《俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~》第十九回 発端アーンド藍さん遂に最強化

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

藍、ロナワール、フェーラ、サタン、ユノア、エアン。

この六人がロナワールの事務室にて集中していた。

六人は皆重い顔をしていて、ロナワールは「挑戦狀」と文字で書かれていた羊皮紙を持って固まっていた。

「それで、どうするのですか?」

ユノアはため息をつきながらロナワールに向かってそう言った。

実は今日の朝の出來事だったのだが、ロナワールの事務室の機に羊皮紙が置いてあったのだ。

藍とサタンとフェーラを呼んで一緒に見ると、なんとそれはシアンからの挑戦狀だった。

「さぁな、こんな挑戦の仕方、何かあった以外考えられないな」

六人は一斉に頷いた。

その羊皮紙には『第二次大戦だ、期待していろ』とだけ文字で書いてあった。

わざわざ文字で書くとは、ロナワールも怪しいという気持ちしかなかった。

それは皆も一緒の気持ちのようだった。

藍はその羊皮紙をロナワールからけ取り……け取る際目を合わせることができなかったが……席に戻った。

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「破って捨てましょ」

「マジかい!その発想はねえわー」

藍は思い切ってロナワールを見つめてそう言ったが、ロナワールは目をそらす。

ユノアとエアンは事を知らないため、頭にハテナを浮かべながらサタンとフェーラに説明してもらう。

説明された後二人はニヤニヤしながらこの空間を見つめていた。

しかしユノアの表は微妙に違った。

そう、現実的に言うと彼は藍ののライバルに當たる存在で、彼もロナワールが好きなのである。

(どうして私じゃないの……?)

ニヤニヤして、何とか周りに合わせながらも、ユノアの心には嫉妬が生じていた。

「ふんっ!!!」

指に力をれて、藍は羊皮紙を破ろうとした。

その瞬間、羊皮紙がった。

『ギフトが裝されています。作者:ボス。開けますか?』

機械の聲がわざととでもいうように部屋全に響いた。

「開け……るのか?」

「開けないという選択も怖いわね」

「……傍に、いる」

「こっ、心強いわ」

ロナワールがそう言った瞬間藍は顔を真っ赤にさせ、なんとか顔を逸らさないことに功する。

遂に何とかこらえていたサタンやフェーラまでもがニヤニヤし始める。

まさかあの大魔王が「こうなる」とは思ってもみなかったものだから。

『yes:no』

と言う文字が空中に浮かび上がった。

半信半疑でもロナワールを信じて、藍はyesに向かって手をばす。

恐る恐る、押してみる。

「きゃあ!?」

の強さが増し、皆が眼を閉じたその瞬間、何かが藍のに吸い込まれていった。

途端に藍のを渦巻くように紫の魔力流が「ドン」という音を立てて舞い上がった。

天井を貫き、自的に修復していった「それ」はロナワールの魔力とそれほど違いはなかった。

『ステータスを最終進化させました。新スキル「空気作エアコントロール」を獲得しました』

そう言ったきり、聲は二度と現れることはなかった。

空気作エアコントロールとは、使い方によって周りの空気をすべて圧させ、敵を窒息死させたりすることもできる恐ろしい技だ。

一度目の人生で藍が何度か聞いたことのある、伝説級のスキルであった。

「んなああああああああ!?てってって、敵がぁああ!?」

藍を指さしながらロナワールが腰を抜かしていた。

藍もまさか敵からこのようなプレゼントが來るとは思わなかった。

「でも絶対シアンではないわね」

「ボスって書いてあるしなー」

藍とロナワールはしばらく考えてそのような結論を出した。

何故ならばその証明が明らかにいくつかある。

まず、名前が「ボス」だったということ。ギフトには自分の本當の稱號、本名を使わなければならない。

しかしシアンに「ボス」という稱號があるのは聞いたことがない。

そして二つ目はギフトに宿る魔力の量と強さだった。

ロナワールと相殺くらいの実力を持っているシアンでも、さすがに彼と同じくらいの魔力を渡すにはきっと全魔力を消費して死んでしまうだろう。

あのシアンがここまでするとは思えないし、今のところ死んでいるとの報告もない。

「でもこれって最強化したんじゃないのかしら」

「うん、お前多分萬単位くらいは軽く越してるわ」

「そこまで?」

「だってオレと同じくらいの魔力足されただろ?てか多分超えられてる!?」

冗談込みで藍はそう言ったがまさかのロナワールには本気にされてしまった。

サタンとフェーラが「ロナワール様相手に冗談はいけませんよ」と笑った。

単純な者には何を言っても本気にされるというのは、どんな場所でも王道である。

やはり大魔王の威厳はなかったのであった。

「超えているといいわね、けど実力ではそこまで行ってないと思うわ」

「じゃあ試すか?」

「エアコントロールを仕掛けられてロナワールでも避けられるとは思わないけれど?」

「確かに無理だわ、チートかお前」

真顔で言われた。

チートなのは間違いない、とそれを実したことのあるユノアとエアンは激しくうなずいていた。

サタンとフェーラは真顔でゾクゾクしていた。

「とりあえず実踐はぶっつけ本番にするか、魔力だけでももうオレくらいだからな」

「そうするしかないわね」

「ランさん、大量略殺はやめてくださいね……?」

「しないわよ!?」

フェーラがあまりにも本気の真顔で言ってくるものだったため、藍は絶を上げた。

そのおかげで部屋は笑い聲に包まれる。

これから戦爭を始める集団とは思えないほどだ。

大量略殺はいつかしてしまいそうだ、とロナワールが苦笑いしたら藍にはたかれていたのは余談である。

確かに藍ならありえそうだ。

「そうだ、この羊皮紙どうするの?」

「あーそれは」

藍が汚いものでも持つかのように羊皮紙の端をしだけ摑んでぶら下げる。

ロナワールはしばらく考えるものの、答えは出せそうになかった。

「破って捨てましょう?」

そう言ったフェーラの考えは全員同意した。

シアンの挑戦狀は破って燃やし、その灰は土の中に埋めた。

もちろん挑戦は買って出る。

前の戦闘の決著は付けられていない、そのため引き下がるわけにはいかないのだ。

「がんばろう!」

「「「「「「お―――――――!!!」」」」」」

ロナワールの掛け聲と共に、皆は一斉に聲を上げた。

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