《悪魔の証明 R2》第144話 086 アカギ・エフ・セイレイ(1)
「それで、シャノンさんは昨晩侵者にサイレンサー38式を手渡され、フリッツさんを殺害するよう仕向けられたということか」
心したような深い吐息をらしつつ、クレアスは言う。
「ええ、クレアス。そうだと思う。結局、彼は言われるがままフリッツさんを殺害してしまった」
頭を軽く振りながら、エリシナが補足をれる。
「だが、最終的には良心の呵責に耐えられなくなり、シャノンさんは自分の頭を撃ち抜いた……なんてことだ」
再びベッドの方へと視線を移しながら、クレアスはそう聲を零した。
「シャノンさんがテロリストの命令を聞くしかなかったのは、止むに止まれぬ事があったのでしょう」
と返しながら、エリシナは目を細める。
「そうであるとすると――例えば、家族を人質に取られているとか、そういった理由が考えられるな」
クレアスはそう呟きながら、フリッツたちに哀れみの目を向けた。
「その可能が高い。そして、同様の理由で脅されて、テロリストに自殺を強要されたシャノンさんは、テロリストが立ち去った後で部屋に鍵を閉めて、自分のこめかみを撃ち抜いた。これが真相だとすると、ほぼ他殺と考えて間違いないのではないかしら」
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エリシナはそう結論づけた。
軽く吐息をつきながら、その場にいる全員に目を配る。
彼は始めから僕たちにこれを伝えようとしていたのであろうことが、その行からはうかがえた。
「それはそうかも――いや、テロリストはそこまでして、なぜわざわざ室にする必要があったんだ?」
「どういう意味かしら?」
「室なんて、テロリストの顔を知らない俺たちに仕掛けても無駄だろう。だいたい、室なんてものを造る理由は、自分のアリバイを確保するための詭弁みたいなものと概ね相場が決まっている。自分の顔が知られていないテロリストには、アリバイなんて不要なはずだ」
「いいえ、クレアス。私たちが死んだと思っていた人が実は生きていて、その誰かがテロリストだとしたら、あなたの推論は途端に破綻する」
エリシナはそう宣言すると、クレアスの方へと一歩を近づけた。
「死んだ人間が……そんな馬鹿な。生き返ったとでもいうのか」
し後ろへを引きながら、クレアスが呆れた聲をあげる。
「ええ、その通りよ」
エリシナは、すぐにそう言葉を返した。
「それに、俺たちが認識している人間といえば、セネタルとアカギ君の連れ――スピキオさんくらいのものだぞ。スピキオさんの死は、アカギ君とフリッツさん。さらにシャノンさんが目撃している。そして、セネタルは死した。俺が直前まで食堂に殘っていた彼を確認しているから、それは確かだ」
狀況説明をまじえながら、クレアスが反論する。
この彼の発言にエリシナは目を細めた。
「そうね。アカギ君とフリッツさん。そして、テロリスト一味の可能があるシャノンさんがスピキオさんの死を目撃した。では、そのひとりであるアカギ君。あなたは車両の窓越しから、スピキオさんがテロリストに撃たれるのを見たのよね?」
と、僕に確認してくる。
急に話を振られし困したが、一旦當時の狀況を頭で整理してからこくりと頷いた。
それを見たエリシナは、吐息をついてから口を開く。
「ということは、何かしらのトリックが仕掛けられていたとしてもおかしくないわ。車両から側壁付近まではかなりの距離があるから、人間の目の錯覚を利用すれば、人が撃たれたようにとか、橋から落ちたようにとか――そのように見せかけることは簡単よ」
と、告げる。
「トリック?」
僕とクレアスは、またふたり揃えて聲をあげた。
「私の妹がこの辺りに詳しいからよく知っているの。でも、これはただの可能に過ぎない。狀況からすればありえるとだけに留めておくわ。けれど、スピキオさんより、その可能が高い人がひとりいるわ」
「もう一人生き殘っていそうな奴がいるってことか?」
「……ねえ、クレアス。私はここでもう一度確認したいのだけれど――あなたは、果たしてセネタルの死を目撃したのかしら。いいえ、実際は違うわね。あなたはセネタルが食堂に殘ったところまでしか見ていないのだから」
ふたりの會話に出てきたセネタルという人が誰であるかはわからない。
だが、ふたりの口振りから察するに、おそらくその人は彼らの仲間、私設警察の人間であると考えて構わないだろう。
「――セネタルはシャノンさんがテロリストだと俺に忠告してきたんだぞ。テロリストであったとしたら、そんなことを教える必要がどこにある?」
怪訝に眉を顰めながら、クレアスが尋ねる。
「シャノンさんがテロリストと言ったわけではないでしょう。セネタルは、としか示唆しなかったのよね」
「それはそうだけど……」
「クレアス、それが教えているうちにるのかしら」
エリシナは、嘲笑気味な口調で言う。
「だからといって、セネタルがテロリストなんてことが……」
聲を零してから、クレアスは頭を大きく振る。
それから、思い立ったかのように顔を上げはしたが、引き続き戸った表をしていた。
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