《二つの異世界で努力無雙 ~いつの間にかハーレム闇魔法使いにり上がってました~》転生したらデートフラグ立ちました

教室にった途端、「おはよう」という挨拶がいくつか俺にかけられた。前世界では俺のことなど空気のような扱いだったのに、こっちでは文字通り人気者のようだ。 

「なあ」

と俺は隣の坂巻に訊ねた。

「俺の席ってどこだっけ?」

「はあ?」

坂巻は目を丸くしながらも、指を差して席を教えてくれた。前世界と同じ場所だった。ワリ、と片手で謝罪し、俺はその席にバッグを置く。

「ねえねえ」

途端、隣の生徒が話しかけてきた。名前は……顔は見たことあるのだが、忘れてしまった。クラスメイト、特に子のことにまったく関心を払わなかったツケをここで払うことになろうとは。

「どうした」

「昨日のライン、見てない?」

「ん?」

しまったと心のなかでんだ。

そういえば、おそるべき著信數に驚くばかりで、返信するのをすっかり忘れていた。

「すまん、昨日は疲れてライン見てない」

「……そっか」

生徒は數秒ののち、意を決したように俺を見つめてきた。

「そしたらさ、今度、一緒にカラオケ行こうよ。近所に、すっごい良いお店ができたんだ」

「カ、カラオケ?」

歌なんて歌えん。

しかもこれデートのいか。マジか。大丈夫か。

しかしながら、その心とは裏腹に、俺は

「いいよ」

と即答していた。

初めてのの子からのい。斷れる理由なんてない。

事ここに至って、俺は自のコミュニケーション能力が格段に上がっていることに気づいた。

以前は異と目を合わせることさえ難しかったのに、それが張もなく話せるようになっている。まさに奇跡としか言いようがない。

また、自分のを素直に表現することも難なくできるようになっていた。かつてはウェーィとぶ奴らに嫌悪しかなかったが、自分がその立場になると案外楽しいものだった。ウェーィ。

朝のホームルームまでには意外と時間があった。以前の俺はスマホで時間を潰していたのだが、いまは數え切れないくらいの友人がいる。特に坂巻とは深い仲にあるようで、俺の席に座って々と話題を降ってくる。

教室には、當然ながら以前の俺と同種ーーつまりはスクールカースト底辺に位置するあぶれ者ーーも存在する。彼らはやはりスマホや本、ゲームなどに打ち込んでいる。彼らに話しかけてみようとも思ったが、すんでのところで斷念した。気まぐれにリア充がつるんでくるのがどれほど鬱陶しいか、に沁みるほどわかっているからだ。

五分ほど経っただろうか。

「お、きたぜきたぜ」

と坂巻が耳打ちしてきた。

坂巻に視線を合わせると、ひとりの男子生徒が教室にってくるのが見えた。

一見しておとなしい格だということがわかる。かなり背が低く、下手したら小學生の高學年といい勝負なのではなかろうか。黒縁眼鏡をかけた顔には吹き出がいくつも現れており、正直近寄りがたい。寢癖も滅茶苦茶で、かつての俺よりもさらなる底辺臭がする。

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