迫る魚人の群れを毆り散らしながら、海底跡へと進む。1、1、また1。際限なく溢れでる魚人は、総じて何かを守ろうといているように見える。

そんな終わりが無いかと思われた魚人の猛攻は、突然終わりを告げた。魚人の群れがサーッと退いていく。代わりに襲い來るのは、全てを平伏す重圧。殺気。一般人では狂気に陥ってしまいそうなその気配は、のそりと起き上がったその者から発せられているのだと思うと、自然と納得できた。

タコのような頭をもたげ、その手をうならせる。人型のは、その頭を乗せる置だと思えるほどずんぐりとしている。一瞬見えた背中には、その巨に似つかわしくない小さなコウモリの翼が生えている。爛々とその黃い眼を輝かせ、尾を水流になびかせ、その化は気だるげに立ち上がった。

大きい。巨大過ぎる。クラーケンやリヴァイアサンは比にならない。伝承にある守護者と同等の大きさだ。

……逃げ出せと、アレに挑んだら死ぬと、本能が警鐘を鳴らす。しかし、それではダメだ。アレを乗り越えなければ、我の獣神への道は無い。

化の睨み合う。魚人どもは遠巻きにこちらを見てくるのみだ。

ッ、先手必勝！

最初から全開で水を蹴る。我の通常ではありえない異常な高速移の影響で、我の通過した後の水溫が急上昇する。直後、発。その発をも推進力へと変え、巨大な化に突撃する。狙うは心臓部。一撃で仕留めるっ！

拳が化のに突き刺さり、我のが急停止する。直後、化のがぜた。発生した水流に流され、化から離れる。化のを見ると、大きく抉れている。

やったか。異様な気配を持つモンスターだった。しかし、これだけ打撃を與えれば生きることはまず不可能だろう。

そろそろ息が苦しくなってきた。空気を探さなければ。それに長居していてはあの魚人どもも襲ってくるだろう。

さて、行くとしよ……う？

なん、だこれは。手……なのか？我の腹を、貫いてい、る？一、どこから？……ああ。化の、眼が、輝いておる。を、抉っても、生き、ていたの、か。

はは。化め。再生、しておる。我、程度では、殺せぬという、ことか。

「ぐはぁっ」

ああ。視界、が、霞む。どう、やら、ここま、で、の、ようだ。すま、ぬ。おじ、さん。我が、友、よ。