《俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~》第三十一回 

「う……っく!?」

俺は起き上がろうとしたが、背中が痛くて起きられない。

俺が苦痛の聲をらした瞬間、リオンがはっと俺に振り返った。

レスナも俺に駆け寄る。

「目が覚めました!良かったです」

「あぁ……心配したぞ」

俺は手でを支え、起き上がった。レスナが手を貸してくれる。

リオンも笑みを浮かべている。

「ごめん、ちょっとしたわ」

「心配かけすぎです!!全く」

気のせいか、リオンの目には涙がたまっている。

コン、コン。。。

扉が軽く二回たたかれた。良きも悪きも、何も言う前に扉は開かれた。

「やっほ♪ちょっと言いたいことがあってね」

執事の服の白いバージョンのような服を著た。銀のロングヘアーの

よーく見覚えのある、「リオン」の先輩賢者。

リオンは怯えたように一歩下がり、レスナは俺を守るように前に立つ。

「サテラ」は鼻で笑った。

ドアが音を立てて閉まる。多分魔法を使ったのだろう。

「て、てめっえ……!」

俺は急いでベッドから立って何かの魔法の発準備をする。

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イメージはサテラの「夢刃ファンタスピック」である。

今の俺ではサテラより強いという確信はないが、そもそも魔法の使い方なんて分からないのだが。

「待ってください!」

「なっ……」

腕を俺の前に回し、俺を止めたのはリオンだった。

し、、ありえないという気分もあったが、この世界の流にはリオンの方が長けているのだ。

俺はこの場をリオンに任せることにした。

「言いたいこと、早く言ってください!!」

恐らく初めて聞いただろう、リオンの荒ぶった聲。

サテラは笑った。

「今日はね、自己紹介などしに來たの、ボクはリオン。しかし々あって名を換したんだよ。換していないときのままで行くね。まず昔の話、……ボクは今のサテラと同一人だった。一つのから魂が弾け、二つに分かれたんだよ、ボクがケガをしたら、リオンも痛みをじるけど、サテラがケガをしてもボクはなんともない。一つのが二つに分かれたとき、その魔力がボクに偏ったからだ。ボク達はもともと昔の闇の霊サランという者から生まれたよ。詳しくは、サテラに聞くといいけど、教えてくれないと思うよ」

この二人のことをどう呼べばいいのか。

俺は迷った。

これまで幾度も呼び名を変えてきた。

元の名前が、換されたのなら、俺は元の名前で呼ぶしかないと思った。

換した名前で呼んでも、昔のことは二人とも教えてくれないのだからきっと痛みしかないのだろう。

――――――――――――――――――リオンはサテラを見て、ニヤリと笑った。

そして何か言いたげな俺を見て、リオンは一度俺を制するように掌を俺に向けた。

「さあ、一度話題を変えようか」

話題を変える、とリオンは宣言した。

きっと名前のことはもうこれ以上は教えてくれないのだろう。

俺としても、そんなに深踏みはしたくなかった。

ましてや機組織に関わっている賢者たちの事なのだから。

「まあ、君のことになるんだけどね。すっごく驚くと思うんだけど、普通の人間がリオンを通して異世界に來ることは稀で、幻って言ってもいいね。つまり藍も彩も君にもがある。それは君が殺された事実にもかかわりがあるかもしれない。そこまではきっと大賢者様以上にしか分からないと思う。ボクが知っているのも、大賢者様が特別に教えてくれたからなんだ。」

じゃあなぜ俺に教えた、だとか、聞きたいことはたくさんあったが、前記の通り深くかかわりたくない。

知ることのできる事実は知り、知ることができないとわかったら放棄する。

時にはそれが駄目な時もあるだろう。しかしそれが俺の生き方なのだ。

「じゃあ一度話を戻そうか。唐突なんだけど、ボクら賢者の強さは髪ので決まるんだよね。だけど、世界の人々の強さを決めるのは族さ」

族。

その言葉を聞いて、俺はレキラ―を思い出した。

結構久しぶりに聞く種族の名前である。

きっと今もレキラーはどこかで俺を見守ってくれているのだろう。特に命の危険でも起きなければ助けには來ないと思うが。

「それでね、ボク達賢者の髪の霊が決めるんだよね、あ。今の話はちゃんと意味あるよ?」

によると、昔は霊と闇の霊がおり、二人で仲良く力を決めた。

しかしそれを知った地球の人々は嫉妬し、二人は攻撃され、地獄まで落とされた。

「人間に、彼らに、もっと優しさと恵みを……」

「人間は恐ろしい、彼らに、罰を……」

最後の力で、二人は力の持った子を二人誕生させた。

それからしばらくして、その子らの中のひとりは霊の名のもとに人間界に降り立った。一人の唯一真実を知るばあやが彼を送り込んだのだ。

もう一人はよくわからないらしい。

そしてそのばあや、未だに生きているということらしい。行くのはそう簡単ではないが、真実を知りたいのなら、彼のところへ行けというところだ。

もちろん俺は、行くに決まっている。

話が飛んだが、その二人のことを「霊の子」というらしい。 

「それはね、ボクらの名前とかかわりがある。あの後サテラがボクと名前を換したがったんだよ、そして力ずくで換したんだ。その戦爭の現実から目を背けたかったんだってね。ボクは確かに強かったけど、あの時の魔力の扱いは全くに殘酷なものだったよ。今は負ける気がしないけどね。」

リオンはカラカラと笑った。

そしてその表は急激に暗くなる。

サテラに向かって一歩一歩近づいていく。

―――――――――――――――――――。

「ねえサテラ、ボクが名前のために此処までしたんだよ、お願いだから、名前を返して。」

サテラの額から汗が流れた。

名前の事実の殆どを俺にばらした。それがサテラ達にとってどれほど深刻なのか。

知ることもなかったし、知りたくもなかった。

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