高城絵。

さっきまでたしかに元気だったはずの彼は、全に凄慘な傷を負っていた。

太にが抉られている。

そこから大量のがあふれ出してきている。

おそらく先に足をけなくされ、その後たっぷり痛めつけられたのだろう。のあちこちに、線の跡と思われるが穿たれている。

「た、大変！」

一番先にいたのは彩坂だった。慌てたように高城のもとへ歩み寄り、片膝をつく。

「待っててね、いま時間を戻すから！」

そう言って片手を掲げようとした彩坂を。

「……まって」

震える作で、高城は力なく摑んだ。そのも紫がかっているが、それでも彼は懸命に言葉を発する。

「いいの。これも、罰だから」

「罰……？　な、なにを、言ってるの」

「私、あなたに謝ろうと思ってた。ずっとあなたに嫌な思いさせてたもんね。それは『ごめん』って謝ったくらいじゃ、絶対に、済まされない……」

「な、そんなこと、いいよ、もう……」

「大丈夫。私はもう、いなくなったほうがいいんだよ。佐久間くんだけが死ぬのも……おかしいし……」

高城はそこで一度、激しくを吐き出した。だが最期の抵抗とでも言うように一旦ぎゅっと目を閉じると、次は俺を見やった。

「吉岡くん。短い間だったけれど、本當にありがとね。私、あなたに會わなければ最低なだけのだった」

あなたに會えてよかった。

最期にそれだけを呟き。

高城はゆっくりと目を閉じていき。

いつか彼は言っていた気がする。

私に償える日がくるのかと。

これまで散々クラスメイトを傷つけてきた。

自分が學校で最高位の存在だと勘違いしていた。

痛々しいだった。

それを償える日は來るのかと。

かつて佐久間祐司は、高城にたった一言謝られたくらいで許そうとはしなかった。

だから彼は言っていた。

いつか私も行しなければならないな、と。

口先だけの謝罪ではなく、みんなにけれてもらえるだけの行をする。

それくらいしないといけないんだと心に決めていた。

それなのに。

高城は薄く微笑むと。

そのまま、ぴたりとかなくなった。

「な……おい……！」

俺も続けて高城に歩み寄るが、いくら呼びかけても、いくら揺すっても彼はびくともしない。いつものように俺の名を呼ぶこともない。

ＨＰ０。

それはすなわち、死亡ーー実際の命をも失う。

馬鹿な。そんなーー

俺はぶるぶると拳を振るわせ、こみあげてくる激をなんとか抑えつけながら、構員たちに目を向けた。

「これが……おまえたちのやりたかったことなのかよ！」