リーダーの発言に発破をかけられたのだろうか。構員たちが顔を引き締めてさっと構える。

思わず俺は舌打ちをした。そのまま逃げてくれれば楽だったものを。

俺もわずかに息を吐き出し、戦闘へと意識を切り替える。の底から得の知れないエネルギーが沸々と沸き起こってくるのをじる。

構員たちに目を離さないまま、俺は低い聲音で告げた。

「高城。おまえは手を出さないでくれ」

「え……？」

「あいつらは闇の魔法を使う。おまえが攻撃を喰らった場合、二倍ものダメージが通る。わかるだろ？」

「でも、相手は何人もいるんだよ？　私も……」

「大丈夫さ。新しく獲得したスキルがある」

俺は両腕を左右に突き出した。

そのまま左右の手に魔力を流し込むと、新たな重みをじる。

闇の雙剣。

かつて佐久間祐司を驚かせ、そして圧倒的なレベル差にも関わらず勝利を収めることができた、チート級のスキル。

漆黒の霊気に當てられてか、構員のひとりにく者がいた。

ーーだが、これだけじゃない。

俺は薄い笑みを浮かべると、剣を持つ両手をだらんと落とした。全から、闇の魔力を微弱ながら解き放つ。

瞬間。

高城や構員たちが、わっと聲をあげた。さっきまでの引き締まった表はどこへやら、あっけらかんとした顔で周囲を見渡している。

當然だ。

奴らには、俺の姿がまるで見えていない。そっくりそのまま消えてしまったように思われているのだ。

これが、佐久間との戦いで手したスキルのひとつーー闇の。

全を闇で包み込み、何者の目からも捉えられなくする、こちらもチート級のスキル。

ーーだが、すべてにおいて完璧な能力ではない。

俺は全速力で近くの構員に走り寄った。

右手の剣を橫薙ぎに切り払い、太を抉りだす。

「わああああああっ！」

なにが起きたかわからないといった表で、構員が膝を抱えてうずくまる。ＨＰがごっそり削られ、奴の力はあっという間に一桁になった。もうくことはできないはずだ。

「な、なんだなんだ！」

「いったいなにが起きた！」

構員たちが一気に恐慌をきたす。蒼白な顔できょろきょろするが、當然、俺の姿は捉えられない。

しかし、俺とてもあまりのんびりしていられなかった。

闇のは、あまりに兇悪すぎる能力である反面、使用している間に刻一刻とＭＰが減していくのだ。

いまも、からすこしずつ力が失われていくのをじる。

ーーおおおおおおっ！

心のなかでびながら、俺はすべての構員たちを一瞬にしてノックアウトさせた。

最後にリーダー格の生徒が逃げ出そうとしていたが、こいつが一番なにをするかわからないので、容赦なく足を斬りつけておいた。