《二つの異世界で努力無雙 ~いつの間にかハーレム闇魔法使いにり上がってました~》二つのチート

高城との別れを告げたあと、俺と彩坂は揃って校舎を出た。

そのまま人気ひとけのないところまで行き、周囲に誰もいないのを確認すると、彩坂に《空間転移》スキルを発してもらった。俺たちは漆黒のオーラに覆われ、瞬時に視界がブラックアウトした。

そして視界が元に戻ったときには、見覚えのある風景が広がっていた。

一面に広がる荒野に、場違いなほど存在を放っている近未來的なタワー。

青、緑、黃、赤と、タワーそのものが変のサイクルを順に繰り返している。虹の薄い線が螺旋式にタワーを包んでおり、正直、いけないとわかっていても見取れてしまう。

リベリオンの総本部。

ここに、異世界の古山章三がいる。

俺は大きく深呼吸をし、気合いを全に込めながら、彩坂に決然と言い放った。

「さあ、いくぞ!」

「うん!」

   ★

俺は予想外なものを見た。

この戦いにおいて、メインの戦力になるのは俺だと思っていた。俺はレベル30を越えているし、そのへんの構員くらいなら軽く蹴散らすことができる。

対して彩坂のレベルは5だ。敵と比べて決して見劣りするわけではないが、無雙しながらタワーを突っ切るには々不安なレベルだ。

だが、その認識は甘かった。

彩坂の《空間転移》はMPを1しか消費しない仕様らしい。

つまり、ワープしまくって敵をわせるという、贅沢な使い方もできるわけだ。

ならばと思って俺も《空間転移》を使用してみたが、MPを20も消費してしまい、あまりに燃費が悪い。おとなしくオーソドックスに戦うことにした。

そしていまも、構員のひとりが彩坂に言いように躙されていた。

《坂山和也 レベル15

HP 97/97 MP 42/100

MA 2100 MD 1203》

レベル15ということで、々の長期戦は予想していたのだが、彩坂の活躍っぷりが良い意味でそれを裏切ってくれた。

繰り返されるワープにすっかり取りした構員は、彩坂に向けて巨大な闇の可視放を放つ。しかしながら、次の瞬間にも彩坂は転移を行っており、可視放はむなしく空を突っ切っていく。

「いまよ、吉岡くん!」

「お、おう!」

俺は急いで右手を突き出し、の可視放を放つ。あとは、放たれた魔法が、構員に通常の二倍近いダメージを與えてくれる。

線に飲み込まれた構員は、HPをわずかだけ殘しながら、その場に倒れた。

「くっ……ワープとか魔法とか……反則だ」

完全に気を失ったのを見て、俺は彩坂に親指を突き出す。彩坂は頷くと、また先に進み始める。

彩坂のチートスキルと、俺のチートステータス。この二つの相は悪くないといえた。実際にも、長丁場になるだろうと思われたタワー攻略を、俺たちはものの一時間で完了させた。

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