彩坂はラインで事前に告知してくれていたのだ。

リベリオンの連中が俺の命を狙っていると。だから學校に來るのは危険だと。

ということはつまり、彩坂自も構員の一員である可能が高い。でなければリベリオンの向など知るよしもないだろう。異世界での彩坂はいじめられっ子だったから、構員の誰かに勧されたのだと思われる。

高城が沈鬱な聲音で問いかけてきた。

「これからどうする……？　なんか、學校に行ったらまた襲われそう」

「……まあ、そうだろうな」

安全面だけを考えるのであれば、このまま一旦は引き返して、今後の対応を考えるのが最上の選択だろう。

だが。 

「元の世界では、父さんが囚われたままだ……」

現実世界において、古山章三は俺の父を人質に取り、俺たちを殺そうとしてきた。

俺と高城は彩坂によって救い出されたが、囚われたままの父はどうなっているのか。もはや考えたくもない。

そんな狀況で、呑気に家に帰っていられる気には到底なれない。

「俺は行くよ。あのレベル９０の古山に対抗する力もにつけたいしな」

「……そっか」

重々しい表で頷く高城。

「なら、私もついてくよ。ちょっとやりたいこともあるしね」

やりたいこと……？

々気になったが、高城が聞いてくれるなとばかりに顔を逸らすので、俺もそれ以上の追求はしなかった。

朝のホームルームにはギリギリ遅刻しないで済んだ。途中でまたリベリオンに襲撃されるかもしれないと警戒していたのだが、それは杞憂に終わった。俺と高城は何事もなく、無事に校舎に足を踏みれることができた。

古山章三はやはり姿を消していた。そのことに対し、疑問を差し挾む生徒は皆無だった。すでにクラスメイトの記憶は改変されているらしい。

そして俺はすっかり油斷していた。

坂巻信二が《失蹤》したことにより、教室でのカーストが微妙に変わったらしい。

教室にった瞬間、「異世界の高城絵」が、彩坂をいじめているーーその現場を目撃してしまったのだ。