《日本円でダンジョン運営》決戦 ワルドVSマル
マルは陣地を持たないので、いつも通りサンと喧嘩していた。どちらが強いかわかっても喧嘩は続きそうだな。
ワルドの陣地は、いつの間にか要塞になっていた。周りを巨大な壁が囲い、その側に防衛設備がある。さらに壁があり、そこに居住區という名の兵士詰所がある。そこからさらに壁を挾んで、ワルドの住む宮殿がある昨日訪れた原初の街だ。ワルドがこの要塞を徹夜して創ったらしい。
この要塞を外側から見ると、まるで巨大な円柱の豆腐のようだ。巨人は壁の側から出てくる。
そして12時、戦爭のような力比べが開始された。
「ボク一人に巨大兵をそんなに使うのか。壁に閉じ籠もってないで、出てきなよ。臆病な巨人さん」
マルが年の姿で挑発するように言った。
「なんやー?遠くて聞こえないんやー。まあ、気にせずに攻撃や!」
挑発は一切ワルドに通用しなかった。まあ、間に10キロメートルもあるなら當たり前だろう。ワルドの聲は余裕を持ってマルムに屆いたが。
どうやら今の気の抜けた聲が號令だったようで、壁の向こう側から巨人クオリティのバリスタや大砲が飛んでくる。
「ふん、粋がるのも今のうちさ」
マルムは月の姿に変化した。それと同時に、夜の領域から闇が侵食し、要塞を含む晝の空間までもが暗闇に包まれた。
「なんや!?いきなり暗くなったやないか!」
「ボクも一応神なんだよ?……『やりたまえ』」
マルムの口から重苦しい言葉が紡がれる。
「なっ、お前らっ、悪戯が過ぎっ!?ナルム!今すぐ止めるんやぁあ!」
ワルドが、目のを失った仲間の巨人の群れに襲われている。
「止めないよ。これがボクの戦い方やりかただからね。あとそうボクを呼ぶならマルムと呼べ」
そのままワルドは、仲間を殺すことなどできるはずもなく、降參した。
「勝者、マル!」
妹と兄、ぷらすあるふぁ
目の前には白と黒のしましま。空の方に頭をあげると赤い背景に“立ち止まっている”人が描かれた機械があります。 あたしは今お兄ちゃんと信號待ちです。 「ねぇ、あーにぃ」 ふと気になることがあってお兄ちゃんに尋ねます。お兄ちゃんは少し面倒臭そうに眠たそうな顔を此方に向け 「ん? どうした妹よ」 と、あたしに話しかけます。 「どうして車がきてないのに、赤信號だと止まらないといけないの?」 先ほどから車が通らないしましまを見ながらあたしは頭を捻ります。 「世間體の為だな」 お兄ちゃんは迷わずそう答えました。 「じゃああーにぃ、誰もみていなかったらわたっていいの?」 あたしはもう一度お兄ちゃんに問いかけます。お兄ちゃんは右手を顎の下にもって行って考えます。 「何故赤信號で止まらないといけないのか、ただ誰かのつくったルールに縛られているだけじゃないか、しっかり考えた上で渡っていいと思えばわたればいい」 ……お兄ちゃんは偶に難しい事を言います。そうしている間に信號が青に変わりました。歩き出そうとするお兄ちゃんを引き止めて尋ねます。 「青信號で止まったりはしないの?」 「しないな」 お兄ちゃんは直ぐに答えてくれました。 「どうして?」 「偉い人が青信號の時は渡っていいって言ってたからな」 「そっかー」 いつの間にか信號は赤に戻っていました。 こんな感じのショートストーリー集。 冬童話2013に出していたものをそのまま流用してます。 2016年3月14日 完結 自身Facebookにも投稿します。が、恐らく向こうは二年遅れとかになります。 ストリエさんでも投稿してみます。
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