《俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~》第十回 大賢者の強さ……?

「!?」

大地が揺れた。

山は嘆き、建にはひびがはいっていく。キロメートル範囲ではその影響が大きく響いている。

主にロナワールと藍が立っている位置では地面にもひびがり、今にでも割れそうだ。

「おいおい、せっかくの大魔王城の土地どうしてくれるんだ……」

冷靜にそういうも、ロナワールの額からはつぅ、と汗が流れていた。

それはきっと恐怖の類ではないだろう。

張の類でもないだろう。

ただの、この世界に対する慈しみ。負けたら世界に影響が出るという、ただそれだけの思い。

「まだそんなことが言えるのか?今から死ぬかもしれないのに」

シアンはその威厳を崩さず、オーラを出したままそう言った。

ロナワールは答えない。

シアンがまだ何かを話したげだったからだ。その通り、シアンはまた話し始めた。

「ここまでのキャラづくりに大変な時間をかけてしまった。レイアはもう必要なかったのだが、予想以上に時間がかかってな……やっと解き放たれて安心だ」

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「……なぜ教える??」

シアンが前髪をまくり上げるが、その前髪を放した瞬間さらりと原型に戻る。

ロナワールは警戒心を解かず、構えたままそう聞いた。

レイアが必要ない、と、そのがあったということはロナワールもれはしない。もともと命にけをかける格ではないのだ。

先程のシアンのレイアに向かっての小さなびを聞き、驚いたくらいだ。

「ん?こんな報必要なくなったからだ。忘れるために、一度與えておく」

「つまりは保管か……?」

「まあそう解釈しても間違ってはいないな」

シアンは鼻で笑った。

そんなロナワールとシアンの會話を、藍たちは黙って見て、聞いていた。

不気味で、威圧がする。たっても居られない覚に襲われるが、何とか力をれ立っている。

フェーラに至ってはすでに地面に座り込み、懸命に耐えている。

ロナワールとシアンを足せば、これくらいの実力になるのだ。ちなみにサタンははるか後方まで下がり、それでも何とか耐えきれているくらいだ。

「さて、おしゃべりはこれまでだ……」

「ふっ、貴方とまともにしゃべったことなどもう久しぶりになるな、しかしもう終わりということか」

「戦とはどういうことか、教えてやるよッ!!」

カン。

とロナワールとシアンの腕が重なり、またも大地を揺らした。

続けてシアンの回し蹴り。

ロナワールのカウンター。

シアンの左払い。

ロナワールが魔の剣を出現させる……。

そんな激闘を、藍は見つめ続けていた。

(どうして……?どうして恨まれているのかしら……?)

藍はそんなことを考え続けていた。

サタンやフェーラに聞いても、答えは分からない。知っているのはきっと今一度テントの中に戻って待機しているユノアくらいだろう。

だって彼も裏切るくらいなのだから、理由も知っているはずだ。

『聖神の嘆きファイナルエンジェルスターライト!』

「!!!」

そんな細かい戦いに飽きたのか、シアンは一度撃範囲の距離まで下がり、自の得意技であるスキルを打ち出した。

シアンの屬はロナワールによると「神」「嘆き」のふたつ。

その二つを組み合わせたのが、今のスキルらしい。

白銀の糸のような、そしてるだけでが真っ二つになりそうな威力の魔法が飛び出した。

ロナワールは冷靜に、全力を使って結界を創り出した。

「私を……なめるなっっっ!!」

シアンは自らのスキルにさらに全力で魔力を継ぎ足した。

「くっ……うっ!?」

ロナワールの結界は崩れ、消え去った。

そしてシアンの魔力だけが彼に一直線に向かっていく。

『漆黒なる藍の瞳ブラックアンドブルーアイ』

『魔線ブラックエナジー』

の窓!』

後ろからはサタン、藍、フェーラの得意魔が飛んでくる。

赤の混じった殘酷なが、紫の線が、全てを飲み込むような扉が、一斉にシアンの創り出したに向かった。

それがぶつかり合うとき、先に扉が消え、紫の線も薄くなっていった。

予想外の事実に、サタンもフェーラも驚く。

ロナワールは低級魔で攻撃を続けている。今の力では戦級魔法を出せる自信はない。

「終わりだっ!!!」

シアンはんだ。

しかし、それで足りると思ったのか、もう魔力の補充をすることはなかった。

線も消え去り、藍のスキルも薄くなり始めていた。

「……そう、か」

ロナワールが覚悟を決めるということはなかった。彼は勝つことを信じている。

これまで、何度も逆転勝利というやり方で勝ってきたのだ。

――――――――――――――。。。

「全く、世話が焼けるではないか?大魔王がそんなことになってるとは思わなかったな」

たん。

と一人のがシアンのけとめた。

シアンのそれはすでに盛大なダメージをけており、フェーラでも止められるのだが、あいにく今ここにいる者の中でそこまでの戦力を持つ者はもういない。

力はすでに使い切っている。

そのは、に覚えの「よくある」人であった。

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