《俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~》第十八回 彼の心境の変化(場面:リーゼルト)

「嫌ぁぁあぁ!いやですわ!絶対に嫌ですわ!」

「まぁ、ただの捜索ですから。危険な狀態になったら「キラ!」とんでください。私の側近です。彼に魔力を渡せばその力の二倍の力を渡されます。取り引き的なじです。あと、渡す魔力には「仲間への」が込められていなければ認定されないですよ♪」

「いやいやいや。何考えてんのリオン!?」

俺たちはチーム分けをした。そう、それはし大変そうなチームだった。

チーム一 リオン(サテラ)、レスナ

チームニ 俺、ネルタリー

明らかにあっちだけクソチートなのにこっちは仲悪いし力も変凡そうだ。

それに俺は完全にネルタリーに頼ってしまうし。

そして一方のネルタリーは涙目になって必死に「嫌だ」とんでいる。

「こんな奴となんて絶対いやですわ!わたくしの分に合いませんわ!!!」

「……るせぇな。し人の気持ちも考えろよ」

「うるさいですわ!だまらっしゃいですわ!!」

ネルタリーは俺に2メートルほどの距離を取っている。どうやら本當に俺が嫌いなのだろう。

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この世界に來てからの一番のショックだ。

そしてこれが「五歳」のデメリット。言うことが尊重されない。ネルタリーもまだ六歳のくせに。ひとつしか違わないのになぜか妙に話が通る気がする。勘だが。

サテラとレスナは悪巧みの込んだ笑みを浮かべて、

「じゃあ、私達はあの一通りのない一本道に行きますので、貴方たちは手あたり次第暗いところに行ってください。」

「あ、あぁ。分かった。けど、このチームはさすがに能力的にも……」

「キラは強い。オレが認めた。まぁ頑張るんだ!」

―――――――――――――――――――――――――――☆

「く、暗いですわぁぁぁぁ!?」

「しゃべるんじゃねぇ聞こえるだろう」

そう言いながら俺は慌ててネルタリーの口をふさぐ。

このような狀態になってしまった原因は約五分前の事。

サテラがニコニコしながら俺たちを押して、なにやらうす気味が悪い、見渡しただけでは先が見えないほどの長い一本道に放り込んだ。「頑張って~」と手を振りながら。俺にしては地獄なんだが。

そしてネルタリーもそのうす気味の悪さに鼻を押さえこまっている。俺は弱い。しかし此処は男の見せ場。俺はネルタリーを守るようにして彼の前に立っている。

「いやぁあぁ汚れますわぁぁぁっ……」

「喋るな。じっとしていろ……何かいる。人間の気配だ、下がれ。くなよ、絶対にだ」

まだじたばた騒いでいるネルタリーをそっと後ろに押し、俺はそのままし進んだ。

俺がまだ現役ヤンキーだった時は、結構有名だったため、いつ襲われてもおかしくはなかった。その時に鍛えた気配をじる能力が、異世界で活躍するとは思ってもみなかった。ていうかまず異世界に行くことさえ俺は想定していなかったんだがな。

そして後ろのネルタリー。彼は視線をリーゼルトに向ける。小さな背中が、今大きく見えるのはなぜだろう。オーラから見るに、彼の魔力は無いに等しい。しかし、どうして自分がそう頼りなく見えるのか。ネルタリーは自分がけなくじた。

――――――――――――――――な、なんかかっこよく見えますわ。このわたくしが庶民にこんなを向けるなんて……誰か噓だと言ってくださいませ!?

魔力というものは、大普通ならば3~5歳で覚醒する。特に才能を持たない限り、先に覚醒することは基本ありえない。

才能を持つか、賢者の加護を得るか……。賢者ならば近くにいるのに、なぜもらわないのか。それを疑問に思いながらも、ネルタリーはリーゼルトの話すことに集中する。

「……倉庫?」

俺が進んだ先には、決して小さいとは言えない倉庫があった。

それは緑の、小さなボロイ取っ手が付いた、恐らくは古いものだろう。しかし不良などがこういう場を狙って人を拉致する癖があるということは、痛いほど分かっている。

俺は覚悟を決めて、一度深呼吸をした。

「行くぞ」

「はぁ!?そんな危険そうなところへ行くなんてお前はバカなんですの!?」

「あぁ。……お前は父を助けたいのか?」

「…はぁ?」

俺の真剣な問いに、ネルタリーは抜けた聲で答える。

「もう一度言う。助けたいのか?」

「えぇ、あたりまえですわ!!」

「じゃあ、行くぞ。」

俺は振り向かず、彼に向けて冷たい聲を放った。

ネルタリーはびくびくしながらもしっかりと、定著した聲で返事をした。それで俺は満足だ。

そっとを緩め、俺は倉庫のドアに手をかける。

ギィ。と重いドアの音が鈍く響いた。ドアの先に、一人の男。彼を見て、ネルタリーは興、喜び、驚きの絡んだ表を見せている。

「父様!!!」

ついにを制することができなくなり、ネルタリーは駆け出した。そして俺も付いて行く。如何やら彼がネルタリーの父で間違いはない様だ、と俺は思う。

しかし此処で、の再會はやむを得ず強制的に終了させられる。

「よぉ。よぉやくお助けが來たってかぁ?」

倉庫の奧から格好良く?登場してきた筋マッチョ男。

俺はそいつをにらみつけ、ネルタリーは「汚いものは目に移す価値ナシ」という気持ちを黒いオーラでじさせながらそっぽを向いている。

「ちっ」

俺は小さく舌打ちしたが、マッチョ男はそれを見逃さなかった。

「おぅおぅ、なめてるってかぁ?なめんじゃねぇよ?これでも現役冒険者なんだぜ?」

「興味ねぇよ」

自慢げに言う男に俺は冷たく返す。

男は自信に満ち溢れた顔をし、手を上げた。黃が一筋。その後男の手には斧が握られていた。

異世界でこのようなものを見たのが初めてだった俺は心の中で驚いたが、それを表に出すつもりはなかった。

そしてこの驚きは男の力を認めているわけではない。斷じて。

「俺の名前はガラスタさ。よく覚えとけよぉ?後で忘れたら、承知しねぇぜ!!!」

そうんで、ガラスタは斧を俺に向かって振り下ろした。しかし、それはとある男によって止められる。

「早すぎるよ~、いやぁ、オマエバカなの?」

いきなり奧から現れたオレンジの髪の辛口男。彼は金の剣を持っていた。如何やら戦う気だ。

『金剣の雨』

男が魔法を発するとともに、無數の剣が一斉に俺たちに向かってとんでもない速さで向かってきた。

ネルタリーが構える。

『強化結界ですわ!!!』

出てきたのは紫の結界。「ですわ」が詠唱にっているということはれないでおこう。

無數の剣にたたきつけられた結界にはひびがっている。

パリン。

結界が割れる。しかし、それと共に剣の雨も収まった。

「ふうん、やるじゃん。まだまだだけどね。ガラスタいけ。このクソガキどもを蹴散らしてよ。負けたら承知しないよ。……ぼくの名前はセフィアラ。覚えなくてもいいから、ていうか覚えられたくもないし」

「ほいほい、りょーかい。辛口はもう終わりだぜ。」

そう言って、ガラスタはもう一度勢いをつけ、助走してから勢いよく俺に向かって斧を振り下ろした。

……そう、振り下ろしたはずだ。

しかし、斧は軌道を変え、ネルタリーに向けて飛んで行った。

「きゃああぁぁあ」

「ネルタリー!!!!」

両手で顔を防ぐネルタリー。ぶ彼の父。

―――――――――――――――――守れ。守るんだ、俺。無力じゃだめだ。駄目なんだ!!!

そう、自分に言い聞かせた。

ザシ。

が舞った。

ネルタリーは目を瞑った。しかし幾度待っても來ない衝撃に、彼は薄っすら目を開けた。

リーゼルトが立っている。両手を広げて、いつも通り。しかし、彼の肩は生々しいが今もあふれ出している。そして、自らの頬にもが飛んでいた。

リーゼルトは振り返る。いつも通りの、笑顔だった。

「な、なにをしているんですの!?わ、わたくしなんて、守らなくっても良かったんですのに!!」

ネルタリーにはわからない。彼は知らぬうちにリーゼルトに向けてのが綻んでいた。

ネルタリーは目を見開き、口を押えた。紫の髪が悲しくゆれる。

「父を、助けるんだろ……?いけ……行くんだ…ネル……!!!」

そう言って、リーゼルトは地面に膝を付けた。ガラスタは笑っている。セフィアラも嘲笑うように口角を上げ、自慢げにしている。

ネルタリーは悔しかった。彼の力になれなかったことに。

は気づかない。一歩長したことに。

可憐な頬に一筋の涙。そして一度の瞬き。そしてネルタリーの意識はまた再起する。

「リーゼルト!お願い。死なないで……死なないで!どうか!!!」

その聲と共に、リーゼルトは地面に倒れこんだ。肩からはがまだ溢れ、彼がさっきいたところは真っ赤に染まっていて、鉄の匂いがネルタリーの鼻を刺激する。

しかし彼は下がらない。涙を拭き、立って、彼んだ。

「キラ!!!!おねがい!!」——————————————————————————————。

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