《日本円でダンジョン運営》side ライオス・アリア・ヴォルドー part 11
海の底、と言えども踏破はそう難しくは無いな。息が切れそうになれば、水底の所々から湧き上がる空気を吸えばいい。混沌迷宮、にしては良心的ではないか。これが混沌迷宮の標準なのかは解らぬが。気付けば55階層、特殊なモンスターがいるであろう階層だ。
スライムやテンタクル系のスライム、泡のウルフがこの海にはいるようだ。一般には脅威とされるモンスターだが、毆れば死ぬ。々特殊なモンスターに期待するとしよう。
と、考えているに向こうからやってきたようだ。あれは、魚人か?マーマンに似てはいるが、妙に違う。人を無理矢理魚に変化させたような、歪な外見だ。手には三叉槍を持ち、空を飛ぶように迫ってくる。
「コこカラ立ち去レ!」
言葉を理解するのか。知能が高いモンスターは強力なことが多い。エンシェントドラゴンやフェニックスなどがその例だ。我でも苦戦を強いられる。勝てないことはないが。
このモンスターは、知能は高いが弱いな。今も三叉槍を構え突進してきているが、目を見張る程に遅い。半で躱し、懐に拳を叩き込む。それだけで海の藻屑となった。
他もな……っ!?なんだこの気配はっ!邪悪、混沌、そんな言葉では生溫い。名狀しがたい、純然たる悪意。支配の化。
気配のする方を見ると、跡のようなものが海底に沈んでいるのが見えた。跡から、無數の魚人が溢れだすその背後で、何かが蠢いている。
っ、これを越えなければ、真なる獣神の座は奪えぬというのか。
ふっ、ふふふ、やってやろうではないか。ここで、全ての力を出し切るっ!
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