《老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件》326話 裝備錬

「どうだろヴァリィ?」

ユキムラが通信魔道しい青い鎧を見せている。

「完品もよさそうね。フィリポネアはそのデザインで行きましょう。

次はゲッタルヘルン帝國、カラーは黒と金……悪趣味よねぇ……ボソッ」

「ちょ、ちょっとヴァリィさん! 隣りにいるんですから!」

自分の國の裝備の要に、辛辣なダメ出しをされたライガーは苦笑いを浮かべる。

「ははは、済まないなヴァリィ殿、私もそう思うんだが……軍の上層部のご老人たちは頭が固くてな……」

政、軍事において、現在第二皇子ライガーがほぼ掌握している。

古い頭の方々に悩まされつつも、ユキムラ達、特にレンとはよく流を取っている。

ゲッタルヘルンにも新しい風が吹き始めている。

「あ~らごめんなさい。でも、それなりに見れるものにしたからーハイ!」

漆黒の鎧に金のアクセントが上品にれられている。

ローブも全として上品な仕上がりになっており、威厳と品格がよく表されている。

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「おお……これは……素晴らしい……」

発注主も稱賛を惜しまない素晴らしい出來だ。

「最初のコンセプト案はキンキラで悪趣味以外の言葉がなかったので大きくいじらせてもらったわぁ。

ま、これで文句言うようなら勝手にしなさいってじね」

「……いや、絶対に文句は言わせない。ヴァリィ殿、心から謝する!」

ライガーは心からこのデザインを気にってくれたようだ。

多忙なライガーは絶対にこれで行くことを約束して中座する。

各國の裝備案はその後も続けられていく。

世界が一つになったことで、このような『世界會議』的ながサナダ商會を仲介に増えている。

各國の役人、文、さらには大臣級の高や、ひいては國王レベルの會見もユキムラ達が挾まることによってスムーズに執り行われていく。

報技の著しい進化によって、外というものはガラッと姿を変えていた。

「プラネテルは國も赤で統一……師匠の影響力は凄いですね……」

「ユキムラさんがいるということをアピールしたいというのもあるんでしょうね」

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すでに會話は白狼隊の5人だけの通信になっている。

「テンゲンは深い緑、ケラリスは白。各國の兵士が集まったらカラフルね」

「裝備の量産もこれで可能になりますし、いよいよ準備が整ってきましたね師匠!」

資の生産型職人育も、兵士の方々や冒険者の方々の育もかなり進んだからね。

萬全に近い形で戦いに臨めると思う」

「タロ様! 急の報告が!」

タロの通信に相を変えたスタッフが飛び込んでくる。

「い、異形の者達が白狼隊の人々に用があると!」

夜も更けた時間だが白狼隊はすぐにテンゲンへと転移する。

「おお! ユキムラ! 久しぶりだな!」

「ああ、やっぱりラオ達か!」

異形の達とはラオ、八鬼衆、九それに朧だった。

「他の奴らは連れてきても邪魔だからなー、あの二人も連れてきてよかったんだよな?」

「レン様! なんと、更にらしくなられて!」

「ソーカ様! そ、その雄姿でどうか私に命令を!!」

「なんか、変態度あがってません?」

レンは呆れ顔だ。

「ま、とりあえずちょうど11人か、タロ。絞ってあげて。

その間に裝備整えとくから」

「アンアン!」

「お、また喧嘩か!? お前らと一緒だと毆り甲斐のある奴らと殺れるから楽しーんだよな!」

タロが嬉しそうにくるっと一回転する。

らしいタロの外見からは想像もできない超弩級のスパルタ合宿が組まれることになるのだが、この時の11人は知るよしもなかった。

「とりあえず彼らのことは明日テンゲンや各國に連絡しておきますね」

「ラオが來てくれたのは嬉しいね。一人でも軍を率いても頼りになるからね」

鬼や妖怪でも頼もしい仲間であることは間違いない、過って味方に攻撃されないように注意を払わないといけない、事前の連絡通達は重要だ。

「ヴァリィ、それこそ彼らにはあの金銀ピカピカ來てもらうか」

「あれなら敵に黃金騎士がいたとしても目立つわね。ラオちゃんも好きそうだしね」

初期のゲッタルヘルン案、黒と金で金が超多め、の更に原案の金と銀のみで構された金趣味全開のデザイン。コストを伝えて黙らせたそのデザインを異形軍団に用いることにする。

目立つことで敵が群がれば彼らも嬉しいだろう。九と朧は知らないが……

戦いまでの日々はこういった準備で飛ぶように過ぎていく。

もちろん、細かなトラブルは毎日発生しているが、白狼隊や、回りにいる優秀なスタッフもどんどん長しておりなんとか乗り越えていく。

それでも、たまには大きなトラブルも起きる……

「まずい、鉱石不足だ……レン、かなり上級の魔石を取りに行きたい、招集かけられる?」

「えーっと、大丈夫ですね……ケラリスが一番効率いいですかね、もう今から向かってあっちで寢ましょうか……ただ、向こうの時間で2日以、できれば1ヶ月で攻略したいです」

「そうなると……俺たち全員と、ラオとリンガーさん、コウ、ナオ、ガニさんイオラナさん……」

「師匠アリシアさんも大丈夫です」

「おお、流石レン。このメンツならその日程でも平気だろ。すぐに出発しよう」

こんなドタバタも起きるが、きちんと予定通りダンジョン攻略をし遂げる。

ケラリス海底神殿ダンジョンは、その後もアイテム集めのために何度も攻略され、とんでもないレベルの寶を吐き出し続けて大変お世話になるダンジョンとなった。

ダンジョン攻略に參加する人員は、各國の中から特に長著しい中心人たちを代で人選して行っていった。

その結果、戦闘面における幹部候補生の最終研修のような形式になっていく。

実働部隊の上層部が顔を合わせて一緒に戦うことで、お互いの能力や実力を知ることになり、お互いをきちんと認めあって仲間としての意識も共有できるという狀態が生まれた。

ユキムラは意図していたわけではないが、終わってみれば最高の結果をもたらすことになった。

更に月日は経過していく……

「……これで、各軍の資は全て準備完了です。食料備蓄、魔道備蓄、魔石備蓄も裝備も全て、これで全て行き渡りました!!」

「おつかれーーー!!」

會議室が歓聲で包まれる。

最終確認會議ということで、全員が集合しての會議だ。

長いようで短かった準備の全行程が終了した。

魔王軍襲來予想日時10日前、ギリギリだ。

前後1週間程度のズレはあり得るとの、神たちの読みと合わせると、本當にギリギリだった。

それでも白狼隊は期日前にやり遂げた。

途中大小様々なトラブルもあったが、なんとか乗り越えてきた。

最初の予定では1ヶ月の猶予を持てるはずだったが、終わってみればこの結果。

なんにせよ、最初の方の荷が降りた。

「殘りの日は、戦闘に支障を殘さないように、ゆっくりと休んでください……」

この結果に最も多く貢獻したのは間違いなくレンだった。

「レン、今日はもう休みな。軽い打ち上げは明日の夜にでもゆっくりしよう。

本當にお疲れ様。俺はレンを弟子に持てて本當によかったよ」

「師匠……ありがとうございます。本當に申し訳ないのですが、今日は先に休ませてもらいます……」

そのままユキムラに倒れかかってくるように眠ってしまった。

ユキムラはレンを抱きかかえ彼の寢室まで運んでいく。

その姿に何人かのスタッフは熱い妄想を繰り広げていく。

「さてと、実務部隊も問題なし、指揮クラスの連攜もばっちりね」

ヴァリィが引き続き會議を進行する。

実務部隊、軍部はヴァリィとソーカが統括している。

「予定通りなら3カ國をにかけた大戦爭になります。

基本方針は変わらず専守防衛。

攻撃は、我々鋭部隊で行います」

「魔人対応マニュアルも徹底させているわ、破っちゃう悪い子は……あとでどうなるかわからせてあげてるわ」

恐ろしい。

「いつどこから魔が來ても監視の網は迅速に敵を補足、報を伝達できています」

ソーカがコンソールを作すると、各國に設置されている監視塔や監視用ドローンからの報がモニターにびっしりと表示される。

「これらの映像は複數の解析チームで管理しており、不可視化、幻影を含み、あらゆる可能をリアルタイムで解析しています。監視制の不備はありません」

「こっちも、これで肩の荷が降りるわね。

あとは実戦。こればっかりは始まってみないとわからないわねぇ……」

「細工は流々仕上げをご覧じろってやつだねー」

レンを寢かしつけたユキムラが部屋に戻ってくる。

「……? ユキムラさん、今のは……?」

「ああ、準備は萬全にしたから後は結果を待ちましょう的な言葉だよ。

俺がいた世界の時代劇っていう古い時代を描く劇とかに出て來る言い回しだよ」

「ユキムラちゃん……來訪者のあなたがいなかったら、きっと世界は滅んでいたわね。

本當に心から禮を言うわ」

「ちょ、ちょっとヴァリィなんか変なフラグ立ちそうだからやめてよ!」

「はは、でも、ユキムラちゃんの言を合わせると、この戦爭も通過點なんでしょ?」

「ど、どうかなー? ヴァリィは鋭いから滅多なことは言わないよ。

それでも、まずは目の前の戦爭に勝つこと。全てはそこから始まるよ!」

全員がユキムラの言葉に力強く頷く。

ユキムラ達による戦爭準備の長い長い冒険の結果が、間もなく明かされようとしていた……

その報がもたらされるのは、予定襲來日の2日前、ケラリス神國からもたらされる。

「南西の海上に魔王軍部隊と思われる飛行部隊を確認!!」

世界に、張が走る。

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