《老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件》327話 開戦

【ついに我ら魔族がこの世界で偉そうにはびこっている人間に、鉄槌を下す時が來たぞ!】

【空の王者たる我らに、空をとぶことも出來ない脆弱な人間どもは恐れ慄くだけだ!】

【今こそ世界を我ら魔族のに!!】

達は彼らの言語で冗談をえながら會話をし、士気も高く人間の大陸へと攻め込んでいく。

先鋒は空を飛べる魔たちを中心とした部隊だ。

彼らの頭のなかには、一方的な空中からという有利を活かした躙しかない。

空を覆うほどの魔たち、魔獣にまたがるコブリンやオーガのような騎士もいる。

これらの空からの部隊によって、初撃で人間の都市を破壊盡くす。

子供がおもちゃで遊ぶように、人間たちをどうしてやるか楽しみにしていた。

【がぁ? なんか空が明るく……ブベェ!】

突然の閃が、空を仰ぎ見た魔を撃ち抜いた。

それを合図のように魔たちの頭上に幾千幾萬ものが降り注ぐ。

「打て打てー!! 弾も矢も惜しむなー! 魔法も惜しむな!

魔力がなくなったものは代! 陣で回復して予定通りのローテーションでやれ!

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訓練通りでいいぞー! 撃てば當たる! 落ち著いていけ!」

地上部隊による対空撃。

サナダ商會から提供された弓や大砲が間斷なく火を噴く。

さらにその攻撃に魔法によるエンチャントを施す。

こうして用意に魔たちの防を食い破る攻撃が文字通り雨のように降り注ぐ。

予想もしていなかった突然の先制攻撃に魔たちは多くの犠牲を出してしまう。

【なんということだ!! くそ! 龍だ! 龍を前に出せ!!

食らいついてしまえば人間どもなぞに遅れを取るかぁ!!】

【高速部隊は水面ギリギリから地上に接近しろ! 奴らを祭りにあげるんだ!】

【魔法部隊! 反撃と防だ!】

魔王軍も必死に対応しようと建て直していく、堅牢な鱗でを包む竜族が上空から降り注ぐ雨を防ぎ、竜族に必死に防魔法をっていく。

しかし、いくら軽減しても降ってくる攻撃が多すぎる。

を撃ち抜かれ錐みしながら落下していく。

それでも幾つかの部隊は、界面ギリギリの超低空を高速飛行で陸上部分に接近する。

「魔法式、発!」

防衛隊の號令とともに魔法が発する。

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海上に現れる巨大な魔法陣。

事前に準備されていた幾重もの魔法陣が発すると、海上を飛行している部隊は氷の柱に包まれ、そして崩れる氷柱と一緒に々になっていく。

【くっ! ここまで周到な準備が……!! 引けー!! 海上部隊と合流するぞ!!】

ついには魔王軍指揮は一時撤退を余儀なくされる。

ケラリス、テンゲン、フィリポネア3カ國で開始された対魔王軍空軍との戦闘は、人間側の圧勝。

被害は魔法を使いすぎて倒れた者、數名を含む極々軽微なものだった。

その報告を世界の中央部に位置するテンゲンの作戦本部で聞いたユキムラはで下ろす。

「ふーーー……、準備はしっかりしたつもりだけど、実際に始まってみると張するね」

「まぁ、それが戦爭ってやつよぉ! それより、俺、ちょっと行ってきていいか?」

「ワン!」

「わかったよータロの旦那……大人しくしてますよぉ……」

ラオもすっかりタロには一目を置いている。

各國の防衛指揮はそれぞれ各地で指揮を執るが、攻撃部隊はここ本部に集合している。

いざとなったら白狼隊メンバーとパーティを組んで各地へ向かう手はずになっている。

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ただでさえ各地に強大な戦力が存在しているのに、最終兵がいつでも、一瞬で、最大60名とはいえその一人一人が萬の兵にも匹敵するような部隊が送り込まれてくる。

敵対する陣営からすれば、チートだ!! とびたくなるだろう。

「しばらくは、仕事はなさそうねぇ……」

「各國ともに撤退していきましたね……海中に落ちた魔石はGUが回収しています」

「大だけでいいからねー。敵のレベルもダンジョン程じゃないね魔石から見て……」

「ユキムラ殿、これはもしかして気負いすぎたのでは?」

「リンガーさん。油斷はいけないですよー、相手もお遊び半分で來ているでしょうし……

次からが本番です」

ソーカの意見の通り、海上に異変が現れるのは數時間後だった。

巨大な空母のような船が悠然と海上から接近してくる。

「どうやら、海洋生で造られた船、というか大地と言ってもいいでしょうね……何でもありだな……」

流石にそれほどの質量の船を用意するのはユキムラでも不可能だ。

の報告を聞いてユキムラも一つため息をつく。

「魔法結界も表面を凍らせたり損傷させるだけで、効果はなさそうですね」

更に続く報告はその予を的中させるものとなる。

さて、どうしたものかとユキムラが思案すると、別の人が聲をあげる。

「……上陸戦準備。防衛隊は規定の位置まで撤退。でいいんだろユキムラの旦那?」

タロのついでに白狼隊メンバーにもこんな調子になってるのであった。

ラオの指示にユキムラはうなずき、白狼隊メンバーもそれぞれの11人の隊員に指示を出し、いつでも出出來るように準備を開始する。

「そういえば、プラネテルとゲッタルヘルンの様子は?」

「問題ありません」

「この大軍全てがの可能もあるから、監視は怠らないでね」

「ケラリス、フィリポネア接岸されました。間もなくテンゲンにも……」

「狀況報告は細かく、しでも押されている所があればすぐに報告。

さて、ラオ。どうしようか?」

「俺が行きたいからってわけじゃないが……

上陸された以上、こっちから攻撃しちまった方が消耗は防げる。

ヴァリィ隊、ソーカ隊、タロ隊はそれぞれ出てもいいんじゃないか?

まぁ、それで決まりそうだが。

ユキムラの旦那とレンの旦那が控えていれば、後は逐次投でも萬が一の奇襲でも対応できる。

もし出るなら、全力で、一回で終わらせるつもりがオススメだねぇ俺としては」

ニヤリとラオが笑う。

俺を出して思いっきり暴れさせてくれよ! という笑みだ。

「よし、ラオの案を採用する。各人、敵の戦意を奪うほど思いっきりやってきてくれ!」

うおおおおお!!! ここに居るのはバトルマニアよりの人選だ。

ユキムラの決定に歓喜の聲が上がる。

3人は転移門を開き迅速に戦場の側まで移していく。

ユキムラとレンはモニターを注意深く監視を続ける。

自分たちの部隊には臨戦狀態のまま待機させる。

フィリポネア共和國、南岸。

すでに魔、魔獣、魔人が上陸を開始しており、しい島が土足で踏み荒らされていた。

【ガッガッガ! 人間ども、恐れおののいてあんなに遠くまで引いておる……】

【気をつけろよ、先程のような小狡い罠があるかもしれん】

【上陸してしまえば我軍の魔獣共が風をも切り裂く嵐となって人間を食い破ってくれようぞ!】

【そうだな、上陸してしまえば……ん? なんだアイツラは?】

揃いの青の鎧を著た防衛隊が防陣を敷いている前方に、突如として朱の部隊が現れる。

その數12。

魔王軍からすれば、吹けば飛ぶような數だ。

【命乞いでもしに來たのか……? どちらでもいい、あ奴らから我が嵐の犠牲になってもらうか】

魔王軍の魔人、巨大な軀は筋の鎧で覆われており、巨大な戦斧を軽々と扱う。

配下には大量の魔獣達が背後で唸り聲を上げている。

【援護は頼むぜ、突撃ー!!!】

數萬の魔獣がその拘束を解かれたように、四方八方に散り散りになりながら12名をめがけて疾走する。

人間の防部隊から雨や砲弾が一斉に放たれる。

同時に魔法陣も発する。

【同じ手を何度も食うと思うな、人間風が!!

ガーズを援護するぞ! 魔法部隊!!】

同じ魔人でも褐のエルフのような見た目の男が手を上げると、空中に防魔法陣が次々に形され、降り注ぐ攻撃をけ止める。

地面に配置された魔法陣もバリバリと音を立てながら崩壊していく。

もちろん一部の攻撃は突撃する部隊に降り注ぐが、かなりの攻撃を防いでいる。

その様子をモニターで見ているレンもほう、と心する。

「向こうにも結構いい使い手がいますね。優秀な指揮も……」

「そうだね、気を引き締めるよう改めて通達しよう」

しい草原を、漆黒の塊がとんでもない早さで、その牙を突き立てる相手を求めて疾走る。

目の前にらかそうなが呑気に散歩でもしているように近づいてくる。

いつもの狩りのように正面から超速でステップを踏み、何が起こったかわからない相手の元を食い破る。最高の覚が口に広がりしびれるような快に包まれる。いつもの狩りだ。

誰もその速度に反応できるものはいない。

……そんな思考をしていた頭は、すでにその人によってと分離されていた。

頭を失ったは、その速度のまま、ただ真っ直ぐと走り続け、そして頭部がなくなった事に気がついたときには魔石へと変化する。

【ば、馬鹿な!!】

目の前で何の抵抗もできずに、次から次へと倒されていく自慢の魔獣部隊の姿を、その魔人は認めることが出來なかった。

【そんなはずがあるかぁ!!】

のまたがる巨大な魔豬を駆けて、その朱の戦士たちへ突撃を仕掛ける。

彼は後ろで構えるタイプの指揮ではない、常に前線で魔獣達と戦うタイプの指揮だ。

【ウガガガガガァァァァァァァ!!】

振り回す巨大な戦斧が空気を切り裂き戦士たちを襲うが、まるでそよ風の中を散歩するかのように戦士たちの歩みは止まらない。

それが彼には許せない。

「さて、指揮の実力はどれくらいかしらねぇ……」

戦士たちの中でも一際目立つ大男が目の前に魔人の正面に立ちはだかる。

その立ち姿から、人間たちの最後の切り札が目の前に居ると判斷する。

【喰らえええぇェェェ!!】

山をも打ち砕く戦斧の一撃をその大男に振るう。

この男を倒せば、現狀は一気に魔王軍にひっくり返るだろう。

その魔人は、そう考えていた。

スローモーションの様に時間が凝されていく、自らの振り下ろした戦斧が、男の持つ棒とぶつかり合い、そのまま棒切れごと男のをぶった斬る。

そう信じて疑うこともなかった。

そのスローモーションが、自らの死地を前にした走馬燈のようなものとは、思いつくはずもなかった。

れ合う戦斧と

ヴァリィの振るうは、驚異的な速度で轟音を上げ振り下ろされた戦斧が、まるで何もそこに存在していないかのように々に打ち砕き、その余波だけで魔人の上半を大きく穿ち抜く。

自分の上半に大があき、命を落とすその瞬間まで魔人は自の敗北を理解することはできなかった。

魔王軍、指揮クラスの最初の犠牲者であった。

そして、そこから魔王軍の悲劇は始まる。

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