《二つの異世界で努力無雙 ~いつの間にかハーレム闇魔法使いにり上がってました~》心の溫かさを

がここまで話してくれているのだ。俺も心に決め、腹のを吐した。

「……前にも話したけど、向こうの世界では俺もいじめられっ子でな。特にと関わるのが怖かった。いまはすこしは立ち直れたが……それでも時々怖くなる。人と話すことが」

スクールカースト最底辺に位置する俺に、いじめっ子たちは容赦なかった。次々と「きもい」「死ね」などの罵詈雑言を浴びせたり、俺を化け扱いしたり……

登校拒否したくなる日も正直あった。それでも頑張って學校に足を運んだ。

だが、いじめっ子はやはり容赦ない。の痛みを抑えてまで登校した俺に対し、またも「きもい」「臭い」……

そんな奴らに復讐心が芽生えないはずがない。坂巻なぞは本當にぶん毆ってやりたかった。

心の傷はなかなか癒えない。坂巻に「ごめん」と謝られたとしても、その人間不信は治りきらないだろう。そしてたぶん、彩坂もそんな狀態なのだ。

「おまえの気持ちは俺が知ってる。その傷を治そうと頑張ってるのも知ってる」

「……うん」

「一気に治そうとしなくていい。俺だってその辛さはわかるからな。……だから、一緒に乗り越えていこうぜ」

その言葉は。

いままで深く傷ついてきた彩坂の心を、ほんのすこし溫めることができたようだ。

彩坂は目元に薄く涙を浮かべはじめた。

俺はそんな彼を丸ごと守ってやるように、ぎゅっと包み込んだ。彼は俺ののなかでわあわあ泣き出した。

その頭を優しくでながら、俺は優しい聲音で言った。

「……こっちを、向いてくれ」

「うん……」

ゆっくりと顔を上げた人に。

俺はを重ねた。

突然のことではあったが、彼が嫌がる素振りはなかった。

俺は彼をさらに強く抱きしめ、再び、さっきよりも濃なキスをした。

薄暗い部屋のなかで、ベッドランプだけがほんのり燈っていた。

俺の橫ですやすやと寢息をたてている彩坂育の頭を、らかくでてみる。

「んにゃ?」

うっすらと目を開けた育が、甘えたような聲を出す。

「がおー」

「にゃにゃにゃ!」

「がおがおー」

アホくさいやり取りのあと、俺は頭を掻きながら謝った。

「すまんな、起きちまったか」 

「……ううん。このまま寢ると、なんかもったいない気がするし」 

俺はふっと笑った。

「たしかにな……寢ないと明日に響くけど」

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