《日本円でダンジョン運営》3位決定戦 サントソルVSマルムルーナ
アドゥルに意見を求められそうになかったので、正しい強さ順ではなく順位通りに階層を並べかえることに決まった。
そして、3位決定戦はサン対マルだ。因縁の勝負である。これでいつもの口喧嘩が収まってくれるといいのだが……。無理だろう。悪化する気しかしない。
「貴様よりわらわが強いことを証明してやるのじゃ!」
「はっ、ボクがキミより強いのは確実なんだよ。と言ってもキミには解らないだろうけどね」
「全く解らないのじゃ!わらわの方が強いのじゃ!力の差を教えてやるのじゃ!」
「やれやれ、頭の悪い馬鹿だ。ボクが躾をしなくちゃいけないね」
わざわざ戦い始める前に言い合いをする2人。むしろ気が合ってるのではなかろうか。
「聖天雨セイクリッドレイン!なのじゃ!」
「技名を付けるとか、ダサいよ?」
サンが両手を掲げ技名をぶと、空から無數のの矢が降ってくる。その姿は、まるで荒野に降り注ぐ流星群のよう。
マルはそれに対し、右手で虛空を切り払う。マルの足下に楕円形の闇が開き、手のようにうねる黒い腕がマルを守るように包み込む。それはまるで漆黒の繭。
聖天雨セイクリッドレインが地に墜ちると、それぞれが発しクレーターを穿つ。黒い繭にもそれは直撃し、抉れるように繭が欠けた。
「ふふーん、わらわの力はどうじゃ!」
「狙うのはボクだけ、たった一人だよ?無駄に広範囲に攻撃するとか、最早取り返しの付かない馬鹿だね。知ってたけど」
「むー、不満なのじゃ。これでもくらうのじゃ!」
イヴとの戦いでも見せた極のレーザーを放つ。しかしマルが展開した白銀の円錐型バリアに散らされる。
「じゃあ、そろそろボクからいかせてもらうよ」
「全力で來るのじゃ!」
「勿論さ!」
一々言い爭いながら攻撃を撃ち合っている。その橫顔は例え悪態を付いていたとしても、無邪気な子供のようでとても楽しそうだ。
実力も互角。一向に戦況が傾く気配が無い。いつもは喧嘩をしてばかりだから、こんな風に遊んでいるのを見るのも悪くはないな。そこら中にクレーターが次々と出來上がっているが。
【書籍化】隻眼・隻腕・隻腳の魔術師~森の小屋に籠っていたら早2000年。気づけば魔神と呼ばれていた。僕はただ魔術の探求をしたいだけなのに~
---------- 書籍化決定!第1巻【10月8日(土)】発売! TOブックス公式HP他にて予約受付中です。 詳しくは作者マイページから『活動報告』をご確認下さい。 ---------- 【あらすじ】 剣術や弓術が重要視されるシルベ村に住む主人公エインズは、ただ一人魔法の可能性に心を惹かれていた。しかしシルベ村には魔法に関する豊富な知識や文化がなく、「こんな魔法があったらいいのに」と想像する毎日だった。 そんな中、シルベ村を襲撃される。その時に初めて見た敵の『魔法』は、自らの上に崩れ落ちる瓦礫の中でエインズを魅了し、心を奪った。焼野原にされたシルベ村から、隣のタス村の住民にただ一人の生き殘りとして救い出された。瓦礫から引き上げられたエインズは右腕に左腳を失い、加えて右目も失明してしまっていた。しかし身體欠陥を持ったエインズの興味関心は魔法だけだった。 タス村で2年過ごした時、村である事件が起き魔獣が跋扈する森に入ることとなった。そんな森の中でエインズの知らない魔術的要素を多く含んだ小屋を見つける。事件を無事解決し、小屋で魔術の探求を初めて2000年。魔術の探求に行き詰まり、外の世界に觸れるため森を出ると、魔神として崇められる存在になっていた。そんなことに気づかずエインズは自分の好きなままに外の世界で魔術の探求に勤しむのであった。 2021.12.22現在 月間総合ランキング2位 2021.12.24現在 月間総合ランキング1位
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