《俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~》第二十六回 終結への狂想曲
風が強い。
シアンの姿が見えない。
シアンは妖を使って黒煙の瘴気を起こし、それだけで二人を倒そうとしている。
瘴気だけでは倒せないだろう。
しかしそこは、レベルが違うのである。この瘴気はランクがカンストしてしまうほどの威力で放たれている。
ロナワールが本気を出したらこれくらい行くだろうか。
だが、シアンの表はいかにも余裕で、全く魔力の消費がないようだった。
ロナワールと藍は必死に盾で瘴気の風を防いでいる。
「なぁ……知ってるか?」
「え?」
全力で防ぐのがいっぱいだ。
本當は話すことさえも困難だろう、しかしロナワールは話す。
「シアンはルナセスの養子で、ルナセスに一家を殺され、反した。ルナセスはそんなつもりなどなかった。しかし悪魔に弱みを握られ、村を破壊した。後はお前の語もあったんだろうな……あいつが死ぬ寸前にオレが生まれて、やつは瀕死の狀態でオレにすべてを話してくれた。初対面だったが、優しかったよ」
「そう……でも今はそういう場合じゃないわ! 生きなきゃ!」
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無理をしていることもまるで気付いていないかのようにロナワールは「あの頃」を話し始める。
藍はルナセスに対する印象がしは変わっただろう。
しかし、今はその場合ではなかったのだ。
「あいつが、ルナセスがした罪も全て、順調にオレにかかったよ」
「でも今は!!」
「運命は、切り開けないんだろ?生きようとも死のうとも、運命が生かしてくれなきゃムリだ」
それは確かに藍が言った言葉で、納得ができる言い分だった。
「生きられるか分からない。だから知っていることを全部話した」
「あとは……」
「全力で向かおうじゃないか!」
決心、目標を定め。
運命は変えられないと分かっていても無理やり捻じ曲げるかのように。ロナワールと藍は出し惜しみなく全力でスキルもついていないただの魔力を放出した。
はないし、臭いもしない魔力が思い切り邪気と対抗し、しばらくして邪気は半分以上消え去った。
それをシアンは興味深そうに見つめている。
「ほう、あの邪気をすべて消し去ったか。私との戦闘能力はまだ殘っているのか?」
「殘っているとはいいがたい、わ……むりやりでも、勝って……みせるの……」
「まだまだ、本気の決戦はこれからだ」
シアンから計畫を吹っ掛けられたのなら、とロナワールには最後の一手が殘されていた。
もちろん藍がその計畫のことを知ることはないのだが、これは彼が「大魔王しはいしゃ」としての決斷だ。
この戦闘の勝敗をも決める。
隠しポケットに、誰にも気づかれないように手を突っ込み、中にっているを手で転がす。
(頼んだぜ……)
ロナワールも藍も、すでに話す気力がない……というのは外見であり、藍もロナワールも側ではそれほどの魔力消費がなかった。
これは、天才と天才同士の戦いであり、だれも差し込むことができない。
というより、近づけない。
ロナワールはそのポケットにっていたを魔力で溶かし、自らのに吸わせた。
激痛も、気にしない。
「そうか……見たじ魔力消費もないようだな。この景を初心者がみたらさすがにあいつらもしょぼく見えるが、本當はこの領地くらい簡単に壊せる。その何倍も強い、私の実力は――――?」
「計り知れなく、高いと、そう言いたいのかしら?」
遠回しに魔王軍側を褒めながらそして屈辱し、シアンは問いかけ、藍が答えるとともに……頷く作の代わりに妖を放出した。
『無・妖鏡華』
星をちりばめ、空を混沌とさせ、時空を割り、領土にいくつものひびをれる。
藍は妖について勉強している。
彼が知る限り、これは無敵の魔で、かけられたら避けるは無いに等しいのだ。
(もう、むりだわ――――――――――)
藍が眼を閉じ、覚悟を決めた瞬間。
『有・月鑑殺』
最強と稱され、世界をも破壊する実力を持つ大魔王―――――――――ロナワール。
彼の一撃はシアンの妖と相殺し、火花を散らす。
妖の中でも、一番高いレベルのものである。
そのランクは計り知れないものである。
「有」と「無」。その二つのみが測りあうことができ、それ以外に反抗できる魔法はない。
妖でも、これより上は無いのだが。
ロナワールはそれに唯一対抗できる「有」を使って見せた。
「ど、うして……?」
「魔族は妖を使えるのが當たり前なんだ。ズルだと思って封印してたから使ったのも久しいのだがな」
「そうなのね、だからルナセスから生まれたシアンもつかえたの」
「ああ。正式に言うとルナセスが恥にならんように強制的に埋め込んだのだが」
やはりいつでも大魔王は変わらない、と思った瞬間だったのだが、ロナワールは違うのだ。
「オレは、違う類だろ?一時期はいろいろあったんだよな」
「苦労しているのね」
藍が微笑み、全てを理解したところで、勝負はついにを見せる。
「有」が「無」を押し、風圧を起こし、時空に亀裂をれ、世界を歪ませ、未來を切り開いていく。
その瞬間神界では、予期せぬきに未來へのコントロールタワーが弾け、未來が完全に別なものに変わってしまったのであった。
霊界でも破滅が起き……世界は無になると思われたのだが。
「有る……それこそは!!!」
「有る」と、その文字を聞いた瞬間、サランの眼が強制的に開いた。
「魂二つに、分つ、とき、世界は、壊滅し、無に、なるが、使用が、「有」の場合、魂は、合わさり、世界は、存在し……」
そしてそこでサランの意識はまたシャットダウンされた。
うごめく世界、揺れる地、れる聖界や魔界。時空は歪み、復元され、そしてまた存在し続ける。
それが魔王であるサランのもしかしたら命をもかけてしまうほどの切り札であった。
シアンの「無」はかき消され、ロナワールの「有」の空間に閉じ込められる。
「この……なぜ私の力でも開かんのだ!?」
「この力はお前には分からない、無を信じ続け、有を拒否し続けた、お前には」
「許さない……許さぁあああああああっぁぁぁっぁん!!!!」
シアンの魔力は吸い取られていくものの、殘った魔力をすべてかき集め、世界に全くれないようにロナワール一點に向けて発した。
藍はその重圧に耐えきれなく吹き飛ばされ、ロナワールもけずにいる。
「はは……もう終わりか……魔王ライフ、辛れぇなぁ。……なあルナセスさん、オレちゃんとランを……」
迫ってくる赤黒い電撃を避けようとすることなく冷靜に見つめ、ロナワールは言葉を放つ。
極小なほど小さく聞こえる藍の悲鳴が遠く聞こえる。
「どうして……!?どうしてなの!?」
「大魔王の……サダメってやつか?」
「分からない、分からないよ! ……好きだから、大好きだから!私は、抗議するわ!!」
途切れ途切れにもそう聞こえた藍の悲鳴。
そしてそれに世界が応えるかのように、後ろでは人影が起き上がった。
『祝福を・終結への狂想曲エンドミュージックメロディ』
そうつぶやくように詠唱をしたエアンのから、魔力の渦が「ドン」と音を立てながら発され、シアンの魔法は簡易に押し返され、エアンの魔法も加えたうえで、シアンに向かっていく。
シアンの眼は絶に満ちていて、もう駄目だと訴えているようだ。
ロナワールたちはの再會を迎えている。シアンはそれを憎そうに見つめていた。
『転移ッッ!』
何処かから聞こえた聲、丘から突き抜けてきた人影。
「ロス……」
「黙っくだせぇ!行きやす!」
その男、ロスはシアンを抱きかかえ、ロナワールが反撃してこないことを確かめてからその姿を消し去った。
彼がどうしてあの空間を破ることができたのか、それはロスにしか分からない。
唯一彼らが聞こえなくて損したことば。
結構前にロナワールが知ったこと。藍は「有言実行」の類の人間であること。
彼が「組織に抗議する」と言ったのだ。
破滅の日は、近いだろうか――――――――――――――――――――――――――?
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