《老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件》331話 の道

『いや、そのね。忘れてたわけじゃないのよ……』

ペンダントからするりと現れた神は罰が悪そうに髪のをいじっている。

『……すぐ渡せるわよ、みんなの力はここにあるんだから』

タロの持つペンダントにれると4つのを抜き出して頭上でクルクルと回していく。

青い、緑の、黃、そして白い

回転しながら渦を巻きがだんだんと玉を形どっていき、さらに質的な輝きを見せて行く。

『それと、これ……』

アルテスは懐から赤い寶珠を取り出す。

プラネテルで火の神フェイリスから貰ったものだ。

『それらをこうして……』

の玉が5種類混ざり合う。

神々しいを放ちながら、見事な虹玉の寶珠となる。

『これがあれば死の海を渡る橋をかけられるわ。テンゲンの南の祠に捧げてね』

「アルテス様、忘れてたでしょ……」

『……世界を分割したり、忙しかったので。忘れてましたごめんなさい』

「いえ、いつもお世話になっていますし。

自分もゲッタルヘルンで手にらないから無いものとして考えてしまっていました……

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あの頃はバタバタしていましたからねぇ……」

『そうね、懐かしいわね……』

「なんにせよ、これでこちらからけます。

第一陣を退けた今、こちらから敵本陣に乗り込みたいですね」

『私は忘れを屆けただけ。あとのきには口出ししないわ。

何にせよ、その時は近いわ。頑張ってね』

そして時はき出す。

「……と、言うわけで。今後の方針が大きく変わる。

防衛部隊はそのまま、俺達は、敵の本土を奇襲する!」

「メンバーは僕達5人ですか?」

「うん。かなり危険な任務になるから、周りに気を使っていられないからね」

「分かりました。すぐに通達と作戦を立てます」

それから慌ただしくき出す。

一番の問題は転移関係だ。

白狼隊を抜きに戦うのだから、初期から攻撃メンバーを均等に分けて配置して、その場の戦力で戦う必要がある。

ラオと一緒に濃な打ち合わせを重ねて、様々な狀態に対応できるように事前に策を練っておく。

微震の原因も気になるので、すぐに白狼隊は魔王軍本土への侵攻作戦を実行に移す。

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テンゲン南に位置する祠の中にはおあつらえ向きな臺座が置かれていた。

「それじゃぁ、置くよ」

虹玉を臺座に掲げると虹玉がまばゆいを放ち始める。

の螺旋が直上に放出されると、天井がレンズのようにそのを海面にまっすぐと照する。

海面に當たったの軌跡が、そのまま海上に橋を作り上げていく。

どういう仕組みかは分からないが、荒れ狂う死の海も、そのがあたり橋ができた周囲は鏡のように穏やかな水面に変化する。

「まさに、神の奇跡ですね師匠!」

「ああ、それじゃぁ時間も惜しいから一気にいこう!」

流石に車は危険なのでフライングボードに乗って一気にの橋を渡っていく。

「橋は消えたりしないんでしょうけど、死の海の上を走るのはすこし怖いわね」

し離れた海は凄い荒れようですね。落ちるのだけは免被りたいですー」

「ソーカねーちゃんもう泳げるんだよね?」

「あんな荒海は無理ですー!」

「それにしても、振がどんどん大きくなるね、やっぱり魔王の島が原因っぽいね」

島に近づいていくと振は空気を伝ってじられるようになっていく。

その振が何かがぶつかり合っているようなだと判明する頃には魔王の島は目と鼻の先に見えてきていた。

巖がむき出しの禍々しい雰囲気は、確かに魔王が住む場所というイメージ通り。

切り立った外崖に荒れ狂う海面がぶつかり高い水しぶきを上げている。

その外崖のちょうど切れ目場になっている部分に橋は続いていく。

「十分注意しよう。敵の本拠地だ!」

全員完全臨戦大勢で魔王島に上陸を果たす。

崖の隙間をそのまま島の上部へと険しい上り道を上がっていく。

「……これが、魔王の島……?」

そして、崖の上、高臺狀になっている魔王島の表面部分に出て、目の前に広がる景は、下部分の外崖地帯からは想像も出來ないものだった……

しい草原によく整備された歩道、きちんと區畫整備された農場地帯と思われるエリア、し離れた場所には居住地域と思われる建が立ち並ぶ場所も見える。

魔獣、魔が闊歩する前人未到の険しい大地を想像していた一同は驚いてしまう。

「こ、これは意外な展開……」

VOと異なる魔王島の狀況にユキムラも驚きを隠せない。

そして、周囲を見渡した一同は、例の振の原因を知ることになる。

「師匠! 誰かが戦っています!」

「……三獣師と……魔人ね!」

三獣師とやりあっているのは4人の魔人、サラダトナス、淵、ギャッパー、つまり殘る一人はザッパルなんだろう、想像よりもザッパルはスラッとした長、長髪のイケメンだった。

もっと筋隆々の大男を想像していた。

「なんでアイツラが戦っているんだ!?」

「どうしますか師匠!?」

「とりあえず、何が起きてもいいように準備をして近づくしか無い! 行こう!」

すぐに気配遮斷系魔道やらスキルで姿を隠して慎重に近づいていく。

會話も全て通信端末を通しての會話だ。

近づいていくと、戦闘というよりは魔人達の激しい攻撃を三獣師が必死になって防いでいる一方的な展開であることがわかる。

さらに、周囲を含めて一切の魔、魔獣、魔人の気配がない。

いくらなんでも異常な狀態過ぎた。

【どけぇ!! 魔王様の元へ行かねばならんのだ!!】

【だから、行かせないって。魔王が終わったらお前らも駒にするんだから大人しくしてろよ、いくら治るだろうけどあんまりボロボロになられても困るぜ】

【気が乗らん仕事だ……】

【淵の旦那、これも上からの指示ですから】

【わかっておる……】

【淵の気持ちわかるぜー、どうせならユキムラとかと思いっきりやりてーよなー】

【ザッパルさんもあんまりそういうこと言ってると後で絞られるよー】

【貴様ら……! 魔王様!! 魔王様ー!!】

ライオネルの一撃もポスタルの一突きもスカーレンの魔法も全て難なく魔人達に防がれ強烈な反撃をけている。

それでも魔人達は手加減をしているのかトドメを刺すことはない。

それが三獣師にもわかっているのか、耐え難い屈辱を耐えているように挑み続けている。

「師匠……どうしますか……」

「確認したけど、すでに魔王島への転移門は開いている。

これはもう姿を現してどうなるかは天任せだね」

「どうせユキムラちゃんはあの三人の力になるんでしょ」

「へへへ、ごめん」

「いいわよっと!」

ヴァリィは姿を表わすと同時にスカーレンに毆りかかろうとしていたサラダトナスへとを投擲する。

突然の橫槍だが見事に打ち払うサラダトナス。

【何者だ!?】

【フハハ! まぁ、お前らだよなー!】

【き、貴様らは……】

それぞれの反応をよそにユキムラ達白狼隊は姿を現す。

【久しぶりじゃねーか。っつってもこのじゃはじめましてか】

「普通にいるけど、サラダトナスも復活したんだね」

【ふはははは魔神様にかかれば造作も無いことだ!】

【サラダトナスー、その脇の甘さで怒られただろ、自重しろ】

【ギャッパー様、すみません……】

【我らの隙を突き魔王様の島に來るとは卑怯な……!】

【ポスタル、今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ。

昨日の敵は今日の敵とは限らないわ、なくとも我らの敵とも敵みたいだしね……

正直、もうクタクタ……一息つかせてもらっただけでも私は謝するわ】

「できれば狀況を三獣師の皆さんに伺いたいなぁ」

【……小奴らが、あの穢れを纏った仲間たち全てを『喰って』、事もあろうに魔王様を……】

【一刻も早く魔王城に戻り魔王様をお救いせねば……】

「よくわからなかったけど、騙されて俺たちに戦爭しかけて、さらに魔王に何かされたのかな」

【そういうじでいいわ、できれば手伝ってしいけど蟲の良い話かしらね?

魔王様が救えれば別に人間界に攻め込まなくてもここでのんびり暮らすわよ】

【おのれスカーレン、魔王様の意向も無視して勝手なことを!】

【あーら、今はそれ以外に魔王様救えるのかしら?】

【ぐぬぬぬぬ……】

「まぁ、俺達的には……そっちの魔人たちの方が危険な敵なので、今だけは休戦ってことで」

【あら、ありがたいわね。これでしは狀況も変わるわ】

【うーん、困ったけど、今君たちの相手をしている暇もない。

それにね、実験は終わったから。俺らの役目もおしまい。

メインデッシュは次の機會に味わわせてもらうよ】

ギャッパーの臺詞を合図に魔人達4人は靜かに、まるで蒸気が霧散するかのように消えてしまった。

【なっ!?】

【い、いや、好機!! 魔王様ー!!】

あまりにあっさりとした魔人達の撤退にあっけにとられていた三獣師だったがすぐに魔王がいるという魔王城へと飛んでいく。

「俺達も向かおう!」

ユキムラたちもホバーボードでついていく。

流石に空を飛ぶ3人に置いていかれるが、整備された道路は真っ直ぐと魔王城へと続いている。

魔法障壁を展開しての最大走行でぐんぐんと魔王城へと近づいていく。

のどかな風景が魔王城で一転する。

魔王城の上空には禍々しい真っ黒な球が、しい城によだれを垂らすように黒い手を垂らしている。あの部で碌な事が起きていないことは白狼隊全員がじ取っていた。

その予想は、魔王城の壁が破され、叩き出されるようにだらけで吹き飛んできた三獣師の姿を見て確信へと変わる。

【ま、魔王様を……救ってくれ……】

息も絶え絶えに訴えるライオネル。誇り高き三獣師の長が、一切のプライドも捨てて人間に頼み事をしてくる。

その重さをユキムラは強くじていた。

ズルリ

発を起こしたから、黒いスライムのようなが這い出してべチャリと外壁を伝わりながら降りてくる。

変わり果てた、魔と、そして魔王のれの果てだった。

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