《俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~》第十二回 質問と過去「と」?

あの戦から一週間は経っただろうか。

ひびがってしまった地面や、破損したテント、あげればきりがない破損も今では著々と修復が進んでいる。

力も魔力もすでに回復し、ロナワール達はダイニングルームにて約三十人弱が座れる長い機に腰かけ、食後のデザート、パンケーキを食べていた。

あの戦が終わって一時期食料などがらないときもあったが、今ではりすぎて困っているくらいだ。

いつもならば駄弁りながら進んでいく食事だが、今日は皆黙って話さない。

それは、空気を読んでのことか。

しばらくして、皆がパンケーキを食べ終わり、そろそろこの沈黙した空間が嫌にじ始める丁度その時。

タイミングをつかんだかのように、話が始まった。

「ラン。聞きたことがあるんだ」

「……大わかっているわよ、何?」

ロナワールのその言葉には、意味が深く含まれていた。

藍は知らないはずだが、彼は昔言ったことがある。

『戦は嫌いなのだが、場合によってはそれに合った処置をとることも必要である』

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と。

藍が向こう・・・だとは思っていない。一筋の希をもって、ロナワールを代表して全員が聞いた。

「ランさん、なんでですか……?」

「何が言いたいの?」

フェーラがわざと藍の核心にれないよう、遠回しにそう聞いた。

願うのは、藍がその意図を分かってくれるということ。

藍はその意図をわかってはいた。そしてだからこそわざとそれに応えなかった。もっと自分を知ってしかったから。そんな簡単な理由で。

「妖。異世界に來たばかりの者がそれを見分けられるはない。そしてその憎み方、異世界に対する知識の多さ。ありえないんだよ、そこまで「知っている」ということが」

「そうね、そろそろバレてしまったかしら。でも想定よ。が暴走したあの時の時點で、もう終わったと思ったわ。本當はそこまで言っちゃうつもりはなかったもの。」

明らかにそれっぽい藍のセリフに、フェーラは肩を震わせた。

聞いたロナワール自も、複雑で何とも言えないを持っていた。

しかしその表と行などから、藍は自分たちを弄んでいると皆は気づいた。

「遊ばないで、そろそろ教えてくださいよ」

ふふ、と微笑んでフェーラはそう言った。

藍もまたバレた、とでも言うように不敵に微笑み、頷いた。

「しょうがないわね、言うわよ。私がこの世界に來たのは二度目なのよ。本當はそこまでこの世界の知識を知るつもりはなかったわ。けれど、知っていくことを強いられたわ」

その事実も驚きだったが、そう言った藍の眼は憎しみと信念、絶に満ちた暗い表だった。

この場にいる全員、そして発言はしていなかったがサタンやユノアも察しがいい。

察した皆は、ハッとしたように藍を見つめた。

「ランッ……もういい……」

「いいえ、言わなければいけないわ。この世界でもう一度生きていくためにも、私がもう一度この世界を信じるためにも、貴方たちを信じるためにも、私は人生そのものを明かしていかなければならないわ」

悟ったロナワールは藍の話を止めようと試みるが、藍の強い決心に跳ね返されてしまう。

サタンとユノアは察してはいるものの、興味を隠せないためこの場での発言は控える。

藍は目を閉じ、話し始めた。

―――――――――――――――――――――。

私が異世界に來る前、私は學校でいじめられていた。

毎日続く暴力に、私は生きるを失っていった。

そして私は自殺という死に方で、とても稀に異世界に召喚された。

そこでは貴族に拾われた。

あの頃の貴族はみんなや金に満ちていて、私は現実の方がましだったと泣いた。

母と父と姉。

たとえ異世界の関係と言えど、私の場合は「転生」。十六年間育ててくれたのよ。

彼らも貴族の下で働かされた。

そして、それを治めていたのは、當時の、大魔王……。

ルナセスと言ったかしら。

彼は私を見て、何も言わなかった。貴族に注意すらしなかった。

やっとその貴族から解放されたその日、母も父も過労で死んでしまって、姉しかいなくなった。涙すら枯れてしまったその日。とある村に私と姉はたどり著き、そこで生活をした。

私は大きくなったらルナセスを討伐すると目標を立てて、日々この世界について勉強をした。

ある日、ルナセスが村を襲った。

彼は、妖を使って、そんなに魔法が使えなかった姉を、一番殘酷なやり方で殺してしまった。

その時頑張ってスキルを上げ続けた私は何とか逃れられたものの、姉が助かることはなかった。

私は、その後から勇者になって、大魔王討伐クエストというやり方で、ルナセスを殺した。

しぶきが見えたその直後、そのまま私は現実の世界に戻った。

―――――――――それからは、貴方たちが知っているとおりよ。

―――――――――――――――――――――――――。

それを聞いていたフェーラ達は口々に藍を心配する言葉をかけた。

ただ一人、ロナワールだけは無言で藍を見つめていた。

「……そうか、ランだったのか……」

ロナワールが藍を見つめた目は、なんとも言えないような、深く苦みのある目だった。

その言葉にハッとしたフェーラ。

実はこの中で一番ロナワールに仕えていた年數が多いのはフェーラだ。

サタンは魔力と地位では先輩だが、十三年の差がある。

「どうしたの?私がもう言ったんだから、そっちも言っていいわよね?」

「いや、今言ったら刺激が大きすぎるかもしれない。いずれ言う、待って居ろ」

「ランさん、お願いしますからその時まで待っていてください」

ロナワールから頼まれ、更にはフェーラにまで念を押された藍は、折れるしかなかった。

今ではなくともいずれ教えてくれるとの約束だ。

いつでもいい、この者達のことを、知っていけられればそれでいいのだ。

「分かったわ」

言葉を選び選んで、藍はこれしか答えることができなかった。

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