《日本円でダンジョン運営》我ら蚊帳の外組
「はあ。相変わらず汚いやり方なのじゃ」
「多汚いのは認めるさ。これがボクの力だからね」
サンがあきれた様子で無傷のマルを出迎えた。
「あっしの創った要塞が……」
「親父!落ち込まないでほしいべ。元はと言えばおらたちが神を乗っ取られちまったのが悪いんべ」
「徹夜で創ったのに……。使ったら負けても良かったんや……」
「負けたのがそんなに悔しかったんならみんなで勵ますべ!さ、親父。おらたちの村に帰るべ」
地面に崩れ落ちたワルドに、名は知らぬよく見知った巨人が的が外れた勵ましをしている。
「そういえば、次はお前だろう?勝ち上がって貰わなければ、ちゃんと力を比べられない。大丈夫だろうな?」
「問題ないのじゃ!むしろ、負ける気がしないのじゃ!」
「ふん。まあ、負けてもお前がその程度だったということだから、別にいいけどね」
――シュゥゥ
イヴを気にせずにマルとサンが話を進めている。ちなみにイヴはイヴィルゴッドスライムのことだ。イゴスでも良かったが、流石にそれはダサい。
「イヴ、お菓子食べるか?」
――シュァア
この頃イヴが知を持ち始めたような気がする。なんてことを考えながらイヴとお菓子を食べ、喧嘩へと発展した口論を眺めていた。
【書籍化】白の平民魔法使い【第十部前編更新開始】
魔法使い。 それは魔法を駆使して戦い、守り、救う超越者。 だが、魔法使いの世界は才能が物を言う。長く続く魔法の歴史は才能ある一族だけを拾い上げ、今では魔法使いは貴族のみとなった。 ここマナリル國でもそれが常識。 マナリル國有數の教育機関であるベラルタ魔法學院には今年も優秀な魔法使いの卵が集まっている。 そう、一人を除いては。 一際目を引く素樸な少年。 煌びやかな世界とは無縁の田舎者。 そこにいたのは學院唯一の平民だった。 "魔法使いになりたい" 魔法になりきれない魔法の使い手による夢を葉える物語が今始まる。 ※この度KADOKAWA様から書籍化する事となりました!11月13日発売です! ♢ 第五部完結しました! 第一部『色の無い魔法使い』完結。 第二部『二人の平民』完結。 第三部『初雪のフォークロア』完結。 第四部『天泣の雷光』完結。 第五部『忘卻のオプタティオ』完結 第六部『灰姫はここにいる』完結。 第七部『氷解のミュトロギア』完結。 第八部『翡翠色のエフティヒア』完結。 第九部『呪われた魔法使いとお姫様』完結。 第十部前編『星生のトロイメライ』更新準備中……。 第十部後編『???』 王道ファンタジー、だと思います。
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