ナーダルのいる冒険者パーティーが19階層にたどり著いた。下の階層に行くほど広くなっているので、探索は遅くなっているようだ。

それはさておき、現在は正午12時だ。本來なら今から陣地設営が始まるはずなのだが、イヴとサンはどちらも陣地を造らないそうなので、すぐに戦いを始めることになった。

やはりと言うべきか、晝側にはサン。夜側はイヴである。

「速攻で決著をつけてやるのじゃ！」

――シュゥァア

そして、戦いの火蓋が落とされた。

「いっくのじゃあ！」

先に行したのはサンだ。

地面に広がっているイヴに右手の平を翳す。すると、サンの右腕を中心に幾重にも重なった金の魔方陣が表れた。一つ一つが円環になっているそれは、管になって一瞬前方にびると眩く金の極を吐き出した。

金の極はイヴのど真ん中に當たり、大きな轟音と共にぜた。イヴのスライム狀のに大きなが空く。

「どうじゃ！一撃必殺の金環極なのじゃ！」

サンが自慢気にを張る。

――シュゥゥゥウウウッッ

直後、イヴに空いたからどす黒い瘴気が溢れ出す。夜の闇をも呑み込むそれは、あっという間にサンを包み込む。

「うぇぇ、汚れた魔力なのじゃ。どこかの月野郎みたいなのじゃ」

後で喧嘩に発展しそうなことを呟きながら、瘴気を聖なる力で払って表れた。サンの周りには、瘴気が近付けないドーム狀の領域ができている。

――ジィィャァァアア

奇っ怪な音を鳴らしながら、いつの間にかを修復したイヴがサンに迫る。それはさながら、遙か高みから流れ落ちる滝が迫ってくるかのようである。

「汚い魔力は嫌いなのじゃあ」

骨に嫌そうな顔をしながら、迫り來るイヴに両手を翳す。

「さっさと負けるのじゃっ！」

サンがぶと、サンを中心に金の風が吹き荒れる。臺風のように広がるそれは、サンの長い金髪を靡かせ、瘴気を滅し、イヴの表を焼き焦がす。

「月野郎なんてっ、わらわには勝てないのじゃあっ！」

さらに喧嘩直行になるようなことをぶと、金の風がさらに強まり、ついにはイヴの巨大なを吹き飛ばした。

地面に墜落したイヴは、く気力を無くしたようである。用にを変形させ旗を作り、それを振った。黒旗であるが。

「勝者、サン！」