《俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~》第二十一回 合流
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「えっと……まずは自己紹介だな」
狹い路地からやっと出てきたリーゼルト一行。ネルタリーの父はあの埃が舞う倉庫から出たおかげでだんだんと調がよくなり、今では自分で元気よく歩いている。
ネルタリーの父はこほん。と咳ばらいをし、自己紹介を始める。
「わたしは王家子孫レジアス家當主ビックレ・レジアスだ。」
「わたくしは王家子孫レジアス家令嬢ネルタリー・レジアスですわ!」
「……俺はリーゼルト・ルース。……平民です」
王家子孫を前にした平民の図。
ふつうならば罪を問われるところだが、今はそれをかまっている暇はない。
レジアス家はよほど有名なのか、さっきから町の人がこちらをちらちら見ている。
俺は二人の王家子孫を目の前にしてなんだか窮屈をじた。
いくら最強のヤンキーでもこれだけは弱點なのだろう。敬語を使ったことがない俺は半端な敬語を使う。それでも怒らない彼らは心が広いのだろう。
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「じゃあリーゼルト!わたくしのことを「ネル」と呼びなさいですわ!」
「……はぁ?」
「ネルタリー。お前もこころをひらけるときが來たのか……」
呆れる俺。心するビックレ。顔を赤くするネルタリー。
前はあんなに嫌がっていた呼び名。
この事件を通して仲良くなれたことの証なのかもしれない。
そう思って、俺はネルタリーとは違う意味の安心とうれしさを抱いた。
「リーゼルトく―――――――――ん!!!」
そう遠くないところから響く聞きなれた聲。
「リオン!!!」
サテラとレスナと……あと一人、ネルタリーによく似た。オーラはサテラほど強くはないが、それでもこの街では強い方だと実できる。それに存在も、だ。膨大な存在に俺の額から冷汗が流れる。
ひょっとしたらビックレよりもずっと大きな存在なのだろうか。
「ビックレ」という人を出したとき、俺は何かに気付く。
――――――――――――――まさか、な。
頭の奧にひとつの予想ができて消える。
しかし、その予想は當たっているということを前提にしよう。
「……ケリアン!?」
「か、母様!?」
「……ま、マジかよ…」
俺の頭が反応するより早く、ビックレとネルタリーが反応する。
そして俺の予想は當たっていたのだった。
ケリアンは予想以上に疲れているようで、サテラが支えていた。
レスナが走ってきて、事を話しに來る。
「彼も捕まっていたんだ。奴らに。これはオレの予想なんだが、レジアス家全員を狙った時間差の犯行だろう。偶然が重なりあっていなければ助かりはしなかっただろうな……」
「そうですわ……そういえば母様がわたくしより先に父様を探しに出かけていましたわ……」
「ネルちゃんが貴方の失蹤に気付いていなければ、恐らく今、ネルちゃんも被害にあっているでしょうね」
レスナが事を説明するとともに、ネルタリーは記憶の一片を思い出し、納得したようにうなずいた。そして遅れてやってきたサテラの話を聞いて震えあがった。
「そ、その件は本當に謝していますわ。」
「そういえば、あいつらを倒したのもネルちゃんだったっすよ」
「そうか。そっちはチーム分け的に順調とは言えないだろうが、それは偉いと思うぞ」
「……オイレスナ。それちがう意味か?」
今言うのもなんだが、貴族にため口で話しているレスナが凄いと思う。國家機機関ってのは信じられなく凄いのだと実した。
ちなみに、國家機機関の本部も王都にあり、片隅に大きく建っている。王都には本部と、あと三つの機関が散らばっている。帝國の王城はど真ん中だ。
そしてこの帝國で合計すると、機関は目立たないところを集め、十六個存在する。これはいつかサテラから聞いた話だ。現役賢者はだてなものではない。
「誠にありがとうございます……奴らも助けが來てからまとめて…という思想を持っているようでありましたから、特に被害はけませんでしたが……」
ビックレは調を気にかけながらも淺く一禮した。レスナは冷靜に彼を支える。
サテラは頷き、薄く笑う。
沈黙が流れる。
それを打ち破ったのは、ネルタリーだった。
「……皆さま、この後予定はありますの?」
「ん~宿も探さなければいけないし、やる事ならたくさんあるな」
「リーゼルト君。此処のあたりに宿はないですよ?」
「ま、マジかぁ……」
俺的に野宿は無理!!!都會育ちだし。
俺の記憶の一片がまた復活する。東京の渋谷に住んでいたよく居そうな不良。それが、俺。
その時は知名度も悪い意味で上がり続けていた。
ネルタリーはいつもよりし小さな聲でつぶやく。
サテラはファンタジーパネルでこのあたりの宿を検索しているようだが、一番近くでも何十分も歩く必要があるらしい。そんな力は殘されていない。
そこでケリアンが聲を発する。
「じゃあ、みんなわたくしたちの家に泊まっていったらどうでしょう?」
「いや、悪いっすよ」
「いいえ。命の恩人が困っているんだ、必要なことですよ。」
軽く手を橫に振る俺だが、そこにビックレが詰め寄る。
「今日野宿したくないのでしたら、何かより所があるというんですの?」
「ないな」
「ないですねぇ」
「……無い」
ネルタリーが最後の一撃を與える。
ついに俺たちは折れて、彼らの家に付いて行くことにした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――☆
「はい、此処ですわ」
「ご、豪邸かっ!」
「王家子孫なんですから。舐めないであげてください」
「……ひょっとしたらうちの機関の十分の一に達しているのか……?」
歩いて、俺たちはレジアス家の別荘にたどり著いた。先ほどの場所からここまでに要する時間はおよそ十分。俺の足は限界だったが、別荘の存在のある裝飾ときれいな家の作りを目の當たりにして、疲れなど吹っ飛んでしまった。
そして俺は敬語を使うのを忘れてしまう。
レスナが小聲でなんだか凄いことを言っている。
もしも此処がその「機関」の十分の一にしか達していないのだとしたら、その機関はとんでもなくでかいのだろう。
この別荘は大俺たちの住むような普通の家が十五個合しているような大きさだ。おまけに見たじ六回まであるそうだ。
俺は本気で王家子孫の勢力に驚いた。一時的な別荘なのにとてもお金をかけている。ざっとみて日本円で億は超えているのではないかと思われる。絶対に怒らせてはいけない、という気持ちを俺が初めて験した瞬間でもあった。
「じゃあ、まずりましょう。あなたは一階。わたくしたちは二階へ行きますね」
ケリアンはそう言うとドアを開け、皆を招きれると、サテラとレスナだけを連れて二階へ上がった。
気のせいかその橫顔はニヤリと笑っていた。
「ネルタリーは三階で待っていなさい。リーゼルト君、ちょっと話そうか。」
「わっ、分かりました」
「了解ですわ」
そんな理不盡なビックレの言葉に、ネルタリーはなにもじず、了承する。そして黙々と二階の階段に足をかけていった。
そして彼の背中が見えなくなると、ビックレは、
「さ、行こうか」
「は、はい!」
さっきまでは注意していなかったが、廊下が長い。
赤い絨毯が敷かれている廊下。この種類の布は貴族から上の者のみに使うのが許される類だ。
見渡しても先が見えない。
俺を気遣ってのことか、ビックレは俺を二番目の部屋に案してくれた。
張しながらも俺は部屋にる。
如何やら個人面談が開始されるらしい。
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