、最初は微かでしたが、最近は明らかですね……」
現在國の報告會議中。
そこで農産相のマリウスが資料と共にここ最近の農作について話す。
數ヶ月前から徐々に作の味、長速度共に上がっている、と。
本當に徐々にだったので気づかなかったが、最近は明らかにおかしい。
そこで日々纏めているのを見返し、比べてみると數ヶ月前からしずつ上がっているのが分かった。だが土を変えたり、やり方を変えた訳ではない。
現狀調査中で、原因不明。
「ふむ、なるほどな」
「上がっている今のうちは良いのですが……」
「落ちた時にどうなるか、ですね」
「ええ」
このファーサイスは農國と言われているだけあって農作が生命線だ。
よって、この問題は非常に重要である。
「そういえば、城の畑だけなのか? ……王都全か」
「ええ、王都にある全ての畑がそうですね」
「原因……まさか、なぁ……?」
「……國王様、心當たりが?」
「……無くは無いが、確信がないな。次だ」
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「では私が」
「うむ」
「治安部隊の者から報告がありました。なんでも王都に聖域が発生したと」
「「「は?」」」
王都に聖域が発生した? 何を言ってるんだこいつは、と言いたいところだが、報告者が騎士団総隊長だ。
彼はこんなところで噓をつくような者じゃないし、何よりそんな理由がない。
「……その場所は大通りに面している、とかか?」
「……ええ、まさにその通りで」
國王、宰相、総隊長と苦笑している。
それは、聖域ができた原因に心當たりがありすぎる故。
「……聞かなくても良い気がするが、知らぬものもいるだろうし聞こうか」
「恐らく聖域となったであろう場所は、北側の大通りに面する一角になります。有名なレストラン『水のせせらぎ亭』の向かい側、お察しの通り、ルナフェリア様の土地になります」
「だろうな……」
「まあ、そうでしょうね」
ただ、當然ここには知らない人達もいる。
そもそも正を知っているのは上層部の中でも一部のみ。
騎士達は訓練に混じっているため、ルナフェリアの事は知っているが神という事は知らない。
知っている者達は苦笑、知らない者達は困。綺麗に2パターンに別れる。
「大量の妖や霊の飛び回る姿が確認されていますが、現在確認されているのはその敷地のみのようです」
「まあ、放置でいいんじゃないか?」
「「「えっ?」」」
「ですね。放置で良いでしょう」
「「「ええっ?」」」
つまりこういう溫度差が現れる。
「せ、聖域ですよ!?」
「アウグスト、何かした方がいいことはあるか?」
王様がアウグスト――宰相――に問う。
「下手に手を出さないように釘を差しておくぐらいでしょうか?」
「まあ、それぐらいか」
王様が他になにかあるか? と目配せするが、反応はない。
実際聖域ができたからどうするのか? という話である。
結論としてはどうしようもない。むしろあった方が良いので刺激しないのが正解である。どこどこに移してくれ、とかは無理な話だ。
……今回に限ってはそんな事もできそうなんだが。
「ん? もしかして、味が良かったり、収穫までが早いのは聖域の恩恵じゃ……」
正を知っている者はほぼ確信しているが、口には出さない。
會議はまだ続く。
よーし、アップルパイできたし、プリンもできた。
飲みはマスカットのジュースを炭酸水で薄める。原は濃すぎる。
霊達が張り切り過ぎちゃってな? 元から甘かったマスカットがそのまま食べるのが辛い程度には甘くなった。
王城行くか。
「國王様、ルナフェリア様が出現しました」
おい、レオンハルト隊長、聞こえてるぞ。出現はどうかと思うよ? 否定できないが。”ジャンプ”やら”テレポート”やらでしょっちゅう転移してるからな。
神出鬼沒だから出現しましたでも否定ができない。
だって王都広いんだもん……転移ダメ言われたら飛ぶぞ。
「お、おう。噂をすればってやつか。まあ、丁度いいか? 直接聞いてみようではないか」
「分かりました」
部屋にれて貰ったは良いけど、見覚えのないのが數人いる。
中央に機があり、囲むように椅子が置いてある會議室だ。
「あれ、會議中だったかしら?」
「ああ、丁度お前さんの話になってな」
「私の?」
「聖域になったんだって?」
「ああ、それね。らしいわね?」
話しながらとことこと王様の橫へ移する。
レオンハルト隊長が椅子を用意してくれたのでそれに座る。
「む? 疑問形なのか?」
「聖域の定義を知らないもの。どういう所が聖域なの?」
「狙ってやったわけではないのか」
「違うわよ?」
王様が魔法師団総隊長に視線を向ける。
「霊が実化でき、沢山いること。更に自然がかであることですね」
「ふむ、なるほど。最後を除けはクリアしてるわね?」
自然がかでは無い。植えた果樹は荒ぶってるけど。
「元々霊達は私に寄ってきて日に日に増えてたし、霊達が実化するための條件も數日前に知ったわね。実化できた方が便利だからできるようにしてあげたら聖域だ何だ言われだしたわね」
「実化するための條件ですか!? 特定できたのですか!?」
お、おう。魔法師団総隊長のテンション上がったな。
ハンネ隊長もあれだったが、魔法師団総隊長もそっち系か?
今まで特定されてなかったのかね?
「ええ、マナ濃度が濃いと好きに実化できるみたいよ? 土地を囲うように張ってた”マナシールド”をしいじって部のマナ濃度を一定に保つようにしたの。そうしたらああなったわね」
「マナ濃度ですか……」
「マナ濃度が濃いと元々植は元気、そこに霊達も集まる。マナ濃度が濃いから実化もできるようになり、霊達が集まる事によって更に自然がかになる。その場所を聖域と呼んでいるのね?」
「え、ええ。恐らくはそうだと思います。なるほど……」
そういえば私以外にマナが見えるのはいないのか。
霊が見える魔眼も霊が見えるだけで、マナが見える訳じゃないからな……。
聞きたいのはそれだけかと聞いたらまだあった。
「この王都全で農産の味や収穫速度が上がっているんだが……」
「それは良かったわね?」
「ああ、良いことなんだがな? 原因が分からないと言うのは問題なのだよ」
「ふぅん。まあ、この王都にいる霊の數が數だからねぇ……そのせいかしら?」
「つまりはお前さんのおかげだな?」
「……まあ、そうなるのかしら? 私は何もしてないけど」
「そうだとしてもこちらは恩恵を得られるんだ、何の問題もないさ」
王様が良いって言ってるんだからいいか。
今度はこっちの番だな!
「これ、アップルパイ。こっちはプリン」
「なんだ、食べか?」
「両方お菓子ね」
「ほう、これが菓子か」
「ギルマスのところでお菓子食べたんだけどさ? あれは認めないわ。だから自分で作った。王様と食べる予定だったけれど、しょうがないから全員にあげる」
「私甘いのはあまり得意では無いのですが……」
むん? ああ、騎士団総隊長か。
せっせと用意を始める。
「んー、隊長が苦手なのはあの茶い塊?」
「……ええ」
「ああ、うん。あれ蜂かなんかを煮詰めて固めただけよね?」
「はい、甘味は贅沢品で高級品です。甘ければ甘いほど良いと言われます」
「あれぶっちゃけ糞不味かったわね。普段は果実は食べる?」
「ええ、それなりに」
「マスカット行ける?」
「マスカット・オブ・アレキサンドリアですか?」
「そうそう」
「ええ、私もあまり手にらないのでたまにですが、食べますね」
「ああ、あれ食べられるなら甘味自がダメってわけじゃないわね。騙されたと思って食べてみなさい」
アップルパイとプリンをそれぞれの前に置く。
足りない皿とスプーンは増やした。更にグラスも人數分用意する。
炭酸がこの世界からしたら強いからお試しとしてなめ。
作る時に多めに作っといてよかったわ。足りないところだった。
”ストレージ”のおかげで保存を気にする必要は無いからね。作り溜めが楽。
「なんだ? この飲みは?」
「マスカットを絞ったジュースに炭酸水で薄めた」
「マスカット!? 炭酸水?」
「そのパイのリンゴもこの飲みのマスカットも我が家で採れた奴よ? 最高級品ね。炭酸水というのは……そうね、お酒のシュワシュワがあるでしょう? そのシュワシュワを水にれたのが炭酸水」
「ふ、ふむ。それはペグーか……?」
王様がペンギンをガン見してる。
「これは私が作った魔道。炭酸水を作る奴。モデルはペンギンだけどこっちではペグー?」
「似たようなのがいるな。大150センチ程の食が」
「なにそれ、私よりでかいじゃない」
「……そうだな」
「……まあ、いいわ。お酒と違ってそれ炭酸強いから、最初はしだけ飲んでみなさない。苦手な人もいるからね。じゃ、いただきます」
はむはむ。
んんー、うんまい! やっぱこの世界の果実は堪らん!
……そういえばフルーツポンチが最高な気がするな。
このマスカットスカッシュに果実放り込むだけで十分な気がする。
元々霊達に作られた最高級品の果実を沢山種類れるんだから、それが1番な気がするな。シロップ部分もマスカットだし。帰ったら霊達と食べよう。
「國王様、まず我々が」
「ん? ああ、気にするな。殺す気ならとっくに死んでる。気にせず食え」
「ん? ああ、毒味か。そうね、そういうのが必要だったわね」
「信用しているし構わんさ。……ん!? なんだこれは、うまい!」
「でしょう?」
2メートル近いガタイの良いおじ様がアップルパイに齧り付いてるのシュール。
まあ、喜んでもらえたようで何よりだわ。
「……これは、味しいですね」
「大丈夫そう?」
「ええ、問題もありません。味しいですよ」
うんうん、數人炭酸がダメなのがいたけど、こればっかりはな。
その人達は普通にただの水で薄めてあげた。
あっという間に無くなってしまった。
「うーむ。味かった。どれ、こっちは……ほう、これは何だ?」
「それはプリンよ。卵からできてるの」
「あれからこんなのができるのか。うむ、これもいいな」
「今までお菓子として食べてたのは何だったのか、ってなりますね……」
おっと、まだ渡すものがあったんだ。
「あ、そうそう。これプレゼントね」
塩と砂糖3種類を取り出す。
「これは?」
「私が作った塩と砂糖よ」
「ん!? これがか?」
「そう、塩は海塩。海水から出した塩。砂糖はサトウキビと言う植から出した糖よ。前世の世界ではどちらも普通ね」
「ああ、そうか。そういえば転生者でもあったな」
「ええ、我が家に魔法裝置作ってやったわ!」
「家にか!?」
「ええ。今にして思えば、もっと広い土地を要求しとくんだったわ」
「む、そうだ。國王様」
「どうした?」
「そろそろ土地に余裕がありません」
「なに? 農地か? 住む場所か?」
「両方です」
「……ついに先延ばしにしてた問題が來ましたか」
當然人が増えるのが良いことだけではない。
増えれば治安が悪くなり、住む場所の問題や仕事の問題が出てくる。
治安に関しては治安部隊の騎士達が頑張るが、仕事や住む場所ばっかりは國がくしか無い。特にファーサイスは城郭都市だ。その城壁が拡張する分には問題になる。城壁を崩して立て直すか、城壁を二重にするなど決める必要がある。
そういえばこの王都にはよくあるスラム街と言うものがない。
この國は農國だ。何らかの理由で親を失った孤児や、仕事が無い者達はまず治安部隊などの騎士達に言う。そして騎士達にそういう者達が集まる寮に連れて行って貰う。そこで住んで貰い、その間にその者の元を出來る限り調べる。
特に問題が無い場合、農民として働いてもらう。
畑仕事をしている間に孤児はどこかの農家家族に引き取られたりする。
畑が足りず、人が余るようなら畑を増やせばいい。この國は農國だ。
何の問題も無い。そのため、この國にはスラム街がなく、他國に比べて治安が非常に良い。國者達からしたらそれも誇りのようだ。
しかし、ここで土地がないと言う事になってしまった。
正確には、城壁に余裕がないと言うことだ。
城壁を建て替えるにも、増やすにも人手と時間、そしてお金がかかる。
「そうか、ついにか……。大きくなったと喜ぶべきなんだろうな……」
「頑張ってきた甲斐があったと言うものですね」
……おい、皆目が死んでるぞ?
言ってることは嬉しそうだけど、目が死んでるぞ? 大丈夫か?
しょうがないなあ、我が家で採れたマスカットやるよ。ほら食え。
「……ごっふ」
「「「國王様!?」」」
「はい、水」
「……おま、お前! なんだこれ!」
「我が家で採れたマスカットだけど?」
「……よし、お前ら全員1粒ずつ一斉に食え」
生け贄が誕生した。國王様が言ったので拒否権はありません。
はい、せーのっ!
「んん!?」
「んぐっ!」
「ぐふっ」
「げほげほっ」
「はーい、水よー」
「で、何だあの甘さは?」
「霊達が張り切った結果? いやー、最初なった時に皆で食べたんだけどね。私も咽たよね。普通に食べれたもんじゃないから、砂糖にしても良かったんだけど、勿無いから絞って炭酸水で割ることにしたの」
確実にこのマスカットは糖分がサトウキビを超えてる。
サトウキビと違ってマスカットの風味やらがあるからまだましだけど、どっちにしろ両方食えたもんじゃない。
それはそうとこれはチャンスだな?
「まあ、マスカットは置いておこう。さて、どうしたものか……」
「はいはーい」
「……なんだ?」
「私が《土魔法》で城壁勝手に広げるから広い土地くれ」
「ほう……? ほう……悪くないどころか良いと思うんだが、宰相、どうだ?」
「耐久に関しては問題ない……どころかこれ以上無いでしょうね。ただ、どのぐらいの土地がしいか、が問題でしょうか?」
「うーん。広ければ広いだけ嬉しいけど、貴族の土地2個分ぐらいしいわね」
「ふむ……。それ以外は我々が使ってもよろしいですか?」
「いいわよ? 土地貰えれば」
「あ、そうだ、こんなのはどうですか? 城壁を1回崩します」
「うん」
「崩して新たに建てるわけですが、その際好きなだけ広げてください。的には自分が土地としてしいぐらい」
「ふむ? ……ああ、そういうこと。なるほどね。私は自分が使う分だけ広げて、広げた分城壁で囲えば良い。私の土地が広ければ広い程、余る部分も多くなるから、國が自由に使える部分も増えるし、その分余裕ができると」
「はい、そういうことです」
「うん、良いわよ。數日頂戴? 流石に數日でどうこうなる程切羽詰まってないでしょう?」
「ええ、流石にそこまでではありません」
「さて、どんなデザインにしてやろうかしら」
「……おい、あまり派手なのはやめてくれよ?」
「…………ッチ」
「おまえぇ……」
先手取られたので一見地味にしとこう。
城壁という名のでかい魔法裝置とかどうだろうか?
……やってみよう。
「あ、そうだ。総隊長達、城壁にいる騎士達に言っといてね。荷あるなら外に出しておいて? 崩しちゃうから。そうね……3日後に作りなおすわ」
「ふむ。よろしいですか?」
「ああ、判斷は任せる」
「了解しました」
「じゃあ、おやつも食べたし帰る!」
どんなのにしてやろうか。
ルナフェリアの帰った後の會議室は……。
「あいつ……なにか企んでるな……?」
「ま、まあ、悪いことにはならないんじゃないかと……」
「言ったの私ですが、あの方が大人しく普通の城壁を作るとは思えませんね……」
宰相は土地がないとは別の意味で頭を抱える事になった。胃薬も必要そうだ。
「まあ、本來城壁に回すはずの分を別に回せるのだ、案としてはありだろう。後は壁を見て……だな」
「ですね……」
多微妙な空気になりつつも、會議は終了した。
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※書籍版2巻でます! 10/15に、gaノベル様から発売! コミカライズもマンガup で決定! 主人公アクトには、人の持つ隠された才能を見抜き、育てる才能があった。 しかしそれに気づかない無知なギルドマスターによって追放されてしまう。 數年後、アクトは自分のギルド【天與の原石】を作り、ギルドマスターの地位についていた。 彼はギルド構成員たちを次から次へと追放していく。 「鍛冶スキルなど冒険者ギルドに不要だ。出ていけ。鍛冶師ギルドの副支部長のポストを用意しておいたから、そこでせいぜい頑張るんだな」 「ありがとうございます! この御恩は忘れません!」 「(なんでこいつ感謝してるんだ?)」 【天與の原石】は、自分の秘めた才能に気づかず、理不盡に追放されてしまった弱者たちを集めたギルドだった。 アクトは彼らを育成し、弱者でなくなった彼らにふさわしい職場を用意してから、追放していたのだ。 しかしやっぱり新しい職場よりも、アクトのギルドのほうが良いといって、出て行った者たちが次から次へと戻ってこようとする。 「今更帰ってきたいだと? まだ早い。おまえ達はまだそこで頑張れる」 アクトは元ギルドメンバーたちを時に勵まし、時に彼らの新生活を邪魔するくそ上司たちに制裁を與えて行く。 弱者を救済し、さらにアフターケアも抜群のアクトのギルドは、より大きく成長していくのだった。
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