新しく広がった北側大通り、左側大半を占領する長方形の土地。

そこがルナフェリアの家である。

土地の中央よりし西側を水路が通り、真ん中辺りが池になっている。

池の近くには家があり、池の側にはテーブルに椅子が置かれ、家の近くに塩と砂糖を錬する魔法裝置が置かれている。

周りは様々な果樹が植えられ、敷地は霊達が好き放題している。

結界部、つまり土地の中にると空気が変わるのが分かるだろう。

當然のように、後ろをついてってきた２人のきが止まる。

「な、なんですかここは……」

「……聖域？」

「ここはさっきいた場所の西、王都ファーサイスにある私の敷地よ。この土地には私と霊達しか現狀はれない。安心しなさい」

先ほど仲間、同僚の１人に裏切られ殺されかけたのである。

いくら薄々づいていようとも、ダメージがない訳ではないだろう。

ルナがいなければそこで死んでいたのが事実なのだから。

せっせと卵を置き、予備の椅子を取り出し、自分の所に座り、マスカットを絞ったやつと、炭酸水メーカーを取り出し寛ぐ。２人のは水で割ろうか。

さっさと座らせて飲みを渡す。私ができるのはここまでである。

ああ、家改造しなきゃダメかな？　部屋無いわ。

食料もだな……。私達が『趣味』として食べるならまだしも、人間が食べるには栄養が偏りすぎてるな。！　果実！　お菓子！　稀に野菜。

食べから栄養を取る必要が無いからなぁ……。

ギルマスにテイムできた報告もしておいた方がいいか。

……結構やることがあるな。飲んだらやろう。

「さて、私は作業するから」

「作業？」

「テイムしたことをギルマスに報告しておきたいし、あの家に貴方達の部屋が無いし、食材も人間が食べるには不十分。ギルド行くついでに買いして、帰ってきたら家の改造ね」

「……何かすみません……」

「拾ってきたのは私だし別にいいのだけど……。ん……？」

……ん！？

丸いテーブルを囲んでいるわけだが、その橫に霊とは違う、しふくよかな巨の姉ちゃんが現れた。非常に機嫌が良さそうでニコニコしている。

聖一行は目を見開いて固まっている。そりゃあ、そうなるな。

何してるんですか、慈と長の神。

……と言うか、どうしても聞きたい事がある。

「……降りてこれちゃうの？」

……何かぶり手ぶりしているがさっぱり分からん。あー、喋れはしないのか。

魔力と多制できるようになった神力を渡す。完全制まで先は長い。

これでどうだろうか。同じ神仲間、多分行ける。

「……ありがとうね～」

ああ、うん。何と言うか、想像通り。

めっちゃ間延びしてるマイペースな姉ちゃんタイプだこれ。

「降りてこれたのはね～、ここだから～。貴のおかげで神域になってるのよ～」

「神力のせいか、なるほど。長くは持たなさそう、世間話は後ね」

用があるのは聖達にだろう。加護を與えているようだしね。

「ジェシカにエブリン、無事で良かったわぁ～。私は見ていることしかできないから～……。２人を助けてくれてありがとうね～」

「２人を助けたのは完全にたまたま。あの子を捕まえに行っただけだし……」

「結果的にこうして生きているのだからいいのよ～」

私と違ってそれがデフォなのか？　非常にニコニコしている。

それとも余程気にっているのか。

「２人共これからは決めたの～？　宛がないならこの人に付くのをお勧めよ～。あんな教會よりゆう……比べるのもあれね」

どうも真面目なのもいるようだが、えた豚ちゃんが多いようだ。

《回復魔法》は神の力。加護によって発揮する。

聖はこうして目をつけられていたので、上級を使用できるのだろう。

力取り上げて使えなくすれば？　と思うが、どうもかなり大雑把にしかできないようだ。力が力だけに、小回りが効かないらしい。

「そういえば、貴と話すのも目的だったのよ～」

「私と？」

「そうよ～。やっぱり目的が分からないというのはね～」

「目的……ねぇ……」

「貴が來た時、創造神様の力をじたから～、危険視はしていないのだけれど～。でもね？　私達と同格、いや～格上ね。そんな人がふらっと現れると気が気じゃないでしょう～？」

「……あー、私の役目は１つだけ。『世界が滅びそうな時に原因を排除する』それ以外は好きにしていいと言われたの」

「……私達じゃ手が出せないものね～。それは有り難いわ～。じゃあ、貴個人の目的は？」

「目的なんて大層なは特に無い。創造神様に肩れすると面倒だと教わっているから、喧嘩を売ってこない限りは放置かな？」

「今まで通り～？」

「今まで通り」

「ふふふ～、分かったわ～。私達３柱のお願いを聞いて貰える～？」

「気分次第よ？」

「大丈夫～。貴なら聞いてもらえる容だから～」

「どんなの？」

「教會関係ね～。會いに行けとは言わないわ～。遭遇した場合ね、酷いのは力を沒収してしいのよ～」

「……あれ、さっきできないとか言ってなかった？」

「『私達には』ね。地上にいる貴は別～。神々の加護と言う神力の欠片を沒収してくれればいいわ～。それで力は失われるから～」

「なるほど。１人１人なんか到底無理か。それを私にやってほしいと」

「そうなのよ～。流石に目に余るのよね～。天使とかに代理させたいけれど、神力なのよね～……。使えるけれど、る力を持つのは神々だけなのよ～」

「できるのは私だけなのね。まあ、気にらない奴の力を沒収すればいいのだから、頼まれなくてもやるでしょうね」

「よろしくね～」

また聖の方に戻っていった。あいつら大丈夫だろうか？　ガチガチだけど。

まあ、今まで信仰していた、加護をくれている者がこうして出てきたら、ああなるか？　私は別に信仰されてないし、加護も與えてないからな……。

「あら、貴も信仰されてるわよ～？」

「えっ？　誰に……」

「相手が正を知っている必要は無いのよ～。つまり、貴が謝されたりすればするほど、それが信仰となるわね～。まあ、されてようが、無かろうが、正直関係ないのだけれど」

「……信仰なんて不確かなに頼らんわな」

「ふふふ～。あら、そろそろ戻らないと」

「やり殘しは？」

「……そういえば伝言頼まれてたわ～。『この子達をよろしくね』だって」

……ん？　聖達？　いや、そうか。『伝言』だもんね。

「言われなくても私の子達でもあるもの、心配ご無用。そう伝えておいて？」

「分かったわ～。じゃあね～」

穣と大地の神からの伝言。この子達とは霊達の事だな。

マナの塊であるこの子達は言うなれば私の子供。

でも、穣と大地の神の代理でもある。

的には生みの親と育ての親みたいなだろうか。

まあ何であれ、この子達に何かあれば黙っているつもりはない。

可いは正義。

さて、慈と長の神が帰っていった訳だが……。

２人が突然き出し、椅子に座っている私の橫で両膝をつき、両手をの前で組んでお祈りポーズ。

ですよねー。やりづれぇ……。

「どうするか決めたの？」

「はい。貴様にお仕えさせて頂きたく」

「いいけれど條件があるわね。その態度やめてちょうだい」

「ですが……」

「じゃあダメ」

「うぐ……」

「神ということは一応隠しているの。知ってるのは王様と宰相、王太子と騎士の隊長格、後は冒険者ギルドのマスターと付の１人だけよ。普段は滅んだ國の神生命の皇だから、旅してる時に拾った侍扱いかしら？　王様に頼んで侍修行でもしてくる？　私自分の事は自分でするから、出番あるか分からないけど」

「神様にお仕えするのだから、修行よジェシカ！　最後のは聞かなかった事にして修行よ！」

「は、はい」

分的には貴族だったはずだけど、逞しいな、エブリン。

……じゃないと旅なんかしてないか。

まあ、そうしたいと言うのならそれでいいでしょう。王様に頼んでみるか。

さて、作業しよ。

まずギルドに突撃してテアさんに報告。ギルマスに伝えてもらう。

そしたらギルドを出て買い。シードラゴンがまだ大量にあるので、野菜を確保。

"ストレージ"に買ったものを放り込み、今度はお城に突撃。

かくかくしかじか、まるまるうまうましたら侍が１人付いて來た。

部屋１個増やそう……。侍と聖達が話してる間に、家の改造をする。

平屋だし、橫にばせばいいな。

そんなこんなしていたらすっかり夜に。

家は３部屋増やして、食類も人數分追加。

問題は布団だったが、すんなり鳥系の魔と遭遇できたため、毟り取ってきた。

３人分の羽である。いくら弱強食とは言え、神と遭遇した魔は可哀想ですね。だが、慈悲はない。妖怪羽置いてけ。鶏も確保。唐揚げにしよう。

そして料理のお時間です。

家の外に配置したキッチンです。

侍？　やらせんよ。料理を任せるのはもうし後だ。

料理に関しては私の元の世界の方が優れていたからな！

私好みの味を教えて、作り方も教えてからだ。それまでは自分で作る。

臺所前をウロウロして作っていたら、あの子達が目覚め始めた。

「お待たせしました」

「おはよう、リュミエール」

「おはようございます。一番最初ですか？」

「そうよ、貴が最初」

の霊王だった子が一番最初に起きてきた。

名前：リュミエール

種族：霊

分：皇族

稱號：至高なる守護霊

スキル

【魔法】

    《魔力制 Lv10》　《魔法 Lv10》

【】

    《魔力強化 Lv10》　《制 Lv10》

【その他】

    《並列魔法 Lv10》　《空適正 Lv10》　《魔法適正 Lv10》

【種族】

    《理無効》　《痛覚無効》　《環境効果無効》　《狀態異常無効》

    《魔法反》　《飛行 Lv10》

【固有】

    《月魔法 Lv1》

【所持稱號】

    一般

        [霊皇]

    固有

        [至高なる守護霊]　[月の祝福をけし者]

うん、強いな。霊皇になったか。

Lv1だけど《月魔法》が固有にってるな……。最適化ギフトが《月魔法》とは。

「《月魔法》何が使えるの？」

「えっと……マナ収束砲マギキャノンと衛星砲サテライトシューターが使えそうです」

「無との２つか。作系は？」

「それは無理ですね。闇のオスクリタとならもしくは……」

「なるほどね。と闇が揃えばできるかもしれないか。ん、分かったわ」

リュミエールはいそいそと自分の服を改造し始めた。

妖、霊、霊王とが大きくなり、服も豪華になっていく。

契約して霊皇となった今、長は大60センチ程となり、それなりの大きさ。

妖の時はシンプルなワンピース。霊の時はドレスモドキ。霊王はドレスに。

そして霊皇は、ドレスモドキから立派なドレスになった。

フリフリになり、裝飾も散りばめ、髪飾りなどのアクセサリーもに纏う。

非常に満足気だ。

そんな時、また１人目覚めた。

「……２番目？」

「おはよう、オスクリタ。２番目よ」

ステータスは《魔法》が《闇魔法》に。《魔法反》が《闇魔法反》に。

そして、同じく【固有】に《月魔法 Lv1》がある。

「貴は《月魔法》何ができる？」

「んー……マナ収束砲マギキャノンと這い寄る混沌ニャルラトテップ」

「無と闇か。無は共通で、後は各屬かしらね」

「２人でなら量作リヒトコントロール、できそうです」

「ふむ。そうなるとヴルカンがちょっと可そうね……」

「あー、氷霊いませんからね……」

「ま、こればっかりはしょうがないわね」

この間もいそいそと料理を続ける。オスクリタも自分の服を改造している。

自分のの一部を服としているため、非常に特殊な素材に見える。

リュミエールは白、オスクリタは黒だ。どちらも半明な不思議な布がある。

「ごっはーん！」

「……おはよう、ヴルカン。３番目ね」

「おー！　早かった！」

ふむ、《火魔法》に《火魔法反》か。そして《月魔法》が……。

「えっとねー、マナ収束砲マギキャノンと新星発ノヴァエクスプロージョン。後は火炎作フレイムコントロール！」

「うわ、まさかの獨立か。《火魔法》どころか火そのの作か」

「えっへん！」

「でも新星発ノヴァエクスプロージョンも火炎作フレイムコントロールも止ね」

「ええええええ！」

「火遊び厳。使うときはしっかり考えて使うように」

「……はーい」

火は周囲の被害がシャレならんからな……。こればっかりはしょうがない。

「起きたー！」

「おはようございます」

「おはよう、シルヴェストルにウンディーネ。同時ね」

水と風が起きた。

「マナ収束砲マギキャノンと大津波タイダルウェイブと作リキッドコントロールです」

「マナ収束砲マギキャノンと撃ち貫く者サジタリウスと大気作アトモスフィアコントロール！」

ふむ……。作系が分斷されてるな。

リュミエールとオスクリタは揃わないとダメなのか。

「お待たせしました」

「おはよう、グノーム」

地面からモコっと出てきた。

「マナ収束砲マギキャノンと流星群ミーティアと固作ソリッドコントロールです」

これ、実は１番強いのグノームだったりして。

固作ソリッドコントロールって適応範囲広すぎない？

《月魔法》そのとしては……。

新星発ノヴァエクスプロージョン＝流星群ミーティア＞大津波タイダルウェイブ＞衛星砲サテライトシューター

この順番で地上がヤバい。

撃ち貫く者サジタリウス、這い寄る混沌ニャルラトテップ、マナ収束砲マギキャノン

この３つは地上にはダメージがほぼ無い。

マナ収束砲マギキャノンの使用マナ次第では衝撃波が出るぐらいか？

撃ち貫く者サジタリウスと這い寄る混沌ニャルラトテップは対象がヤバいだけで地上自は問題ない。

正直、新星発ノヴァエクスプロージョンと流星群ミーティアは使い道無いんじゃないか？　どっちも數キロ、ヘタしたら數百キロで更地になる。クレーターのおまけ付きだ。

ぶっちゃけ國の１つや２つ、私達なら超級をぶっ放せば落とせる訳で……。

《月魔法》威力高すぎるのよね……。

まあ、そんな事よりご飯だご飯。

「こら、つまみ食いしないの」

「むー」

ヴルカンが我慢できなさそうだしね。

「食べるわよー。運べー」

「わーい！」

私は椅子に座り、霊６人は機に座る。そして３人を席に著かせる。

「ど、同席など」

「やかましい」

「…………」

ゴリ押し。

「ところでその方達は？」

「私の侍見習い２人と侍の先生。今後ここにいるからね」

「なるほど。の契約霊、リュミエールです」

それぞれ自己紹介をしている。

「……あれは？」

オスクリタが巨大な卵を見ている。

「ああ、あれは私の従魔。皆が最適化中に捕まえてきたの。今最適化中」

「でかいですね？」

「魔王種のアラクネ捕まえてきたからね！」

「魔王種！　皇族なるかな？」

「どうだろうねー。出てきてのお楽しみだ」

まあ、多分なるだろう。あの子は何をギフトでもらってくるのかね。

「ヴルカン。もうし落ち著いて食べなさい。綺麗な服が汚れる」

「汚れつかないもん！」

「そうだけど、そうじゃない」

霊達はそれぞれの屬のの服をに纏っている。

火は赤。水は青。風は緑。土は黃。は白。闇は黒。

どれも薄っすらとすけていて、幻想的な見た目をしている。

火と水と風は常にいているような、流れているような見た目をしており、は薄っすらと発。闇は吸い込むように暗く、土は眩しくない暗い黃をしている。

……派手だな。まあ、霊だし。

「……非常に味しかったです」

「後々作り方教えてくから」

「本當ですか！」

「ええ、じゃないと侍としての仕事が無いしね」

「頑張りますよー！」

元気だな、エブリン……。

食事が終わると、霊達はベアテの卵に群がっている。

あれ？　もしかして進化したらもっとでかくなるんじゃ？

下の蜘蛛３メートルぐらいあったよな？　これ以上育つんですか？

でもカニとか皮したら、どうやってその中にってたんだ？　ってサイズで出てくるよな……。考えるだけ無駄か。でかくなったらなっただ。好きにしてくれ。

多分起きるのは明日だろう。

考えるのをやめて、３人に家の中を案する。

３つサイズもデザインも同じ部屋を用意したので、そこを使わせる。

更にほぼ全部が魔道なので、お風呂の使い方や、臺所の使い方を教える。

そしたら霊達含め、皆でお風呂にり、寢る。

「我々が寢るのは主様が寢た後です」

「あ、私神生命だから、睡眠必要ないよ」

「……丁度２人いるので代で付きましょう」

「夜は私ゴロゴロしてかないから、全員６時間から８時間は寢ること！」

「…………寢ますよ」

「「あ、はい」」

「主様が仰った事が全てです。お先に失禮致します」

「ええ、おやすみ」

「「おやすみなさい」」

私はベッドに転がり、靜かに目を瞑る。

侍を持つ方も楽じゃない。さて、彼らには何を任せようか。

よくあるのは著替えの手伝いや、食事を運んだり、飲みをれたり……だが。

服は私の魔力だし、コックは居ない。飲みも基本私の"ストレージ"。

ここに住んでいるのは私と霊達のみ。しかも彼達には実化している霊達しか見えない。……仕事ないんだこれが。どーしようかね。

しかもそろそろ冒険者しようかと思ってたのに……。

短期間でみっちり詰め込んでもらって、連れ歩くか？　今まで旅してたんだし、その辺りは大丈夫だろう。立派な侍になるのにどのぐらいかかるか、だな。

……とは言え、旅して助けて回りたい思いは捨てきれてないな。

捨てろとは言わないし、捨てる必要も無いんだが。

何がそこまで彼達を駆り立てるのか。

……ま、他人の過去なんぞ微塵の興味も無いので、見る気にもならんが。

冒険者旅に連れ回して私の代わりに使わせれば丁度いいか。

上級の《回復魔法》を使える者を連れ回すんだ、間違いなく教會関係で面倒事が起きるだろうが、慈と長の神に頼まれてる事もあるし、別に良いだろう。

ということで、ちょいちょい連れ回してやろう。

そうすれば『困っている人、助けてしい人を助けて回りたい』という思いは達できるだろう。

聖ねぇ……。

理不盡な理由で殺されかけて尚、そうありたいと思うのだから強いもんだな。

悪いことじゃあるまいし、したいようにさせてやろう。火のどころか、核弾頭だって振り払ってやるさ。安心して己が道を進むと良い。

私ができるのはそれぐらいだろう。むしろ、これ以上はんじゃいないだろう。

……侍としての仕事が無いなぁ。

ベアテが《裁》持ってたのよな。服でも作ってもらおうかしら。