「うっ、くさっ」

カースキングの91階層に來たはいいものの、腐臭がキツいな。ジョセフィーヌを連れてこなくてよかった。

それにしても、スケルトンとゾンビと、死霊系のモンスターしか見當たらないな。枯れ木の影や墓石の裏から複數の視線をじる。姿を見せているモンスターだけでも気持ち悪いくらいにいるのに、まだまだ隠れてるのか。戦力が計り知れない。

「カースキングはどちらにいらっしゃるのでしょうか？」

……駄目元で近くにいたゾンビに訊ねてみたが、返事はなかった。所詮ただのか。

行く宛もないので、なんとなくまっすぐ歩いてみる。ゾンビ達は警戒しているのか、一定の距離を置いてそれ以上近づいてこない。俺が生み出したモンスターじゃなくても襲って來ないようだ。

それにしても、どこまでも墓地が続いているだけだな。ゾンビとスケルトンと幽霊と枯れた木のモンスターしかくものがない。

「どこにカースキングがいるんだ？」

「カースキング様の屋敷はこちらでございます」

「ありがとうございます。って、あなたは」

突然話しかけられたので思わず返事をしてしまった。話しかけてきたのはメイド服を著たゾンビだ。

「カースキング様のメイドでございます。カースキング様の屋敷まで、案します」

あ、本當にメイドだった。脳が殘ったゾンビなのか？とりあえず案してくれるなら素直についていこう。

「ありがとうございます。なんと呼びすれば良いでしょうか？」

「冥土が私の名前です。では、こちらへ」

「あ、はい」

冥土は、それだけ言うとスタスタと歩き始めた。皮とかは腐ってるのに、姿勢は正しいな。ゾンビなのに気品すらじられる。かなり高位のゾンビだろう。

それにしてもカースキングの屋敷か。そんなものはモニターで見たときは見當たらなかったが、このメイドや冥土の言った屋敷、かなりのこだわりをじられるな。これは間違いなく人間並の知はあると考えていいな。