《俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~》第二十二回 お泊りします~ラブの予!?~
「……」
「……」
無言が続く。
俺は張しているのが原因。
そしてビックレは何処から切り出そうか迷っているのが原因である。
部屋の大きさ。ピカピカに磨かれたタイル。慣れない妙にふかふかした長いソファー。
見たじ、此処は接客のみに使われる部屋だろう。
先程からこの部屋にメイドが行ったり來たりしている。きらきら輝いている機に何やら高級そうな紋章がっているティーカップを無音で置いて行ったり、綺麗な裝飾のついた皿にクッキーをれて機に置いている。そしてまたも言うが、無音だ。
時間の流れのおかげか、俺の張がしずつ解れていった。
「そ、その……話ってなにすか?」
相変わらず中途半端な敬語で、恐る恐る話を切り出す。
こんな程度で罪は問われないだろうことは分かっていたがいざ貴族を目の前にすると張してしまう。
戦っていた時は仕方がない。そんなことを気にしている余裕などなかったのだから。
ビックレは薄く笑った。
「よくぞ言った、リーゼルトよ。実はなんだが……その…なんというか……ああぁ…」
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初めは気質良く話していたビックレだが、語尾が聞きにくい。
如何やらし恥ずかしい話題のようだ。
「ん、は、はいっ!」
「その、、、うちの娘、ネルタリーと婚約を結ばないか?」
はぁ?
俺は一瞬頭の中が真っ白になった。しかしすぐに思考を立て直す。
確かに俺とネルタリーは一歳違いだし、向こうが俺と仲良くなろうとしているようなのも事実。しかし、結婚などという気持ちをもっているかと言われると、きっと向こうも頭を縦にはふらないだろう。
異世界転生で最初の婚約の申し込みは嬉しいものだが、さすがにここまでは行き過ぎだろう。しかも向こうは王家子孫。めんどくさいことなどには、関わりたくはない。
「えっと……さすがにそこまでは、、、」
「いやぁ、良いじゃないか。お前も顔が真っ赤になっているじゃないか、それは好きという証拠なのではないか?実はこの提案はうちのネルタリーがしたものなのだよ。」
知らない間に顔が真っ赤になっているようだ。
そしてこの考案はネルタリーのものだとすると、ネルタリーは俺と婚約がしたい……?
いや、嬉しいのだが、せっかくの異世界転生。もっとロマンチックでしあっち方面なのを験してみたかった。このは五歳なのだが、実質はあぁいうことに興味を持ち始めた高校生なのだ。記憶は無いのだが。
そして場面はケリアンの方へ移る。
――――――――――――――――――――――――――――――――――☆
「それで、話というのは……?」
「そのですね、言いにくいのですが」
ケリアンが言いにくそうに顔を下げる。さらさらした髪がその優雅な作につられてゆれた。レスナは特に気にはしていないようだが、サテラは思わずうっとりと浸ってしまったが、長年の経験により、すぐに思考を立て直すことができた。
此処は客室。貴族がもてなさなければいけないくらいの貴客が來た時に使うようなものだ。
設備的に、だ。
レースが掛けられている金のソファー。花の模様が巧妙に彫られている優雅な機。めったに手にらないお菓子。そのどれもが、今までサテラがよく見てきたものだった。
さっきから部屋をメイドが慌ただしく行き來している。それはベテランにしかわからないような目線で見ていたからわかったものだった。
素人が見ても、冷靜で笑顔をを絶やさない爽やかで完璧なメイドだと思うだろう。しかし、よく見れば、服についている無數の糸の中のひとつがれていたり、張しているせいか、冷汗によりメイクがし取れていたり。
まぁサテラもそこまで厳しい人ではない。それに、今の狀態を見て、これくらいは放っておける。レスナはそんなところまで見てすらいないのだから。
「その……ぜひ、私共の家に、泊っていきませんか?そ、その、決してやましいことではなく、ただ、命の恩人ですので、最大限もてなしたいのです」
ケリアンは薄く笑った。しかし皺ひとつ出來なかった。困って笑うその姿さえも、ベテランの二人から見ても、甘で優雅にじる。
しかし今の問題はそこではない。
やましいことがないのなら、まず渉に出さないだろう。
何故なら渉相手に対し、不利なことであるから。渉を中斷しろと言っているようなものだ。
「ど、どうしましょう。」
「……リーゼルトに、相談するか。」
「はい、それでいいのなら!」
サテラとレスナが一番先に思い付いたのはリーゼルトだ。
仲間として、そしてシステム的にも、二人は勝手な行を許されてはいない。
サテラとレスナがそういうと、ケリアンは喜んだ顔をして、すぐさま席を立って、嬉しそうにその高級そうなドアの金で作られた取っ手を優雅に摑んで、無音で見事に開けて見せた。
「さ、さ、どうぞ」
「え、えぇ……」
しばらく無言で廊下を歩き、階段のそばについたとたん、ケリアンはドレスをまくり上げ、ゆっくりと高貴に階段を降りて行った。
その通った場所にはしばらくの間、ローズの香りの殘り香が漂っていた。
そしてそれに気が向かないように我慢しながらも、レスナとサテラは無音にチャレンジしながら階段を降りて行った。
しかし、一番最後でサテラのハイヒールの音が鳴ってしまった、ということは余談だが。
リーゼルトとビックレが話している部屋の前だ。何やら話しているようだ。薄々と聞こえてくる。
「—————————————願い—————————―して—————――か?」
「————————に―――――――――――――れは――――――――――――――っすよ」
「……しー」
レスナがに手を當ててドアに耳を寄せた。
「聞くんですか?悪趣味ですね」
「わたくしは興味がありますけどね」
サテラとケリアンはそんなことを言いつつ、ドアに耳を寄せた。
「……いや、一生のお願いなんだ」
「結婚は無理ですよさすがにー!」
「お願いだ、うちのネルタリーと!」
そこまで聞いて、サテラもレスナも我慢できなくなったらしい。
ドアを開けてしまいたい気満々のようだ。
確かに組織システム的にも保護対象マルタイに勝手に結婚されてしまっては困る。
しかし、もう一つの理由は個人的なものだ。
((先に結婚は許さない!!!))
「ま、お開けになってください。」
「ありがとう。サテラ、行け。」
「了解です。」
そして扉は開かれる。
「駄目です!ダメダメダメ――――――――――!」
そしてサテラは大きくぶ。後ろのレスナは目を丸くしている。
何故なら彼が見たのは。
頭を下げているビックレ王家子孫當主とそれを上から目線でみている俺平民
どう見てもダメな図。
「……あー、誤解だ、これは。」
「こ、こっほん。それでだな、結婚の話は……」
サテラ達を見て、ビックレは急いで姿勢を立て直す。後ろにいるケリアンが申し訳ないのと呆れがり混じったため息をした。
そして俺はサテラの方を見た。
「リオン。王家子孫とまでなると、結婚っていう概念も出るのかよ?」
「……あー。その。。。」
タッタッタッタ。
急ぎ足で階段を降りる音がした。
ビックレは真っ青。俺は真っ赤。サテラは嫌がりレスナは真顔。そしてケリアンは笑った表のまま固まっている。
「ど、どうしましたの!?」
そう、騒ぎを聞きつけたネルタリーだった。
ネルタリーが開けっ放しだったドアから駆け込んでくる。
俺は一歩後ずさった。
「ケッコン……ムリダッテ……」
張しすぎて片言になってしまったビックレが真っ青のまま手を橫に振る。
ネルタリーの顔がボンッと真っ赤になる。
「……父様、言ったんですわね?」
「當主……それは間違いでしたね。なら、泊っていくのは……ネルタリー?」
ケリアンの心配そうな言葉から、目をそらしていた俺はネルタリーの方へ振り返った。
サテラも、レスナも、ビックレも。
ネルタリーは大粒の涙を流していた。
の子を泣かせたのは初めてではない。しかしそれは地球での話だ。
それに、今は喧嘩の時と訳が違う。初めて、心が痛んだ。初めて、人の痛みをじた。初めて……。
異世界に來てから、はじめてなことばかり。それはどれも、楽しいものだった。
しかし今は……今は違う。
「……ごめん。けど、泊ってくよ。一泊くらいなら、いい、よね?」
「わかりましたわ……この一泊の間、決して無駄にはしませんわ!!!!」
涙を目にためながら、ネルタリーはビシッと俺に向けて指をさした。
その目は決意が溢れ、何かが吹っ切れたようだった。
「わ、わたしも、なんだかすまない。まぁ泊って行け!最大限もてなしてやろう!」
「えぇ、わが娘の初ですから」
「……リーゼルト、もう泣かせるなよ」
「う、うるせぇ!」
「ふふふ、初、ですねぇ……」
ビックレは大聲で笑いながら部屋を出ていった。この時の彼は大きな威圧のオーラをらしていたが、さっきまでのはいったい何だったのだろうか。
ケリアンはクスッと笑う。
レスナはにたりと上から目線で笑い、俺は恥ずかしがって顔を隠す。
それを見てサテラは遠い目で見ている。
ネルタリーは涙を高価そうなハンカチで拭いている。
「さて、さてさてさて。」
サテラが笑みを浮かべる。
「お泊り會、スタートだな」
「レスナ、お前は子か」
――――――――――――――――――――――ラブの……予!?
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